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知床へ行こう! 番外編(後日の新聞から) [外から見た日本]

 釧路から出発する電車が遅れた時、さっさと電車に乗って、手際よく掃除する人たちを見て、さすがだ、と思いました。私たち日本人からすると当たり前だけれど、新幹線や長距離電車の掃除をする人たちの働きぶりは、結構稀なようです。特に、短い停車時間の間に、ゴミ掃除などを全て終わらせる清掃員の人たち、ヨーロッパでは相当珍しいみたいです。

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 先週の読売新聞に、日本の新幹線を世界に紹介する、というような記事が載っていました。フランス国鉄の人たちが、日本の新幹線/電車視察に来たみたいですが、この清掃員の人たちに驚いて、視察の人たちは「彼らをフランスに持って帰りたい」と言っていたそうです。先月まで居たフランス人の友人も、この清掃員の機敏さに驚いていました。同じように「フランスに彼らを持って帰るべき」と言っていました。また、進行方向によって椅子の向きが変えられることにも驚いていて、「フランス国鉄でもこういう椅子を作るべき」と言っていました。

 確かに、フランスの電車は本当に掃除されているのか、というほどちょっと汚いので、日本の清掃員の人たちが入った後の電車のきれいさにはびっくりするかもしれません。

 そして私たちはちょうど、知床の観光シーズン序盤に行ったようで、後日読んだ雑誌には知床など道東の特集が色々組まれていました。自転車の雑誌だったのですが、「道東の自転車コース」という感じで紹介されていました。私たちが通った場所を、数日かけて自転車で回る、というものでした。確かに、天気が良ければ、海岸沿いを自転車で走るのは楽しいかもしれません。また、道東は夏の間、特別暑いというわけでもないので、運動するのに暑すぎるということはないかもしれません。

 札幌に戻ってきてからも、色々と知床の旅行を思い出すことになりました。

フランス人の友人が謎に思ったこと 最終回 [外から見た日本]

 京都から東京に戻ってきた翌日、フランス人の友人はパリへ帰国。私が覚えていた出発時刻より早かったので、少しびっくりしました。14時頃だと思っていましたが、実際は11時30分。前日に気づいて良かったです。

 移動はもちろんJR。最近は成田空港の利用が多いので、長い電車時間というのにも慣れました。市川から千葉、千葉を過ぎたあたりから、宮崎アニメに出てきそうな山、田んぼが多く見えてきました。成田空港からJRに乗って東京へやってきた外国人の友人は皆この景色を見て、「日本の自然のイメージそのまま!」と言っています。確かに稲を育てている田んぼも多く見えるので、「お米=日本」というイメージに繋がるのかもしれません。

 そして、この風景を見て、外国人の友人が漏らす感想が「なんでこんなに電線がたくさんあるの?」ということでした。要するに、電線が多いおかげで、自然の多い景観が損なわれる、というわけです。更に彼らがこの電柱を不思議に思う理由が、「日本は技術が優れているのに、電柱を地中に埋めることが出来ないわけがない。それならなぜ、あえて電柱をそのままにしているのか?」ということでした。

 この質問を受けて、私がまず考えたのは地震の多さ、でした。これだけ地震が多いと(人間が感じない地震の数も含め)、地中内で電柱が受ける揺れは相当なもの。また、修理するとなった場合、いちいち地中から掘り出さなくてはなりません。地震が多いことを考えると、そのまま外に出しておいた方が、修理もしやすいはずです。

 と、私が思い浮かんだ理由はこれだけだったのですが、私も疑問に思ったので、後に少し調べてみました。費用、政治的問題など、色々な理由があるようですが、もう一つの自然的要素は豪雪でした。確かに、北海道などでは、11月から3月下旬にかけて雪に埋もれた生活です。3月下旬に東京で桜が咲いていても、札幌ではまだ雪かきをしている、というのも珍しくありません。北海道の雪は軽いので、雪の重みで電線が切れる、ということはありません。が、もし地中に電柱があって、修理・点検をするとなった場合、相当量の雪をかき出さなくてはならないと思います。そう考えると、外に電柱があった方がよいのかもしれません。

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(電柱のない、花見小路)
 ただ、「やはり景観を優先したい」という地域もあるようです。例えば、京都市。電柱を地下に持ってきたり、電線を軒下に這わせたり、様々な対策があるようです。言われてみれば、花見小路も電柱がありませんでした。

 札幌、東京、鎌倉、京都を駆け足で回った、2週間弱の旅でした。私も久しぶりの日本で、色々変化があってびっくりしました。例えば、Wi-fiの接続場所が以前と比べると、増えてきた気がします。まだまだ、携帯加入者のみ、となっている場所が多いですが、いたるところで「Wi-fi接続可」の張り紙を見つけました。私にとっても発見の多い2週間となりましたが、友人にとっても様々な意味で日本を見ることが出来たようです。2週間日本食食べる、と意気込んでいましたが、最後の方は少し難しかったようです。それでも、1日2食近く白米を食べる生活には、驚くほど慣れていました。パン食も恋しくならなかったようです。彼女と旅することで、自分が普段行かないような場所にも行くことが出来て、楽しかったです。今度は、どこから友達が来るのでしょうか、楽しみです。

フランス人の友人が謎に思ったこと その3 [外から見た日本]

 信号もしっかり守り、クラクションも滅多に鳴らさず、運転マナーが良い、とフランス人の友人は何度も褒めていました。が、その友達にとってショックだったのが自転車。日本でも自転車は車道走行となっていますが、まだまだ歩道ではたくさんの自転車が走っています。後ろから勢いよく自転車がやってきて、少し怖い思いをしたようです。「日本で自転車は歩道走行なの?」と聞いてきてきました。そのため、自転車が走る場所となっている場所を一応見せておきました。が、改めて小さいなあと思います。私も車道を走るようにしていますが、大きなトラックが後ろから来るとやっぱり怖いなあと思います。

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(道が舗装されていて、自転車に優しいエリアが多い京都)
 そして京都に居る間はたくさんの自転車を見かけました。海外のガイドブックによると、京都は自転車で移動しやすい、と言われているようです。京都だけでなく、鎌倉でもレンタル自転車が色々出てきていました。値段も一日で2000円ほどでしょうか。京都は特に、観光名所が点在しているので、自転車で回った方が早いのかもしれません。

  ちなみにパリでも移動手段に自転車は便利。1.8€で一日、一回30分以内であれば追加料金無しでどこでも移動出来ます。6月パリに居た時、初夏ということもあって、天気もよく、自転車で移動するのは気持ちよかったです。ただ、駐輪場所がどこにあるのかよく分からないのと、一方通行の道路が多く、少し回り道をしてしまうこともありました。フランスでも自転車は車道をたいてい走り、歩道での走行は禁止です。最初の頃は、そのルールを知らず、歩道を走ってしまっていましたが。

フランス人の友人が謎に思ったこと その2 [外から見た日本]

 私のように、また我が家にホームステイしていった外国人同様、フランス人の友人もポストカードを書いていました。札幌で10枚、京都で2〜3枚、買っていったと思います。札幌のポストカードにはあまり選択肢が無く不満だったようですが、切手についての謎が。

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 「日本は清潔で、実際日本人はきれい好きだと思う。なのに、なぜ舐めて使う切手が流通しているのか?(シール式が少ないのはなぜか)」という疑問でした。彼女が使っていたのは、70円切手、確かにシール式のものではありません。記念切手などでは増えてきたよ、と言っておきましたが、確かにヨーロッパに比べると少ないかもしれません。フランスはコレクター切手のようなものがたくさんあり、シール式も多く存在します。コレクターのために、色々説明が書かれています。舐めて張る切手だと、そういった説明を書く場所もあまりありません。私もたまに使っていたコレクター用の切手(追加料金無しのもの)が、写真のものです。パリの名所を切手にしたものなのですが、切手以外には色々な説明が書かれていました。シール式にすると、このような余白も出来る、ということでしょうか。逆に、このシール式、台紙や説明の印刷など余計なコストがかかるのも事実。そういったコスト面で、日本にはシール式が少ないのかな、とも思いました。

 またレストランで出される水が無料というのも世界では珍しいことだと思います。フランスはcarafe d’eau(卓上ガラス瓶の水)を注文すると無料です。何杯でも飲めます。Perrierなど炭酸水やミネラルウォーターを注文するともちろん料金を取られます。が、水が無料というのは、ヨーロッパでは結構珍しいこと。例えば、イタリアでは無料で水が出てくることはありません。750mlの水が2€、大きなピザが3€、ということもあり、水の方が割高に感じました。レストランでは水が無料で出てくるフランスから来た友人ですが、日本の水に氷が入っていることにびっくりしていました。猛暑日以外であれば、フランスも単に水道水を瓶に入れてもってくるだけです。が、日本のレストランはどこへ行っても、氷がぎっしり入っています。そのため、暑い夏などは、レストランに入ればとても冷たい水を飲むことが出来ます。すごいサービスだなあ、と今回思ってしまいました。

フランス人の友人が謎に思ったこと その1 [外から見た日本]

 道中、移動が多かったため、フランス人の友人と話をする機会が多かったです。その時にふと、彼女が疑問に思ったことを質問してきます。滞在中に何度か挙がった疑問が、「なぜ日本の年寄りは腰が曲がっているのか?」でした。確かに言われてみると、ヨーロッパで腰の曲がった年寄りはほとんど居ない気がします(友人に言わせると、「皆おなかが出てきて、腰が曲がらない」そうです)。

 京都滞在中、時間も少しあり、ホテルにインターネットの繋がったコンピュータがあったので、調べてみることにしました。医学的根拠を見つけるまでにはいかなかったのですが、いくつか説があったので紹介していきたいと思います。

 1.日本人の食事・習慣説
 日本人の生活習慣が腰を曲げている、というものです。例えば、日本人は昔乳製品をあまり摂取していなかったため、カルシウムが足りず、骨粗鬆症になりやすい。骨粗鬆症になると、小さな怪我でも、背中が圧迫骨折(曲がってしまったり)する。また、かつては床に座って食事をしていたため、猫背になりやすい(椅子に座って食事するより、猫背になりやすい)という生活様式が影響している、という説。この説が正しいか証明するには、私たちの代が年取った時に腰が曲がっているかどうか、だと思います。私の年代は小さい頃からヨーグルトや牛乳を食べ、飲み慣れ、食事もテーブルと椅子でとります。そういった生活の習慣が変化することによって、腰が曲がったお年寄りが減っていれば、この説が正しかった、ということになります。

2.水の硬度の違い
 1の説は今のところ証明するものが無いので、「なるほど」という感じでした。が、フランス人の友人はこの2番目の説の方が有力、と言っていました。WHOの規定によると、水1L当たりに含まれるカルシウム、マグネシウムの量が120mg以下であれば軟水、それ以上であれば硬水と定めています。硬水と軟水について、日本でも話題になっているようで、この違いを説明したサイトがいくつもありました。

 そして日本で多いのは軟水です。つまり、カルシウム、マグネシウムがあまり含まれていない水が多いというわけです。では、なぜ日本の水は軟水が多いのか。それは地形によるもの、らしいです。山から水がやってきて、それが地中を通ることで、カルシウムなどを含んでいきます。が、日本は山が多く、高低差も大きい地形。そして、川に流れた水もすぐ海に出ていってしまいます。そのため、地中のカルシウム、マグネシウムに触れる時間が少ないため、軟水が多くなるようです。この説明を読んで、納得しました。というのも、スイスに居る頃は、「なぜ日本のように山が多いのに、硬水が多いのだろうか」と思っていたからです。確かに、スイスやフランスも山が多いですが、とにかく川が長い。大陸の国なので、山から地中へ、川へ、そして海へと行くまでに相当時間がかかるので、カルシウムなどたくさん含んだ水が多くなるようです。

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(これがContrex。ロゴも少し「健康飲料」という感じ)
 私が好きなVolvicは硬度62で、もちろん軟水。EvianやVittelは飲み慣れない味で、あまり好きではありません。これは硬度304、307と硬水。「水広場」というサイトで硬度を調べてみたのですが、見慣れた水もたくさんありました。フランスのスーパーで安売りしていて一度だけ買ったことのある、Contrexは硬度1468。案の定あまり好きになれず。友達からも「こんな水飲んでるの?あまりおいしくないのに。」と言われてしまいました。というのも、フランス人からするとこのContrexは「ダイエットする人が飲む水」と思われているようです。ヨーロッパは硬度の高い水が多いと言われていますが、硬度があまりにも高いと、ヨーロッパ人にとっても少し苦手意識があるのかもしれません。

 そして、フランス人の友人がこの第2の説の方が有力、と言ったのは個人の経験から。彼女はフランスの中心部にある、「フランスで一番人口が少ない場所」と言われるエリアに住んでいます。山からもとても近く、水道水がとてもおいしい場所でもあります。山から近いこともあり、水が新鮮でもあるのですが、小さい頃から少し困ったことが。ここに住んでいる人は、骨が弱かったり、歯が抜けやすかったりしていたそうです。そのため、医療が発達してくると、カルシウムなどの錠剤を飲む人が増えてきた、と言っていました。この水の硬度がどれくらいは分かりませんが、もしかしたら軟水のため、水からカルシウムなどを上手く摂取出来ていなかったのかもしれません。

 ということで、なぜ日本の年寄りは腰が曲がっているのか、という謎が少しは解けたようです。

お土産 [外から見た日本]

 新千歳空港で、国際線ターミナルがオープンして以来、ターミナルにたくさんお店が入ったらしく、とても賑わっていました。私が小さかった頃、最上階は小さなレストランと展示会場だけだったのですが、今では様々なレストランが入っていてびっくりしました。

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 そして、更に驚いたのがお土産屋さんの多さ!北海道にお土産が多いことは知っていましたが、そこで一人が買う量の多さにもびっくり!皆両手に紙袋を持っていて、もちろん、全てを機内持ち込みには出来ず、写真のような郵送システムを利用している人もたくさん居ました。

 お土産以外に、観光の定番といえば、絵ハガキ。札幌は観光地なのに、絵ハガキを見つけるのに苦労しました。あることにはあるのですが、8枚セット、10枚セット、とセットばかり。一緒に来ていたフランス人も「なんで選べないの?!」と言っていました。ハガキに関しての発見は今回が初めてでしたが、似たようなことは私も日本のレストランで感じます。日本の食べ物屋はセットや定食がやたら多い気がします。「セット」メニューを選ぶことは出来ますが、その内容を自分で変えることがほとんど出来ません(ご飯/パンを選ぶかぐらいのような気がします)。ヨーロッパでもセットメニューに似た、(フランス語で)「menu」というものがあります。日本語では「定食」と訳されていますが、前菜・メイン・デザートの選択肢が用意されていて、自分で選んで組み合わせるというものです。もちろん、前菜のメニューから前菜、メインのメニューからメインを、という王道もありますが、こちらは値段が張ります。逆にmenuはでは前菜2品、メイン2品、という選択肢が提示され、それを自分で組み合わせるという感じです。そのため、同じmenuであっても、様々な組み合わせがあります。

 日本のセットメニューの多さは、確かに店側(サービスを提供する側)が全て用意してくれ、客側はあまり選択をしない、という意味では楽かもしれません。が、自分が好きな物を選ぶ自由はかなり少ないような気がします。そのため、個人的にはハガキであってもレストランであっても、あーでもない、こーでもないと色々選ぶのが好きです。レストランへ行っても、ウェイターに聞いたり、もし一度来たことがある人と一緒なら、そのとき食べておいしかったものなども聞いて、選びます。私は優柔不断なところもあるので、いつも注文する物を決めるのは最後になってしまうのですが。

スキー遠足 最終回、への付け足し [外から見た日本]

 スキー遠足の記事を書きながら、自分のスキー授業を思い出していました。どうしてもこちらに居ると、「日本はどうだったっけ?」と自分の経験と比較してしまいます。そこから類似点、相似点を自分なりに見つけ、なぜ違うのか?という質問を、ここ数年よくやっているような気がします。今回のスキー遠足に関する記事を書いている間も、なぜスキー場で違和感を感じたのか、とずっと考えていました。

 スキー場へ行ったのは初めてではないし、(北海道内だけですが)異なるスキー場へも行ったことがあります。リフトに違いがあったにせよ、なぜスキー場のふもとで違和感をあれだけ感じたのか、謎でした。今から考えてみると、自分が行ったLes Houchesはレジャーの場所という印象がとても強くて、これが違和感を感じた大きな理由だと思います。

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(札幌でよく行っていたスキー場から見える駐車場)
 以前の記事にも書きましたが、フランスやスイスのスキー場は村がすぐ近くにあります。また今は、スキーシーズンなので外国人がたくさん居て、そういった観光客相手の店もたくさんありました。札幌のように、スキー場だけがポツンとあるわけではありません。単にこの違いが、違和感だと思っていました。が、それ以上に違いがありました。

 それは、スキーに対するイメージが根本的に異なるということです。これは日本VSヨーロッパというより、私の住んでいた札幌(北海道、雪国)対その他、という気がします。こちらで、スキーといって思い浮かべる言葉は「ロッジ、旅行、冬休み、レジャー」です。家族/友達が持っているロッジへ行き、そこに最低数泊して、冬休みを過ごす、というイメージがあるみたいです。が、私にとってスキーとは、スキー授業、つまり体育の延長です。もちろん、体育は大好きだったので、「スキー授業」という言葉がネガティブなわけではありません。

 (雪国外出身の人に説明すると)札幌では小1からスキー授業があります。2時間連続でこのスキー授業、と呼ばれる物が週1度行われます。このスキー授業がある間、体育館で行われる「体育」は無くなります。皆スキーを持って校庭に向かい、スキーを履き、授業開始です。小1ぐらいだと慣れていない子は、スキーを履くのに30分近くかかるので、準備を出来た人からゾロゾロと校庭にある小山へ向かいます。スキーを履いて校庭1週したりするので、小さいながら「スキーって滑る道具じゃなかったっけ?」と思っていました。もちろん、校庭にリフトは無いので、自力で山を登り、そうやく滑ることが出来る、というわけです。2時間の間で滑ることが出来るのは、2〜3回ほどでしょうか。

 そして、冬の間2回、スキー授業とは別にスキー遠足があります。これは近くのスキー場へ行って、1日滑る遠足です。中学、高校になると、スキー授業が無くなり、スキー遠足のみになります。

 スキースクールにも2年通わせてもらいましたが、もちろん日帰り。当時は全く違和感を感じていませんでしたが、札幌の中心街から1時間かからないところにスキー場があったので、スキースクールもそこで行われていました。スキーは泊まりがけで行くものだ、ということを知ったのは東京に来てから。関東の人は、電車や新幹線に乗ってスキーへ行く(新潟や長野)、という話を聞いた時は、「スキーって、旅行なの?」と、とてもびっくりしたのを今でも覚えています。

 そして、フランスやスイスの学校で、スキーをやるところはありません。どんなに雪が降っている場所でも、スキーは体育で扱うスポーツと考えられていません。そのため、家族がロッジを持っている子供は親からスキーを冬休み中に教えてもらうか、スキーキャンプに送り込まれます。もちろん、泊まり込みです。あくまで、家族旅行、冬休みの一環です。

 この感覚の違い、レジャーVS体育の授業、が自分の感じた違和感の大きな理由だと思います。

オリンピックにちなんで(札幌) [外から見た日本]

 さて、先日から日本で期待の女子フィギュアスケートが始まったようです。オリンピックにちなんで、札幌オリンピックについての話を書きたいと思います。

 小学校から高校まではずっと札幌で育ってきたので、北海道のありがたさはあまり感じていませんでした。が、大学から東京へ行ってから、ようやく北海道の良さみたいなものを少しずつ感じるようになってきました。例えば、スーパーで見たイクラの値段(同時に北海道で食べるイクラの質の高さ)を見て、とても驚きました。そして、大学では地方や別の国から来た人達が多くいましたが、北海道出身の人は私の学部にあまり居ませんでした。そこで、自己紹介をする度、他県の人から聞かれるのは「冬、学校へはスキーで行くって本当?」ということでした。北海道から離れた県に住んでいる人ほど、こういう質問をする傾向が強かった気がします。一体どういう情報源だろう、と思ってしまいましたが。「県民ショー」を日常生活で体験することになりました。

 北海道に対して変わったイメージを持っている人が多く居るにせよ、日本で観光客も多く、知られた県です。が、ヨーロッパに来るとHokkaidoを知っている人はあまり居ません。首都の東京、大都市の大阪、伝統の街京都などを知っている人は居ますが、Hokkaidoを知っているのは日本通、という感じでした。

 が、スイスに来てからはそういうことがほとんど無くなりました。自己紹介をして、私が日本出身だと分かると相手は「あー、遠いね。日本についてはほとんど知らないけれど、どこの街から来たの?」と聞いてきます。札幌、と答えると、「1972年にオリンピックがあった年だね」という返事が返ってきます。1972年時点では生まれていなかった私のような世代でも、(日本について全く知らなくても)札幌の名前は知っていて、最初はちょっとびっくりしました。オリンピックに関心を持っていないと、何年にどこの都市(国)で、オリンピックが行われたのかということはほとんど覚えていないと思います。私も1998年の長野オリンピック以前の冬季オリンピック開催地は結構あやふやです。そして、個人的な印象ですが、スイスと日本を比べると、日本の方がオリンピック熱、というのは強いと思います。それなのに、なぜ札幌オリンピックだけ知られているのか、とずっと謎に思っていました。

 そこで今回ソチオリンピックが行われているのを機に、なぜ1972年の札幌オリンピックがこれほど有名なのか、調べてみました。幸い冬季オリンピックは歴史が夏に比べると短いので、簡単に第一回目からメダル数を調べることが出来ました。まずスイスがこの年に獲得したメダルの数は10個、少なくはありませんが、特に多い、というわけではありません。他の年でも10個を取ったことがあるし、1988年のカルガリーオリンピックでは15個獲得しています。金メダルの数は、4個、これも特に多いというわけではありません。前回のバンクーバーでは6個、そして今回も既に6個獲得しています。

 そこで、1972年前後のメダル数を比較してみました。そしてようやく、1972年のオリンピックがスイス人にとって印象深いのかが分かりました。簡単に言うと、1972年で、冬季スポーツ(大)国スイス、を印象づけたからです。

 札幌オリンピック前の1968年グルノーブル大会、スイスは金メダル0、その前の1964年インスブルックはメダル0とスイスの「冬季スポーツ低迷時期」だったようです。1972年まで、メダル2桁を獲得したのは1948年自国開催のサンモリッツのみ。1960年代、スイスのスポーツ政策がどう変化したのかよく分かりませんが、1972年にようやく、冬季スポーツ国スイスが復活/誕生した、と言えるのかもしれません(この年のメダル獲得数ランキング3位)

 更に、1972年にスイスが獲得した金メダル4つの内、2つがMarie-Theres Nadigという当時17歳のスキーの選手。当時を知っているスイス人は「若い人が金メダルを取った大会」という印象が強かったみたいです。滑降と大回転という種目でメダルを取ったようです。ちなみに大回転の競技は手稲山で行われたようです。この山にあるスキー場、学校のスキー授業でよく行きました。「聖火台コース」というコースもあって、初めて行った時は「ずいぶんと変わった名前のコースだ」と思っていました。が、スキーの先生に札幌オリンピックが行われた場所だと言われて、納得した思い出があります。

Le vent se lève(風立ちぬ)を見て:ホストファミリーとの会話から [外から見た日本]

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 この映画を見に行く前に、私は新聞の批評も見てから行きました。もちろん、新聞によって各作品の評価は異なるのですが、専門家の意見、ということで、映画を見る前または後に読むようにしています。いくつかの新聞や雑誌の批評を読んだのですが、やはり共通していたのは「宮崎監督、最後の作品」、「『千と千尋の神隠し』や『もののけ姫』(フランス語圏で一番知られているジブリの2作品)とはかなり異なる作品、それでもやっぱり宮崎作品の特徴は残っている」というものでした。「千と千尋の神隠し」のようなファンタジーを少し期待していた批評家は少しがっかり気味の人が多かったようですが、それでも前向きな意見が多かったです。

 映画を見ている間で笑いが起こったシーンがあり、自分にはちょっと不思議でした。それは一列に並んで歩いたり、整列するシーン。ちょっと軍隊っぽい日本人のイメージにぴったりと重なるからでしょうか。

 そして、映画を見終えたホストファミリーが最初に言ったのは「intelligent(聡明)」という言葉でした。ゼロ戦の生みの親、という重いテーマ(戦争、隣国との関係など)が映画内で使われています。が、強いナショナリズムのメッセージ、逆に戦争擁護のメッセージも映画内にはありません。それとは別の強いメッセージを表現することに成功している、やっぱり宮崎監督は天才、と言っていました。戦争と隣り合わせの物を使って、あえて戦争とは少し別のことを表現していました。もちろん、映画内に戦争の影は存在していました。が、それでも戦争だけ、について語るのではなく、ある人物を描くという、バランスがすごい、と私は思いました。

 映画内で男女の関係も描かれていましたが、ヨーロッパと日本における感覚の違いは大きいみたいで、その点はやっぱり同意できない部分もあったみたいです。「分からないわけではないけれど、どうして?」と言っていました。

 そして、ホストファミリー、私が映画の中で一番気に入ったセリフはタイトルにも使われているLe vent se lève, il faut tenter de vivre(風立ちぬ、いざ生きめやも)。フランスの詩人Paul Valéryが書いた詩を堀辰雄が訳し、それが映画内で使われていました。フランス語の詩を日本人が訳し、それを日本の監督が映画内で使って、フランス語圏のジュネーブで耳にする、という面白い「輪」を見たような気がしました。

人間とロボット [外から見た日本]

 コンビニの営業時間に関するポスターを紹介した記事で「人間らしい生活」ということを書きました。この言葉に付けたす言葉があるとすれば、「ロボットのようではなく、人間らしい生活」だと思います。ヨーロッパに数年居てよく感じるのは、日本人とヨーロッパ人のロボットに対する印象の違いです。

 日本のマンガがヨーロッパで広く知れ渡っていることは、このブログでも何度も紹介してきました。本屋へ行っても、様々なマンガを目にします。マンガの知識は無くても、絵の雰囲気で何となく「これは日本人が書いたのかなあ」と分かるようにはなってきました。日本でも人気のONE PIECEは店頭の一番売れる所に置かれています。

 マンガをよく知らない私でも小さい頃にはまったマンガが「ドラえもん」でした。妹とよく読んでいて、周りでもマンガ、テレビを見ている人がよく居ました。韓国人や中国人と話していても、このマンガのタイトルは必ずと出てきました。それがなぜか、ヨーロッパに来てみると「ドラえもん」の表紙はほとんど見かけません。探せば多分あるのでしょうか、自分がよく行く本屋のメジャーなマンガコーナーには置かれていません。ジュネーブだけでなく、フランスなどの本屋へ行っても同じだったので、ずっと不思議に思っていました。スイスの「コンビニ営業時間に関する」議題の投票で、その謎が少し解けました。

 このコンビニ営業時間緩和の影響を受けるのはスイスは20数ヶ所のガソリンスタンドだけ。それでも、投票前には大きな議論が新聞などで交わされていました。影響を受けるガソリンスタンドについて、というより、そこから波及する影響を心配する声が多かったです。ガソリンスタンドの規制を緩和してしまえば、次に別のタイプの店が営業時間を長くするのは簡単、労働者の搾取がひどくなる、というのが反対派の意見でした。そこで長時間働かせられるのは人間、ということになります。ロボットのように働くようになってはとんでもない、ということです。

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(フランスで昨年公開されていたスウェーデンのドラマ。近未来でロボットが人間生活に浸透し始めた時代の話。タイトルは「Real Human」)
 アメリカでもそうですが、ロボットが出てくる映画となると、「ターミネーター」、「アイ、ロボット」、「アイアンジャイアント」(アニメーションだったけれど、結構怖かった)です。これらを見ても、ロボットはどちらかというと人間の敵として描かれています。逆に、日本に出て来るロボットは人間を助ける、味方というイメージが強いです(「ドラえもん」、「鉄腕アトム」)。ヨーロッパ人と比べると、日本人にロボットの敵意は少ないと思います。自分が「ドラえもん」を読んでいても、ロボットが反逆することなんてあるのかな、と考えたこともありませんでした。

 ヨーロッパは、さすが哲学の国、というか、「思考出来るのが人間」という考えが根底にあって、(考えることが出来ない)ロボットを同類として見ることは出来ないようです。また、ロボット=人間の仕事を取り上げるというイメージも相当強く持っています。

 ヨーロッパ人の中には日本=科学先端の国というイメージがあって、人間介護ロボットや美術館にロボットの案内係が居るというニュースを聞くと、毎回不思議がっています。私もロボットの案内係、頼りになるのかなあと思ってしまいました。こちらの人は、「機械は機械、いつか壊れる」と考えているので、そんな物に自分の命や大切なものを任せられない、とよく言っています。

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 「不気味の谷(Uncanny Valley)」というロボット界で有名な説があります。私も詳しいことは知らないのですが、ロボットが人間に似てくるとある程度までは信頼感を持ちますが、似すぎると逆に恐怖感(不気味)を抱くようになり、更にロボットが人間に似すぎるとその恐怖感は消え去っていくという説です。上のグラフを見てもらった方が、分かりやすいと思います。個人的に、この説なかなか当たっているような気がします。スター・ウォーズに出てくるようなR2-D2やC3POなどは、ほとんど人間の形をしていないので、ペットのようにかわいい、という印象を抱きます。が、人間の皮膚を再現したものをまとった人形/ロボットは正直とても怖いです。

 このロボット、人間の話は、ヨーロッパに来てからよくするようになりました。「この話を始めると、様々な話題に広がっていくのですが、最終的にはいつも「いつか人間がロボットにコントロールさせる日がくる」というちょっと暗い結論で終わります。
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