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転地療法と合宿? [2022年ドイツ]

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(リトリートにぴったりの城?)
 先日、日経新聞を読んでいたら、「リトリート」の話が出ていました。個人消費のトレンドとして時間(の使い方)がテーマの特集記事となっていました。その一例として、心身リフレッシュをするための時間の旅行を表すのに「リトリート」という言葉が使われていました。しかし、この記事を読んで、私はちょっと違和感を感じたのでした。なぜなら、ドイツ(大学)ではちょっと違う状況で「リトリート」という言葉が使われるからです。

 元々の英語だと、「撤退」という意味ですが、日本語だと、「都心などの喧騒から(物理的に)離れてリフレッシュする」という意味で使われている印象で、「転地療法」とも言うようです。Googleで「リトリート」と検索してみると、郊外のリゾート地など、休暇用の場所が色々出てきます。しかし、ドイツの大学だと、リトリートは、仕事関連の言葉として使われています。日本語の表現で一番近いものだと、「(ゼミ)合宿」でしょうか。大学(都市)の喧騒から物理的に離れて、小屋や宿泊施設に籠もって、研究発表して、コメントし合う、旅行のことを、(少なくともドイツの大学では)、リトリートと言います。ドイツ国内のリトリートに参加した知り合い曰く、「バーもレストランも無い場所で籠もるから、楽しみがほとんど無かった」とのこと。夏でもなかったので、BBQなども出来なかったようです。

 ちなみに私の初めてのリトリートは、東京の赤坂見附でした。ドイツの博士課程2年目、同期皆アジア各国で現地調査を行っている時で、(現地調査開始半年経ったぐらい)途中経過発表として、このリトリートが開催されたのでした。アジア各国に散らばっていた同期、それぞれの指導教官が東京に集まって、2日間調査の途中経過発表会が行われました。確か一人30分ぐらいの発表時間+30-45分ぐらい質疑応答があった気がします。こんなに長時間自分の研究を発表することもなかったので、かなり濃い時間でした。

 毎年リトリートが開催される国は変わるのですが、私の代は日本で開催。単純にドイツ関連の施設が赤坂見附近くにあったから、このエリアでの開催だったようです。同期や教授陣は普段の大学や調査場所から離れた本当の意味での、「リトリート」でした。が、赤坂見附という場所、そして私を含め日本で現地調査を行っている人達は、通いでの参加だったので、街の喧騒を離れた「リトリート」という感じは全くしませんでした。ただ、朝から夜まで、会議室に缶詰で、昼食、夕食ずっと一緒、スケジュールは完全に、ドイツの大学で使われている意味での「リトリート」でした。この「リトリート」、久々に同期に会えて、何回か飲みにも行けたので、楽しい思い出として残っています。最終日は、3次会までやって、終電ギリギリで帰りました。

 今の研究プロジェクトもドイツの大学で行われている(調査場所はアジアでも)ので、「リトリートをやるか」という話が最初は出ていました。が、プロジェクトの計画を練っていたら、やることが多くて、結局流れてしまいました。
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En Corps(2022) [映画’21-]

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 この作品は映画館で見よう、と決める理由はいくつかあるのですが、今回の作品は監督が決定打。Cédric Klapischというフランスの監督が居るのですが、彼の作品が好きで映画館で見ています。正直「傑作!」という作品があるわけではありません。ただ、私がフランス語を勉強し始めて、初めて見たのが、「ロシアン・ドールズ」という彼の作品。ハリウッド映画とは違う、「主人公の頭の中で起こっていることをそのまま映像にする」という感じにちょっとびっくりして、それ以来印象に残っていて、新作が出るとチェックしています。

 各作品で「20〜30/40代ぐらいの人達数人」を軸に色々な人々を描くことが多いので、誰かしらに感情移入出来る、のが見続けている理由かもしれません。高校生ぐらいから今まで、私の立場やキャリアが異なる時期に見てきたけれど、各作品で共感出来る部分や人物が居て、見る度に「良いなー」と思います。

 前々作は、ブルゴーニュ地方ワイン生産者の兄弟(「おかえり、ブルゴーニュへ」)、前作は、パリの悩める男女が描かれていた(「パリのどこかで、あなたと」)のですが、今作はパリとブルゴーニュ地方を舞台に、ダンサーの話でした。この監督が好きな理由の一つに、パリという街の描き方が上手いこと。いわゆるパリの名所は一切登場せず(モンマルトルの寺院が映るのみ)、ちょっとゴチャッとしたパリのアパートをよく撮っていて、生活感のあるシーンが多く、私は結構好きです。

 元バレエダンサーが怪我でキャリアを断念して、次を探す、という、予告編を見たら結末は大体予想出来るストーリーです。結末や大体の流れが分かっても、やっぱりそこまでの流れやセリフを聞いていると、「そうそう!分かるなー」と大きく共感出来る部分が多かったです。次のステップを考える上で、どこまで「妥協」して、どこまで自分のやりたいことを通すのか、「軸」を持って色々模索するのは何歳になっても難しいなあと感じさせられる作品でした。私の周りでも、キャリアの転換期を迎えている人が多いので、余計にそう感じたのかもしれません。
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夏の旅行 おまけ [2022年ドイツ]

 6、7月と出張が多かったり、研究プロジェクトが忙しかったりで、夏の間は旅なし、夏休みはありませんでした。昨年の休みが残っていたので、有休消化として一応取りましたが、連絡の不備があったのか、大学の入試の手伝いを頼まれたり(他の人が夏休みとっていて連絡がつかないから)全く休み感の無い夏休みでした。

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(私の近所はカフェ激戦区。私の知る限り、徒歩2分圏内にカフェ4軒あって、その内一番人気)
 しかしせっかくの夏休みなので、近くの行ったことのなかったカフェに行ってみたり、映画館へ行ったりしました。そして、デュッセルドルフの有名だけど、行ったことのなかったケバブ屋さんへ行ってきました。すると、久々に蕁麻疹を発症しました。翌日にはひいていたけれど、10何年ぶりだったので、びっくりしました。この期間、気温が下がって、体調が安定していなかったのでしょうか。そして、その翌日に下痢、同日にドライヤーが故障、となんとも言えない感じで夏休みが終わりました。ドライヤーは2016年に引っ越した先輩からもらったものだったので、単純に寿命でしょう。でも色々と不調が多かった夏休みでした。
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夏の旅行 最終回 [旅’20-]

 9ユーロチケットを活用してもう一つ行ったのがハイキング。ハイキング好きな友達のグループに入れてもらって、3ヶ月間でいくつかハイキングへ行きました。本当は登山とはいかないまでの山登り、でも良かったのですが、平地が多いドイツ、現実的なのは、ハイキングでした。

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(道なのかよく分からないハイキングコース)
 ちょっと自分たちが住んでいるエリア(NRW州)から出てみたいけれど、遠出はしたくない、そんな小旅行にぴったりなのが、Rheinland-Pfalz州。私の州から南、ドイツ全体に見ると南西部、でしょうか。Rheinlandという地名からも分かるように、ライン川に面した地域で、ドイツのワイン生産地としても有名です。自然が多いので、ハイキングの道もたくさんあります。

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(ハイキングのコースの標識)
 ドイツの公共交通関連のインフラはほとんど信頼していない私ですが、ハイキング関連のインフラには絶大な信頼を置いています。ハイキングが有名なエリアへ行くと、レベル、高低差、難易度、時間に合わせて様々なコースが用意されています。そのコース名に合わせた標識(写真だとWelterbesteigというコース名)がコース途中(森林が多い場所でも)に色々貼ってあり、この標識に従っていけば最終目的地に到着出来るというわけです。スマホを使うという手もありますが、森林内に入るとGPS機能が良くなかったり、道なのかどうかよく分からない小道を通過する場合があり、結局ハイキング道中一番役立ったのはこの標識でした。

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(ライン川)
 このエリアでのハイキングは何度か行きましたが、最初はハイキング上級者と一緒だったので、足手まといにならないように歩きました。確か全長23キロ、6時間ぐらいかかるコースでした。思ったより遅れを取らずに歩けたので、ホッとしました。逆に、8月の中旬に行った際、距離は短かったけど(10キロちょっと)、気温30度の中で歩いたので、帰宅した際には軽度の熱中症でした。どおりで、この日はコースに人が居なかったわけでした。

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(ブドウ畑)
 他の州でハイキングをしたわけではないので、比較は出来ませんが、この州のハイキングコースは景色が良かったです。ライン川の周りを歩くハイキングコースが多かったです。新川、江戸川(とセーヌ川もかな)、と川の近くで生活してきたせいなのか、川を見ると「良いなー」と思います。規模で言えば、ライン川が一番大きいと思いますが、うねり具合がよく見えるのもハイキングの醍醐味でしょうか。川が見えるのはもちろん、傾斜から見えるブドウ畑も見晴らしが良いです。熱波が多かった今年のドイツ、甘いブドウがたくさん採れているのでしょうか。そして、ハイキングが終わるとみんなと「一杯」飲んで帰りました。もちろん、「一杯」はワインなのですが、私はブドウジュースを飲んでいました。
(私の「一杯」)
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夏の旅行 その3 [旅’20-]

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(コロッセウムのような)
 8月末まで夏の3ヶ月、月9ユーロでドイツの全国の公共交通機関乗り放題、というキャンペーンが行われていました。遅延、キャンセル、座れないと、日常生活では割と私はデメリットが多かったのですが、せっかくの機会なので、チケットを使って州内の旅へ。Xanten、という、「まさかXから始まる都市があるとは!」と思わされる街へ。クサンテンと読むみたいです。

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(これももちろんレプリカ)
 小さな街なので、電車では1時間半ちょっとかかりました。ローマ帝国時代の軍用都市だったらしく、ローマっぽいコロッセウムが復刻されている、屋外博物館(北海道の「開拓の村」みたいな)があったりしました。もちろん、当時の物というわけではなく、レプリカでしたが。でも、ドイツの田舎にローマっぽいものがあるのはかなり不思議な感じでした。

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 そして、この街でもう一つ有名なのが風車。風車と言えば、オランダ、ということで、「見た目が良い」というイメージが私は強いのですが、元はと言えば、重要な動力です。この街の風車、Windmill(「風の粉ひき」)という英語のまま、小麦をひく動力となっていたようです。現在はフル稼働ではないようですが、今でも小麦をひいて小麦粉を作っているようです。この風車の下はパン屋になっていて、美味しいパンが作られていました。
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夏の旅行 その2 [旅’20-]

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(半日後ようやく乗れた帰りの飛行機)
 ドイツ国内の電車での遅延はもちろんでしたが、飛行機の遅延は結構ドキドキでした。オスロー行きはそもそも、デュッセルドルフからの直行便が少なく(1日1本とかで、確か毎日便があるわけでもない)、帰りは遅延により乗り継ぎに乗れず、翌日出発。チューリッヒ乗り換えだったのですが、振り替え便は翌日の日曜日になりました。キャンセルになってしまったけれど、久々のチューリッヒで半日楽しむことにしました。ちょうど知り合いが住んでいるので、合流して夜ご飯を食べることにしました。

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(スイスといえばチョコレート)
 本来であれば航空会社(私の場合スイス航空)がホテル等を用意してくれるのですが、あまりにも遅延・キャンセルが多かったこの日、そこまで対応出来なかったようでした。実はこの週末、ヨーロッパ規模で航空会社の予約システムに問題が出ていて、各国で遅延、キャンセルが相次いだようです。「ホテルを予約出来ないので(そこまで手が回らないので)、自分で予約して、後日返金します」という、1時間並んだ末の情報がこれだったので、ちょっとガックリ疲れてしまいました。ただ、スイスは全く知らない国では無く、勝手が分かっているので、その後の移動はストレス無しで出来ました。

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(チューリッヒの湖)
 翌日の午後には出発だったのですが、チューリッヒ市内に滞在していたので、1時間ほど市内を散歩することが出来ました。青空の晴天で、かなりの散歩日和でした!ドイツ語が大半を占めているスイス、でもやっぱり私にはちょっと違和感があり続けるドイツ語圏チューリッヒでした。まだまだ知らないドイツ語圏スイスがあるので、また来たいなあと思います。
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夏の旅行 その1 [旅’20-]

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(オスロー市庁舎内)
 6月下旬頃から7月上旬は出張が多く、電車、飛行機での移動が毎週のように続いていました。ベルリン、オスロー(からの予想外のチューリッヒ)、フランクフルト、でした。ドイツ国内の移動は、9ユーロ期間中、オスロー行きの飛行機は、ヨーロッパ各国で空港でのシステム障害出た時期に重なってしまいました。

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(学会が行われたオスロー大学内。いわゆる「北欧デザイン」のイメージ通り!)
 オスローは学会で行ったのですが、初めてのノルウェーでした。時間が全く足りず、訪れたかったムンク美術館は残念ながら行けませんでしたが、市内散歩は少し出来ました。ノルウェーと言われて、正直イメージするものがあまり無いけれど、道が意外とキレイでびっくりしました。物価が高い、高いと言われているけれど、許容範囲以内だったので、そこまで驚かず。その1週間前に行った、ベルリンでの物価に驚いたせいもあるかもしれません。

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(オスロ・フィヨルド湾。そしてさすが北欧、20時15分でこの明るさ)
 印象に残ったのは、海と魚!厳密には、北海へ続くオスロ・フィヨルドという湾ですが。海に面していないドイツから来ると、海/湾を見るだけでワクワクします(日本に居る時、そこまで海へ行っていたわけではないけど)。意外と今年2度目の、海でした。来年も海に面した国に行けそうなので今から楽しみです。
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偶然と想像(2021) [映画’21-]

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 「ドライブ・マイ・カー」の監督作品が、デュッセルドルフ公開になったので見に行ってきました。それが「偶像と想像」。予告編をチェックしていかなかったので、どんな作品なのかよく分からず見ましたが、3つの短編からなるオムニバス映画でした。珍しく、邦題よりドイツ語/英語タイトルの方が作品を上手く表している気がしました。ドイツ語は「Glücksrad(運命の女神の輪/車輪)」、英語は「Wheel of Fortune and Fantasy(運命と想像の歯車)」となっていて、この作品のテーマをビシッと言い表していると思います。

 開始5分で「これも、村上春樹が原作?」と思うぐらい、ちょっと回りくどく、でも共感出来る表現が続きます。本作は、村上春樹が原作ではないけれど、この小説家っぽい作風と親和性がある監督なのかもしれません。そして、この監督作品の特徴である、「車内のシーン」が本作でありました。オムニバスの第1作目は車内という狭い空間を何分にも渡って見せ続け、また観客を飽きさせないすごさがあって、この監督作品の特徴なのかなあと思いました。車内の会話(セリフ)も「普段こんなこと言わないよね」という表現が続くのだけれど、なぜか相づちとかやりとりと共にすごく「リアリティ」がある内容に私は感じました。3作の中で、作品名、内容共に一番面白かったです。

 第2作目は、タイトルが意外と深い(他の2作のタイトルも良いんだけれど)。この短編最後に、タイトルの意味を考えると、色々考えられて知的好奇心が刺激される感じがします。日本社会の色々な、表面的、根本的な問題が短時間で上手に描かれ、且つ、細部の伏線が良いです。ただ、この作品内に登場する嫌な若い男の子のキャラクターに、私が「人として嫌だなあ」と思う要素全てつまっていて、ずっとイライラしていました(それだけ作品に感情移入出来たってことでしょう)

 最後、3作目は、あまり感情移入出来なかったのだけれど、この3作品全体の作風をキレイにまとめていました。正直、3作品に共通登場人物/背景があるわけではありません(私は少なくとも分かりませんでした)。でも各作品、「渦中にいる人達は悲惨/かわいそうだけれど、俯瞰で見ると笑っちゃう」みたいな部分があります。下手するとコント/コメディ劇になってしまう、でもならない、繊細な部分を上手に描いていました。作品の一般的なジャンルとしては、「ドラマ」とかの分類になると思うけれど、「不思議な偶然が重なり合って、結果悲劇的な運命になる登場人物、でも俯瞰で見ている人達は笑っちゃう」という、不思議なコメディとも取れる作品でした。
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定番の差し入れ/プレゼント [2022年ドイツ]

 日本ほど、「お土産」の文化があるわけではありませんが、ドイツでも(ドイツに限らずヨーロッパでかな)家に招待されたりなんだかんだすると、手土産を持って行きます。招待してくれる人との距離にもよるけれど、よく知らない人の場合、「無難」なのは、花、チョコレート、ワイン。ドイツ=ビールのイメージが強いけれど、(白)ワインも有名です。というより、私の周りでは、ビールもワインも飲む、という人より、ワイン飲むけどビールは飲まないという人が多いです。なので、誰かの家に招待された時、私はワイン屋さんに行き、とりあえずの予算を言って、お店の人に選んでもらったワインを持参します。お酒を飲まない人の気持ちが私はよく分かるので、チョコレートも一緒に持っていきます。

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 そして先日、定期購読を始めた新聞から「購読のお礼」のプレゼントをもらいました。それが写真のワインでした。プレゼントをもらう際、選択肢は「赤・白」の二択のみ。よく分からず、とりあえず赤を選んでしまいました。ワインをあまり飲まない私でも「料理に使うにはちょっともったいないワイン」ということが分かるぐらい、聞いたことがある名前だったので、もらった時は迷ってしまいました。結局、ワインが好き(だけどビールはほとんど飲まない)お世話になっているドイツ人の同僚にあげました。
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