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2022年の映画 [映画’21-]

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(私がよく行く映画館)
 あっという間に大晦日が来ました。例年通り、振り返りも兼ねて、2022年の映画感想をサラッとまとめたいと思います。

 今年は長距離飛行機移動が何度あったので、機内で映画をかなり見ることが出来ました。今年見たのは24作品。例年通り、私のベスト3作品を書いていきたいと思います。この3作品に順列はなく、印象に残った3作品ということになります。

1. Broker
 多分、映画業界内ではっきりとした定義はあるのだろうけれど、現在は○○(国名)映画/作品と区別するのが良い意味で、難しくなってきている気がします。ヨーロッパで合作は多いけれど、日本(アジアもかな)ではまだまだ、合作が少ない中、合作と呼べるのがこの作品の気がします。この映画、出演者が韓国人俳優、舞台が韓国、日本人監督(是枝監督)という作品。韓国が舞台だけれど、この監督の作品だとしっかり分かるカットや演出がたくさんありました。

 作品名の通り「ブローカー」の話。ざっくり言うと、赤ちゃんブローカーの話です。映画を見終えて、色々考えてみると、テーマは(色々な意味を含めて)「母性」、でしょうか。法律と現実(社会)の間に居る人を描くのが本当に上手い監督だと思います。全てを説明せず、でも万国の鑑賞者にセリフとセリフの間、字幕で見たので文字通り、「行間を」しっかり読ませる、セリフを上手に使う上手い監督だなと再認識できる作品でした。

2. She Said
 詳しい感想はまた今度。映画プロデューサーのセクハラを新聞社が暴く、という実話を元にした作品。久々の「ペンは剣より強し」を見た気がします。ニューヨークという舞台柄なのか、はたまた社風なのか、記者達の服装がオシャレで、且つある程度機能的なのも印象に残りました。

3. Prestige
 これは、テーマというより、作品の構成が非常に面白かったです。この作品の感想も書きましたが、スカッとするぐらい「しまった、騙された!」と思えた作品。様々な登場人物のセリフにヒントを残しつつ、でも鑑賞者に違和感を持たせない程度、その塩梅がぴったりでした。そして最後のどんでん返し、が気持ちよかったです。

 と、短いですが、今年見た映画3作品を振り返ってみました。皆さん良いお年を!そして2023年もどうぞよろしくお願いします。  
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新しい事に挑戦 その3 [2022年ドイツ]

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 もちろん、特集号の序論を書くのも仕事だけれど、大きな仕事はスケジュール管理と、ジャーナルと論文の著者の間に入ってのコミュニケーションでした。通常、ジャーナルへ論文を投稿する際、原稿を書いて、それを他の研究者に査読してもらい、修正して、掲載するかどうか決まるという流れになります。私と同僚の仕事は、その原稿をチェックして、査読コメントを読んで、アドバイスをして、ジャーナルの人とやりとりをして、とにかく、特集号の原稿を「まとめる」ことが仕事でした。

 査読とは、外部の専門研究者がその原稿を読んで、内容をチェック、ジャーナルに掲載するかどうかの判断材料を、コメントとして提示する作業です。実際掲載するかどうかは、ジャーナルの編集チーム/編集者にゆだねられているのですが、この査読コメントが大きな鍵になります。私達が選んだジャーナルは、「論文著者、査読者、お互い誰か知らない状態」で査読を行うダブル・ブラインド、という方法。このおかげで(せいで)、客観的に、特に(意味もなく)厳しいコメントがあるのもこの査読方法。全く問題なく、査読を一発で通すのはほぼほぼ不可能と言われています(教授レベルでも)。完璧な原稿はない、ということなのでしょう。もちろん、査読を通過出来ない「Reject(掲載拒否)」もあります。査読で大体来る評価は、major revision(大幅修正)、minor revision(わずかな修正)の判断が下されて、原稿を修正ということになります。理系分野だと、major revisionの場合、追加実験を要求されたりするようですが、私の分野では、(もちろんデータの量や質にもよるけれど)、分析枠組みをもっと強くしろ、とか、文献関連のことを言われることが多い気がします。ただ、大幅修正には変わりないので、ほぼ原稿書き直し、みたいな状態に(少なくとも私は)なります。原稿を修正していく中で、査読者のコメントにどう対応していくか、というのが、最終的に「受理」にこぎ着けるコツ。もちろん、査読者のコメントに反対/反論することは可能。コメントに同意、反対、というより、一つ一つのコメントに対応する、というのが重要(と私は教えてもらった)のようです。
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新しい事に挑戦 その2 [2022年ドイツ]

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 じゃあ、給料をもらって、何をしているのか。簡単に言うと「世の中のまだ知られない/理解出来ていない事に関する現象のデータを取って、それを分析して、『知識』として説明する」のが大きな仕事でしょうか。これをしたから、こうなった、という因果関係の説明、が一番分かりやすい例でしょうか。実験でのデータ、ではなく、私はインタビューでデータを取る、という方法を使っています。ざっくり言うと、そのデータを分析して、論文/口頭発表する、というのが大きな流れです。ただ、完全な自営業ではないので、この研究に直結することだけをやっていれば良いわけではありません。そこまで色々やっているわけではないけれど、勉強会に参加したり、他の論文の査読をやったり、「その他のこと」をやるのも、仕事の内です。

 色々頼まれたり、声をかけてもらったりした時に、私の判断基準は直感的にやりたいか、やりたくないか、だけではありません。もちろん、自分が興味あるかどうかは重要な基準ではあります。が、それ以外に、その経験を通して自分が学べることがあるかどうか、は結構重要視しています。たとえ、成果と自分の費やす労力があまり一致していなくても、経験を通じて新しい事が学べると思ったら、やってみることにしています。それが、「新しい事に挑戦 その1」で書いた、「挑戦していた」ことでした。この挑戦とは、ジャーナルの特集号の総括を同僚とやってみたのでした。ジャーナルの特集号とは、テーマを総括する人が決めて、そのテーマに沿った論文を書く人を募り、その特集号にまとめる、というものです。自分が論文を書いた経験はあるけれど、「総括」ということはやったことがなかったので、声をかけてもらった時に、(作業量は多いけれど)やろう、と思ったのでした。特集号の序論(イントロ)を書くのが大きな仕事だと最初は思っていたのですが、それは間違いだということに気づかされるのでした。
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新しい事に挑戦 その1 [2022年ドイツ]

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 3年がかりで挑戦していたことが、一段落したので、それについて今回少し記事にしたいと思います。3年間ずっとそれに向き合っていたわけではないけれど、挑戦し始めてから一段落まで(コロナもあって)、3年かかりました。

 そのために、まず自分の仕事について、書いていこうと思います。自分の仕事は何か、と聞かれると説明に困るのですが、時と場合と人によって、説明は変わります。(ドイツの書類上は)「公務員」、「教育関係」か「研究職」と書いています。私の場合、正式な仕事のポジション名は「Wissenschaftliche Mitarbeiterin(直訳すると「学術的従業員」)となります。ドイツの大学では、博士課程の学生のほとんどが指導教官の下で「雇用」されたり、奨学金をもらえるので、学生とはちょっと異なり、一応「仕事」とカウントされることが多いです。その博士課程とポスドク(博士号を取った人)をまとめて、このポジションとなります。

 このポジション、給料のもらい方は、私の知る限り、大きく分けて3つあります。その給料のもらい方によって、仕事内容が若干異なる気がします。1つ目が、多分、ドイツの大学で定番、教授率いる研究室で雇ってもらう方法。私は博士号を取って最初の2年ぐらい、この方法で働いていました。私の研究分野で「実験」はしないので、実験室があるわけではないけれど、研究室(日本で言う、「ゼミ」が近い表現かな)があるので、学士、修士の学生の卒論/修論を見たり、授業を受け持ったり、その他諸々雑用があります。私の契約書だと、就労時間の40%が授業、40%が(自身の)研究、20%が雑務、だった気がします。もちろん、一応これが「理想系」なので、実際、授業の準備や雑務に時間が取られることが多いというのが現実です。この雑務も、本当に研究室のトップ(=教授)の裁量に寄る、という感じです。別の研究室で働く私の友人は、雑務が本当に多くて、ちょっと大変そうでした。

 2つ目が、研究費を外から(第三機関)取ってくる方法。日本で言う、文部科学省の科研費、みたいな方法です。私は今この方法で、働いています。給料は、大学から出ているけれど、上司が居るわけではないので、自分の好きな様に働けます。一応グループのプロジェクトだけれど、メンバーがすごく働きやすい人達だし、それぞれのプロジェクトをやっている時間の方が長いので、裁量権はかなり大きくなりました。勤務大学は変わっていないけれど、研究室で働いているわけではなくなったので契約内容が若干変更になりました。就労時間100%研究、という内容に変わりました。

 3つ目は、私の研究分野ではあまり聞かない方法で、理系の分野で多いのが、企業から研究資金をもらって研究するという方法。日本語だと、産学連携研究、という表現になるでしょうか。2つ目と似ているけれど、「企業が知りたいこと・開発したいこと」をやる、というのが大きな違いでしょうか。ドイツが強いとされている、自動車産業やIT関連はこの方法で(潤沢な)研究資金を取ってくるというのが多い、と聞きます。
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