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スイスのラジオ・テレビに関する投票 [新聞から]

 2週間過ぎてしまいましたが、先々週末(3月4日)はヨーロッパで色々ありました。ドイツではようやく新政権が誕生し、イタリアでは選挙がありました。ただ、私が一番気になっていたのは、スイスの国民投票でした。今回一番話題になっていた投票が通称「No-Billag」の議題。テレビやラジオの料金を公共料金として徴収するのを廃止という議題。Billagというのは、英語のBill(領収書)とドイツ語で「株式会社」の略語であるAG(Aktiengesellschaft)を繋げたもので、テレビ・ラジオの公共料金を表しています(スイス、フランス語圏の新聞Le Tempより)あくまで、廃止するかどうか、という投票なので、もし廃止になった場合、公共テレビやラジオがどのようになるかの道筋は、提示されていません。少なくともこの議題を提案した党は、具体的な代替案(ケーブルテレビのように個人が直接テレビ局と契約するのか等)を提示しておらず、もしこの議題が通った場合、どうなるかどうか先行き不透明という感じでした。

 スイスのテレビ・ラジオ公共料金は他国のヨーロッパ諸国と比べると高く(次の記事で詳しく書きます)、またNetflixなどインターネットテレビ等の広がりもあり、テレビ、ラジオが今後必要になっていくのか、いう時代の流れもあって、このような議題が出された印象です。

 議題を提案した党の戦略でもあると思いますが、No-Billagというのは少し分かりづらい提案です。「Billagに反対/廃止」の議題なので、公共テレビ・ラジオの存続を望む場合は、「Billagに反対/廃止」に反対、つまりNon/ Neinの投票をしなくてはなりません。新聞の記事にも「Non au No-Billag」と二重否定のような表現が載っていて、私は最初若干混乱しました。

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(ジュネーブのカフェにあった反対派のチラシ)
 反対の意見が大半(特にフランス語圏)でしたが、冬に行った世論調査では、予想外に意見が拮抗していて、反対派(公共料金存続派)は結構焦っていました。ただ、蓋を開けてみると、71.6%の反対で、 全ての州がこの議題に対して反対。テレビ・ラジオの公共料金は今のところ存続、ということになりました。公用語が4ヶ国語のスイス、全ての州が同意する議題いうのはなかなか珍しいです。ただ、州ごとの賛成/反対の割合を見てみると、各州の特徴が出たな、という印象です。全体では、72%弱反対という数字でしたが、反対の割合が少なかったのは、主だってドイツ語圏の州。逆に、フランス語圏、ロマンス語圏の州は、反対の率が高かったです。一番低かったのがドイツ語圏、シュヴィーツ州(スイス発祥の3州の一つ)で62.4%、逆に、唯一ロマンシュ語が州の公用語になっているグラウビュンデン州は反対が72.2%。 イタリア語圏のティチーノ州が65.5%で、意外と低かったです(イタリア語が公用語の唯一の州)。ジュネーブは74.8%でした。そして、一番高かったのが(フランス語圏)ヌーシャテル州の78.25%。

  これはあくまで私の推測ですが、ドイツ語圏が半分以上を占めるスイス、「少数語圏」である州は公共のラジオ・テレビがなくなると、(競争原理で)自分たちの言語の公共放送が無くなる可能性があるという危機感が強かったのだと思います。いずれにせよ、私が好きだったスイスのフランス語圏ラジオ番組も公共放送だったので、(投票権はありませんが)この投票結果に一安心です。
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本の新学期 [新聞から]

 札幌の小中高は既に新学期ですが、本州/ヨーロッパは夏休みが数日あります。夏休みは読書に最高の季節!と言っても、読書が好きな私にとっては、いつでも「最高の季節!」です。購読しているフランスの新聞でも色々な作品を紹介していて、「夏休みの最後まで、本の紹介をするんだなあ」と思っていました。「夏の読書」特集をするなら、普通6月とか7月にやるものなのに、8月末までやたら張り切っているなあ、とも感じました。しかし、これが間違いだったことに先日気づきました。

 たまに読むスイス(フランス語圏)の新聞に「La rentrée littéraireを10の質問で」という記事に答えが載っていました。Rentréeはフランス語で「新学期」、littéraireは「文学的」という意味になります。直訳すると、「文学の新学期」となります。フランスでは新学期が9月。「文学の新学期」とは、この時期に合わせて、フランスで8月下旬/9月から11月頃まで続く、新作発表のことを指しています。完全に商業的な理由なのですが、フランスでは新作発表は秋のみ。ちなみに、フランスのお隣ドイツやスイスで、このような習慣は存在せず、フランスだけのものです。この数ヶ月で600冊(2015年は587冊)近い、ジャンルに関係なく全ての新作が、販売を開始します。なぜか?理由は2つ。第一に販売数に大きく差が出ると言われる、フランスの三大文学賞の発表が秋の数ヶ月に行われるから。第二に、秋に新作を販売することで、本が一番売れると言われるクリスマスの時期への宣伝効果を狙えるからです。

 確かに言われてみると、フランスの本屋にはいつも同じような本が並んでいるイメージしかありません。もちろん、日本のように時期に合わせて、本の展示方法は変えていますが、同じような作品が並んでいるというイメージしかありません。数週間単位で書店の本棚にある本が変わる日本と比べると、秋だけの新作発表は「いつも同じ本」というイメージを持ちやすいかもしれません。

 ノーベル文学賞も秋に発表ですが、これは正直、フランスでの書籍販売数に大きく貢献しているイメージはあまりありません。一応、賞獲得者の作品コーナーのようなものが出来ますが、個人的にそれほど大きく話題になっている感じはしませんでした。逆に、「賞を取ったから」という理由で、大きく話題になるのが、Goncourt(ゴンクール)賞です。私も「ゴンクール賞を取った本」と紹介されると、チェックしてしまいます。ちなみに、この賞発表は11月。クリスマス商戦にも間に合う時期、ということでしょうか。

 私の好きなスイス人作家、Joël Dickerも2年ぶりの新作を秋に発表!2作品しかありませんが、彼の作品は全て読んでいます。新作発表を聞いた時は、とても嬉しかったです。彼の2作目は、Goncourt賞の(高校生が賞を選ぶ)高校生部門を受賞し、フランス、スイス(フランス語でもドイツ語訳でも)で、ベストセラーでした。そのため今回、最新作は「文学の新学期」にしっかり組み込まれ、10月1日発売だそうです。読むのが楽しみです。

(スイスの本屋、Payotでも彼の新作が販売されるのでしょうか)
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ラジオ放送 [新聞から]

 先日、ラジオ放送を聞いていたら、映画鑑賞券プレゼントの募集がかかりました。この放送を聞いていた時はコンピュータの前に居たので、早速インターネットで応募してみました。それが前回の記事で紹介した作品です。マイナーな映画だったこともあり、無事当選。先日、友人と一緒に見に行ってきました。この映画の感想は既に触れたので、今回はラジオについて書いていきたいと思います。

 私はラジオが結構好きで、(ラジカセやウォークマンで)よく聞いています。しかし、一番聞いていたのは学生の時かもしれません。通学時はラッシュの時間を避けていました。しかし、それでも私が乗っていた東西線は乗車人数が他の線に比べると多いと思われ、頻繁に運転停止し、どの時間も結構混んでいました。その通学を少しでも心地よくするために聞いていたのがラジオです。幸い、東西線は(地下鉄だけれど)地上を走っている時間もかなり長いので、ラジオを受信することが出来ました。元気いっぱいのジョン・カビラの番組やサッカーの代表試合翌日に適切な解説がある中西哲也の番組を聴いていました。車内では本を読んでいたので、内容は全く入ってこなかったのですが、彼らのあの元気な声を聞くだけでも、良かったです。

 Tokyo FM、J-Wave、ニッポン放送、とメジャーな局も聞くのですが、Bay FMという千葉のローカル局も好きです。このBay FM、私のラジオのイメージを上手く再現してくれる局だからです。なぜかはよく分かりませんが、私の中でイメージするラジオというのが、「海へ行った帰りにオープンカーで、海沿いを走りながら聞く」というものです。そのため、ラジオと言われると海、夏を思い出します。Bay FMという言葉からも分かるように、私がよく聞いていた番組はいつも「浜」の感じがして好きです。内容は全く入ってきていなかったので、どんな番組が放送されているかも今では覚えていません。しかしこの番組を聞くと、「夏」の音がしました。

 なぜここまで私の好きなラジオ番組・局について書いてきたかのには理由があります。ふと、(可能性はかなり低いですが)もしラジオ局がストをしたらどうなるのか、ということを考えたからです。もちろん、ストをする可能性が大きいのは国営放送です。その場合、どんな対応するのかと考えてしまったのです。というのも、先日まで、フランスのラジオがストをしていたからです。その期間、何と28日!Radio Franceという、主にニュースを扱っているチャンネルがストをしていました。私が行ったことがあるフランス人のどの家庭でも、かけていたチャンネルです。テレビがあっても、朝はラジオという人が多く、また通学・通勤時にこのニュースチャンネルをかけている人がいました。そのラジオが3週間以上ストをやっていたのでした。ラジオがストをしたらどうなるのか?私は日本のテレビの深夜放送のように「ザー」と映像が表示されないような状態に、ラジオもなるのかと思っていました。しかし、そこまでひどくはないようです。とにかく音楽だけが流れる状態になるようです。Radio Franceがストをし、このこと自体が、フランスでは一番ニュースになっていて、本人達がそのことを放送できないというのも、とても皮肉な状態だなあと思いました。結局、ストは終了したのですが、今後どうなるかは分かりません。

 ちなみにストをした理由は、企業の提示する企業再編(人員削減など)に反対した、というものです。日本のラジオ同様、フランスのラジオも経営が厳しいので、人員削減なども考えられているようです。元々国営だったこともあり、この話し合いに政府が入ったり、結構大変そうです。

 と、このフランスでのストを見ている内に、可能性はほとんど無いけれど、日本のラジオ局がストをしたらどうなるのかな、と、メーデーの今日、ちょっと考えてしまったのでした。ちなみにフランスやスイスでは、この日が祝日となっています。

列の秘密 [新聞から]

 先日、Le Mondeに「列のパラドックス」という記事が載っていました。生活の中の「強制的な」列(郵便局、スーパーの列)にうんざりしているはずなのに、「非強制的な」列(最新のiphoneを買う列など)に並びたがる人がなぜいるのか、という記事でした。この記事によると、80%のフランス人は週1時間、「列に並ぶ」行為に費やしているそうです。正直、私はこの記事を読んで「たった1時間?」と思ってしまいました。スーパーのレジの働き具合から見ると、1時間軽く越えるような気がしてしまいます。ただ、80%のフランス人、ということなので、20%近くのフランス人はもしかしたらそれ以上の時間並んでいるのかもしれません。

 日本でもよく並んでいる人が居ますが、フランスなどでも大きな展示会があれば長い列が出来るようです。しかし綺麗に列を乱すことなく並ぶのは、日本の方が多く見られる光景かもしれません。流行に敏感、と言ってしまえばそれまでですが、列に並ぶことを楽しんでいるというのも理由の一つかもしれません。よくニュースなどで、人気店や新店が特集されると、そこに並ぶ人がインタビューされています。皆楽しそうに列を作り、ほとんどの場合、グループで並んでいます。グループであれば、話しているだけで時間は過ぎるので、並ぶことが苦にならない、のかもしれません。私は並ぶのがあまり好きではありませんが、「非強制的な」列に並んだことは何度もあります(美術館の展覧会、水泳の大会)。どれも、列に並ぶこと自体、楽しかったと思えるものはありません。ディズニーランドで並ぶのは確かに「楽しかった」(通路にも装飾などがあるので)のかもしれませんが、並んだ後に起こること、つまりアトラクションに乗れる、ということが楽しみだから、並ぶことも苦にならなかった、というのが正しいかもしれません。

 私が見ている、「ニッポンの出番」という番組でもこの列の事が取り上げられていました。結局、この番組でも「なぜ列を作るのか」という答えは出なかったと記憶しています。ただ、「列を作ること」を人との交流、のように捉え、楽しんでいる部分があるという説明がされていました。

 決定的な結論は出ませんでしたが、Le Mondeの新聞記事では「人々は『並ぶ』という行為を通して、自分が歴史的な瞬間に参加していると感じることが出来る。これは、生活が豊かになった証拠であるともいえる」と書かれていました。生活が豊かになったからこそ、並ぶという行為を通して、歴史的な瞬間に参加する「レジャー」が出来たのかもしれません。この説明にはなるほど、と思いました。特に、新商品の販売、映画の上映日初日などは、「他の人より早く」という歴史的瞬間に参加出来ます。平和だからこそ参加したくなる「歴史的瞬間」なのかもしれません。

 と、「非強制的」な列に関してはある程度の答えが出ました。しかし、「強制的な」列に関しては答えが出ませんでした。この記事は社会学的な観点から書かれていて、「強制的な」列に関してはあまり触れられていませんでした。もしかしたらこれが歴史的な瞬間かもしれないと思いながら、「強制的な」列を今のところは我慢しなくてはならないのかもしれません。

怖い思い出の動物園 [新聞から]

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(Libérationより。先日再オープンしたZoo de Vincennes内。閉まっている間、園内を移動するキリンでしょうか)
 数週間前の新聞に「動物園が社会に必要か?」という記事が載っていました。というのも、4月12日にParc zoologique de Paris/Zoo de Vincennesという動物園が再オープンしたため、それに関連しての記事でした。この動物園、2011年から改修工事でずっと閉まっていました。そのため、私は行ったことが無いのですが、この動物園の周りではよく走っていました。

 週1回の長距離練習で、動物園近辺のスポーツ施設を出発し、15㎞を走るというものでした。社会人の人も居たので、練習開始は19時近く。秋頃からパリは日照時間が短くなるので、練習を始める頃は既に真っ暗。私は最初、スポーツ施設の近くに動物園があることを知りませんでした。たまに変な鳴き声が暗闇から聞こえてくるので、「自分の空耳だと良いのだけれど」と思っていました。が、ある日、明らかに像の鳴き声としか聞こえない音を聞いて、飛び上がったことがありました。一緒に走っていた友達に思わず、「この近くに動物が居るの?」と聞いてしまいました。すると、「動物園があるから当たり前だよ」という答えが返ってきました。自分の空耳ではなかったことに安心しましたが、やはり暗闇(街灯はありますが)で、動物の鳴き声を聞くのは、最後まで慣れませんでした。

 この練習コース、個人的には「不気味のコース」と呼んでいました。というのも、この動物園からだけでなく、様々な場所で変な声や鳴き声がするからです。私たちが走っていたのはBois de Vincennesという大きな公園。昔は貴族がここで狩りをしていたそうですが、首都とは思えないほど自然がたくさんあります。かなり大きいため、この公園内には浮浪者もたくさん住んでいます。また近くにはHippodrome de Vincennesという競馬場もあります。そのため、浮浪者の話し声が聞こえたり、馬の鳴き声が聞こえたり、とにかく暗闇からする音を耳にすることが多いコースでした。明るい時なら平気だったと思うのですが、暗くなると肝試しのような雰囲気になって怖かったです。この怖さのおかげで、15km、前の人に離されず走ることが出来た、とも言えるのですが。

ヨーロッパにも? [新聞から]

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(Le Mondeから。左半分が大気汚染前、右半分が大気汚染後)
 日本では中国からのPM2.5(粒子状物質)の空気汚染が話題になっているようですが、ここ数日はフランス、特にパリでも同じPM(フランス語ではParticules Fines)、大気汚染の話題が続いていました。大気汚染がすごくて、金曜から日曜までの3日までは公共交通機関が無料になるほどでした。それでも、まだ汚染が続くようで、月曜も対策を。新聞によると、ナンバープレートが奇数の車、電気自動車、3人以上を乗せた車、タクシーやスクールバス、のみがパリ市内とその近郊を走ることが出来るそうです。この対策を実行するために、700人近いの警察が配置されるのだそうです(彼らの移動は車なのでしょうか?)。火曜以降、更なる規制を敷くのか未定ですが、パリでこういった規制を敷くのは1997年以来だそうです。ストでバスやタクシーなどが遅れるのはしょっちゅうでも、車の通行規制は希、ということでしょうか。(情報は全てLe Mondeから)

 フランスも大変だなあ、なんて思っていると、ついにジュネーブへもその影響が。先日(3月14日)に汚染値(大気質指針)80µg/m³という値が出たようです。ちなみに、空気保護法令(Opair)が設けている制限は50µg/m³、それを超したことになりますが、規制を設け始めるのは100µg/m³だそうです(情報は全てRTSから)。また具体的な規制は出ていないものの、スイスフランス語圏ラジオ・テレビ局のRTSはこの空気汚染に対する、個人予防についての記事を載せていました。空気を大量に吸う野外活動の自粛(異変を感じた場合)、早朝と夕方の外出を控えること、ということが載っていました。これを読みながら笑ってしまったのは、マスクをつけるということが一言も書かれていないこと。日本だと風邪が流行ったり、こういった大気汚染があると、まずマスクという単語が出てくると思います。が、こちらでは風邪が流行ると、手洗いうがいを勧めるぐらい。マスクを付けている人はほとんど居ません(顔が半分隠れるため、怪しい人に見えるらしい)。
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