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The New Pope(2020)おまけ [映画’21-]

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(イタリア、のように、カトリックが強いマルタの教会)
 今シーズンのとあるエピソードで、「Eight per thousand (law)」、「1000分の8‰法」という聞き慣れないイタリアの法律が登場していました。ドラマの会話内容からなんとなく、イタリアの税金の話、ということは推測出来ました。が、それが何を意味しているのかはっきりは分からないので、調べてみました。簡単に言うと、「寄付税」でしょうか。Wikipediaで調べてみると、仕組みが面白かったので少し書いていきたいと思います。

 日本ではあまり馴染みの無い、このイタリアの「1000分の8‰法」。これに近い、ドイツの税は「教会税」でしょうか。住民登録をする時に宗教を聞かれ、主にキリスト教関連の宗教と回答した場合、自動的に自分の収入からこの「教会税」が毎月徴収されます。ただ注意しなくてはいけないのは、しっかり「キリスト教以外」と答えないと、自動的に「教会税徴収グループ」と見なされ、給料から引かれます。私も働き始めた最初の月は、手続きが遅れ、「徴収グループ」と見なされてしまい、「教会税」が徴収されました。もちろん、後からしっかり返してもらいました。キリスト教以外の宗教の場合は、給料から自動的に徴収されることなく、(寄付したい場合)各団体に自分で直接寄付することになります。

 イタリアは異なるようで、宗教に関わらず、一律で、収入の0.8%がこの「寄付税」として徴収されるようです。ただ、ドイツの「教会税」と大きくことなるのは、自分で寄付する相手(団体)を選べるということ。この税金が寄付される宗教団体もキリスト教に限らず、ヒンドゥー教など異なる宗教もありました。ちなみに、イタリアにも信仰者が多いであろうイスラム教はこの寄付先にはなっていませんでした。そして、寄付先を「イタリア政府」に指定することも出来るようです。これは、国家予算へということではなく、飢餓、自然災害等への支援の寄付となるようです。納税者が寄付先を選べるのはなかなか良いシステムだと感じました。信仰していても、教会には寄付したくない、という人も居るだろうし、何より税金の使い道が(少しでも)自分の意志で選べるというのは納税者としても、より納得出来る方法だなと思いました。

 ちなみに、ネタバレしない程度に書くと、ドラマでは、この「1000分の8‰」による税収が減り、バチカンの予算が圧迫されている、という場面でこの法律が登場していたのでした。「バチカン市国」という一応国家という形を取っているけれど、資金面では大きくイタリアにやはり頼っている、ということがよく分かるシーンでした。
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The New Pope(2020) [映画’21-]

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 第一シーズン、と呼んで良いのか分からないけれど、The Young Popeに続いてのThe New Popeとなります。The Young Popeが良い感じに一応終わっていたので、新シーズンが始まるとなった時はちょっとびっくりしました。ただ、新シーズンがどんなものか、気になるので、早速見てみました。

 前シーズンは、今まで見てきたドラマの中で一番好きなオープニングだし、教皇とシスターのやりとりも良かったし、信仰心と人間の矛盾を浮き上がらせる宗教問答も良かったのでした。そのため、どうしても続きということで、前作と比較してしまいながら見てしまいました。そして前作と今作どちらが好きか、と聞かれると、正直私は前作の方が良かったと思ってしまいました。それでも、今作は今作で面白い部分があったし、あの宗教問答が健在していて見応えがありました。

 一番驚きだったのは、ジョン・マルコビッチの役でした。「かなり変な人」だったり、悪役、でしか見たことがなかった俳優さんでした。そのため、このドラマである程度「普通」の人の役を演じているのを見るのはびっくりでした。もちろん、バチカンが舞台のドラマなので、何をもって「普通」とするのか、または「普通じゃない」ことが「普通」の場所と言えるので、ある意味適役だったのかもしれません。

 私が前シーズン面白いと思えた理由の一つが、このドラマの監督の宗教感。キリスト教(というか宗教)を批判している部分ももちろんあるけれど、でも信仰者に寄り添うような描写もあって、分かりやすい「二項対立」構造をあえて作らない演出が好きでした。信仰者と非信仰者、キリスト教とその他、と分かりやすく二分できるものでもないと思うので、この対立構造を避ける演出は好きでした(その分、哲学的ですごい分かりづらいセリフも多いけれど)。ただ見ながら、「この監督の宗教感というか、信仰心はどんなもんなんだろう?」とふと疑問に思う時もあります。ただ、今シーズン、若干急ぎ足のような感じもして(特に最終話)、「あれ?何でこんな分かりやすい『二項対立』にしているんだろう?」と監督の演出に関して若干不信感を途中まで抱いてしまいました。駆け足だった最終話だったけれど、監督の演出が最後にしっかり出て、「そうだよね、そんなわけないよね」と安心することが出来ました。
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She Said(2022) [映画’21-]

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 「2022年の映画」記事にも書いた作品ですが、昨年見た作品です。これは予告編を見てから、気になっていた作品でした。数年前に起こった映画監督/プロデューサーセクハラ告発記事を書いた、New York Times(女性)記者2人の話。1970年代、(当時)地方紙の一つであったWashington Postがベトナム戦争関連の記事をすっぱ抜き、それを率いた女性編集者の映画「The Post」に続いて、女性記者の作品と言えるかもしれません。告発記事が出たのは、2017年なので、5年近く前ではありますが、当時、記事を追っていた私には興味深い作品でした。ただ、この記事を書いた記者が更に本を書いていたことは知らなかったので、是非読んでみたいと思います。

 セクハラをした本人の姿をほとんど全く見せない、という演出は不気味さがあるし、記者と告白者の話だ、というメッセージがはっきり読み取れます。そして、何よりこのプロデューサー本人だけでなく、映画業界、システムがそういった人達を守るように出来てしまっている、ということが上手く説明されていた作品でした。

 なかなか被害者の実名を記事に載せる、ということに同意してもらえる事は難しいので、どうやって説得していくか、また、そもそも被害者をどうやって探し出すか、という「声」を探す話でした。正直、「そのインタビュー、ちょっと焦りすぎじゃない?」と思う場面もありましたが、時間のプレッシャーもある新聞なら仕方がないのかな、とも考えさせられました。

 また、この記事を書いた女性記者二人の話でもあるので、仕事(キャリア)と子育ての両立、という永遠のテーマも描かれていました。仕事以外のテーマにも焦点を当てることで、より現実的な作品になっていた気がします。私は当てはまらないけれど、周り、というかすぐ近くでこの両立に苦労している人達が居るので、本当にまだまだ難しいんだなあと思います。小さい子どもが居る人と初めて仕事をしてみて、小さい子どもがこんだけ風邪を引いたり、病気になったりするということを実感し、予定調整が大変だろうなあ、と他人事ながら思ってしまいました。もちろん、頭で子どもは風邪をひきやすいと理解していましたが、当事者と仕事をしてみて改めて実感したのでした。
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新しい事に挑戦 最終回 [2022年ドイツ]

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 前回の記事から日にちが経ってしまいましたが、まとめを書いていきます。

 自分の原稿に対する査読をもらった場合は、かなり時間がかかるし、頭を悩ませるけれど、自分でどうにかする、ことで解決する気がします(原稿が受理されるかどうかは別として)。ただ、今回は、自分が書いた原稿ではなく、特集号をまとめているので、同じ査読を読む、という作業でもちょっと異なりました。特集号の中の原稿は必ずしも自分の専門では無いけれど、他の人の原稿をチェックして、その人宛てに来た査読を読んでアドバイスして(なだめて)、ジャーナルの担当者/編集チームとやりとりをして、と自分が原稿を書く時はちょっと異なる作業でした。中には、正直、若干プロ意識に欠ける人も居て、コミュニケーションに苦労しましたが、それもこういう仕事の勉強の一つでしょう。

 特集号の序論を書くのも、この作業の一部だったけれど、意外と時間はほとんど割かれず。「他の部分」にたくさん時間を割いた作業でした。誘ってくれた同僚が居てくれたおかげで、色々相談したり、作戦を立てて対応したり、勉強になる経験でした。3年近くかかり、正直もう少し早めに決着をつけたかったプロジェクトでした。「終わらない」、または頓挫してしまうプロジェクトも、もちろんあるので、不可抗力が多い中で、コントロール出来ないのはしょうがないのかもしれません。時間はかかっても「完了」したことは嬉しいし、もう少し「忍耐を持つ」という教訓だったのかもしれません。
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バレエを鑑賞 [2022年ドイツ]

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(バレエを見た劇場)
 前回、オペラを見に行って、かなり良かったので、今回はバレエ、を見てきました。オペラ劇場ではなく、普通の(ミュージカルとかをやるような)劇場での上演でしたが、見に行って良かったです。

 今回見に行ったのは定番中の定番、三大バレエの一つ、「白鳥の湖」です。あまりにも定番過ぎて、バレエを見に行ったこともないのに、いくつかのシーンで「見覚えがある」と思ってしまうほど。もちろんセリフは無く、踊りというかバレエと音楽だけ。クラシック音楽と言えばの、「第二幕 情景」の曲で、バレエダンサーが登場した時は鳥肌が立ちました。

 柔軟性が無いと出来ないダンス/芸術、であることは重々周知だったけれど、ダンサー見るとほとんど無駄な筋肉が無いということがよく分かります。ステージ上だけ重力が無いのでは、または天井からロープが吊されているのか、と思うほど、文字通り「フワッ」と高く飛んだり、持ち上げたりするのは、本当に見事でした。

 また、バレエほど、ダンサーの「格」や序列が如実に分かる舞台芸術は無いかもしれない、と思いました。例えば普通の舞台だと、主役をやる人はもちろんある程度実力がある人。ただ、脇役の役者も癖のある人が居たり、演技力が無いと出来ない役があったりして、主役=ナンバーワンではない気がします。ただ、バレエは、プリンシパル(フランス語だとエトワール)、ソリスト等と分かれていて、今作品でも主役=トップということが如実に分かりました。華があるというか、登場しただけで、「あっ、この人がトップなんだ」ということが把握出来ます。

 衣装が違うのはもちろんのこと、一人で踊る場面が圧倒的に多かったです。実力あっての、プリンシパル、「白鳥の湖」のクライマックスの一つ、フエッテ(回転)をやったときは自然に拍手が出ていました。そして、プリンシパルだけでなく、ソリストとその他のダンサーにも序列があるようで、ソリストは脇役ではあるけれども、明らかに他のダンサーより、多くの踊る場面をもらっていました。2時間近くの公演、練習をたくさん積んでいるのは当たり前だけれど、どちらの足から出すのかとか、回転する方向とか間違えないのかな、と鈍くさい私は少し思ってしまいました。

 と、初めてのバレエ、舞台に釘付けであっという間に終わりました。公演後、「ダンサーのあそこがすごかった」と色々話す私を見て、一緒に鑑賞した友人は「そこまでAmyが感動すると思ってなかった」と驚いていました。
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