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フランスの試験 その8(番外編)  [フランスでの学校生活]

 結果的に彼女は私の家に2泊していきました。去年の12月以来久しぶりの再会だったので、私も嬉しかったです。一見順調に見えたこの試験、色々トラブルもあって思い出に残りました。

 試験1日目を終えると、彼女から「今から帰る」というメールが届きました。試験会場から地下鉄で30分かからないところに私は住んでいるのですが、彼女がようやく家から最寄りの駅に着いたのは1時間後。何事かと思っていると、足を怪我したのでした。高校の床が大理石で階段から転んだそうです。捻挫しているかどうかはよく分からないので、とりあえず冷やすことに。この日の試験は座って受けるものだったのですが、二日目は模擬授業のため、ずっと立っていなくてはなりません。捻挫程度で救急車を呼ぶことも出来ないので、私たちは少し困ってしまいました。

 フランスで病院は予約が欠かせず、「ちょっと風邪ひいたから病院へ」という日本とは大違いです。予約もすぐは取れず、「空いているのは1ヶ月後」なんていう返事が返ってきます。そのため、風邪程度であれば、薬を飲んで寝ている、というのがフランス流。彼女の足の怪我も病院へ行けるほど重傷ではありませんでした。そこで、家の近くの薬局で痛め止めと塗り薬を買ってくることにしました。しかし既に21時30分。家の近くの薬局は全て閉まっていました。日本のようにコンビニがあるわけではないので、夜間でもやっている薬局をインターネットで探してみました。病院の救急になかなか入れないので、市内でいくつかの薬局は夜遅くまでやっているようです。さすが大都市パリ、様々なところにありました。しかしなかなか家の近くの薬局は見つかりません。理想は徒歩で行けるところ、が、現実はそんなに甘いものではありませんでした。なぜ徒歩が理想か?夜遅くなってくると、近場でも乗り換え一つあるだけで到着までにかかる時間が変わるからです。日本同様、パリのメトロやバスには終電があります。終電に近くなってくると、電車と電車の間隔が長くなってくるのです。乗り換えも日中であればうまくいきます。しかし、夜になるとその乗り換えもあまり上手くいかず、待ち時間が長くなり、目的地になかなか着けない、ということもあります。

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 (フランスの薬局のサインです)やっとのことで見つけた薬局は、家の近くのバス停から10分という場所にありました。さっそくそのバス停へ行くと案の定、「次のバス13分」と表示されています。やっとバスが到着。そして目的地のバス停へ。金曜の夜、バーやレストランが多くある私の近所とは異なり、かなり静まっています。そういった中で、薬局を見つけるのに時間はかかりませんでした。店内へ入ると、長い列が出来ていました。痛々しい人も結構居て、びっくりしました。(何度も、ものもらいを経験している私でも見たことのないほど)目の腫れた人、転んで頭から血を流している人、皆とても痛そうでした。そんな人達を見ながら、自分の順番を待ちました。紙に必要な薬を書いてきてもらっていたので、それを薬剤師の人に渡し商品をもらってきました。とりあえず薬が手に入ったので一安心。そのままバス停へ向かい、またバスを10分以上待ちます。結局家に帰った時は深夜近くでした。痛み止めの薬をゲットすることが出来、自分の仕事をやり遂げた、という意識の方が強かったです。

 翌日も、痛みは完全に引かなかったようです。しかし、足を引きずるほどの痛みではなかったようです。模擬授業の間、(少なくとも外からは)あまり痛いように見えませんでした。色々な意味で、思い出に残る私の親友の滞在でした。
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フランスの試験 その7 [フランスでの学校生活]

 今週末は、フランスの田舎(真ん中、Auvergne地方というところです)から友人がCAPES(Certificat d’aptitude au professorat de l’enseignement du second degré、中等教育教員適正証書)の試験を受験しにパリへやってきました。彼女が受けた科目はSVT(Sciences de la vie et de la Terre)という科目です。日本で言う理科のようなものです。生物、地理学などの理科です(つまり物理、科学を除いたもの)。色々彼女が説明してくれたのですが、何しろフランス人でもよく分からない試験システムなので、全てのことは把握出来てはいません。私の知っている限り、この試験について書いていきたいと思います。

 まずこの試験を受験するには、今のところ修士学位が必要です。「今のところ」と書いたのは、今年から政権が変わり、来年からは学士のみで受験出来るようになるからです。私の友人は学士3年(フランスで学部課程は3年)+2年勉強して、この試験の準備をしてきました(厳密に言うと、今年の夏に修士課程を修了予定)。

 3月には一次試験の筆記試験を受験したようです。他のフランスの試験同様、4時間近い試験をいくつか受け、今週末の口頭試験まで進んできました。口頭試験は2日日程。1日目は試験官との口頭試験(2時間準備、1時間のやりとり)。そして次に「公務員としての試験」。教師も公務員なので、政府との関係など行政的な事に関する知識を聞かれる試験があります(彼女のテーマは「教師の独立性について」だったそうです)。そして2日目は模擬授業。受験者はテーマが与えられた後4時間かけて準備します。40分の授業を自分で作り、20分試験官との質疑応答。面白いことに、この模擬授業、一般の人も視聴可能でした(教室が小さいので、観覧人数は5人と制限されていますが)。なので、私も行って見てきました。地学分野と生物分野に分かれており、前日生物分野に関する試験を受験した彼女、この日は地学分野のテーマが与えられていました。理系コース3年生の地学分野で、テーマは「人類の発達」。日本語で言う、ネアンデルタール人、ジャワ原人という人類の進化を科学的に見ていく、という授業でした。ではどうやって、科学的に見ていくか。頭蓋骨のサイズがどう異なるか(実際頭蓋骨を測るソフトというのがあって、それを使っていた)、また脊髄がどうなっているか、などを含め、彼女は人類の進化を時系列に書いて説明していました。授業内には、実際の頭蓋骨なども出てきてびっくりしました。後から聞いてみると、事前にどういった機材が使えるかというリストが手渡されていて、それを自由に使ってよいとのことでした。

 40分単に授業するだけではないので、大変です。教師からの視点(例えば、「××に関して生徒は混同しやすいので、○○をして対応する」という感じ)も付け加えながら授業をしていかなくてはならないのです。しかし、一番の驚きは授業の構成。パリ政治でも習った、テーマから問題提起の質問を考える、というやり方。2部構成で、各部に2ポイントずつ重要点を入れていっていました。テーマ→問題提起の質問→2部または3部構成→将来的展望・発展、という構成は、フランスの学問ではどこでも応用されているのだ、と強く感じました。

 40分の授業後は3人の試験官からの質問。槍のように鋭い質問がいくつも飛んできていました。こういった答えられないような質問に対して、どう対応するか、というのも見られているのだと思います。私も見ていて、「上手い、かわし方だなあ」と感心してしまいました。

 こうしてあっという間の40分授業は終了しました。後は結果を待つだけ、と思いきや今月末にまた試験があるとのこと。何の試験かと聞いてみると、医学部の口頭試験。よくよく聞いてみると、修士課程中のインターンシップで進路変更をしたようです。9月から医学部の1年生としてスタートし、5年かけて医学部を修了するのだそうです。彼女が勉強してきたことは生物関係も多いので、勉強してきたことが全て無駄になる、ということではないようです。いかにも、勉強好きらしい彼女の進路変更だと思います。

(写真は試験会場の高校)
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フランスの試験 その6  [フランスでの学校生活]

 高校生の気が抜けないのはもちろんのこと、採点者である、高校の先生達もです。例えば、超進学校のHenri IVと呼ばれる高校は去年バカロレア合格者100%を達成しました。この学校の先生は、こういった学校で働けて名誉だとは思いますが、かなり大きなプレッシャーがあるのも事実であると思います。公立校ですが、厳しい入試が各学年であるようです。だからこそ、この100%という数字を達成できるのでしょう。もちろん、バカロレアの合格率だけが基準ではありませんが、高校のステータスであることに変わりはありません。日本では考えられないことですが、各高校がどれくらいの割合でバカロレア合格者を出したか、フランスでは簡単に知ることができます。毎年、トップ10、ワースト10が新聞に載せられます。私も最初この記事を見たときにはびっくりしました。ちょうど日本で、学力テストの点数を学校別に公開するかしないか議論しているところだったので、驚きはさらに大きくなりました。トップ10はパリが独占していますが、地方の高校は特に引け目を感じていません。こういうところは結構のんびりしていて、エリート教育は首都のパリに任せておいて、自分たちは地方で生徒を育てる、という感覚のようです。

 私は幸運にもパリの学校と地方の学校で勉強することが出来ました。両方で勉強してみて気付いたのは、自分の置かれた状況を理解して、それを受け入れ、その中で生きていくという考え方です。日本より学歴主義のフランス、全て学歴で決まってしまうからかもしれません(この問題に関しては色々議論があるため、いつかまた時間がある時に)。エリートは自分の仕事をこなし(パリでは)、地方では「エリートの仕事はエリートに任しておく」という感じで、エリート学校に入れなかったからと言って落ち込んでいる人はほとんど居ません。これを諦めと取るか、自分の人生だと受け入れていると取るかは人それぞれだと思います。そして、バカロレアはそんなエリート予備軍とそれ以外が一緒に受ける(唯一の)試験であるため、フランスでも大きく取り上げられるのかもしれません。

 さてここまで、フランスの試験、バカロレアについて書いてきました。そもそもフランスの試験について書こうと思ったきっかけはフランス人の友人がCAPESという試験を受けたから。日本で言う公務員(教師)採用試験です。これまた独特でした。次回はこの試験について書いていきたいと思います。

フランスの試験 その5 [フランスでの学校生活]

 一発勝負のバカロレア、とにかく科目数が多いです。驚くことに、体育も受験科目の1つ。これも哲学同様、どのコースでも必須です。バカロレアだけだと思っていたら、なんと高級官僚養成機関(ENA)という超エリート学校の入試の受験科目にも入っていました。体力がなくては、官僚も務まらない、ということなのでしょうか。言われてみれば、大統領選挙中、候補がスポーツをやっている映像がテレビで映し出されていました。

 さて、バカロレアの体育、学校、住んでいる地域などによって異なるようですが、多くの人は陸上を選ぶようです(それ以外にも2つスポーツを選ばなくてはならないようですが、よく分かりません)中、長距離走を選ぶ人が多いようです。500m×3、タイムなどが考慮されて点数がつけられるようです。哲学などに比べて、採点基準がはっきりしているため、スポーツが得意な人は高得点を取るのが簡単そうです。そのため、私が行っていた高校では1学期丸々使って中距離走の練習をしていました。私も短距離より、中・長距離が得意だったので、この学期の体育は特に楽しかったです(もちろん、どの学期の体育も楽しかったですが)。高校の時留学していたクラスメイトは、あまり勉強が得意ではないのですが、スポーツはずば抜けて得意で、クラスの人気者でした(どこのクラスにも必ず一人は居るタイプだと思います)。彼は「バカロレアの不足点は体育で補う」と言っていましたが、あながち冗談ではないようです。

 もちろん、体育だけでは不足得点が補えず、留年する人も多く居ます(全国の合格率は70%)。合格基準は、全ての科目の点数を合計し(配点点数を含み)、その平均が10点を超えること。大きくこの10点に届かない人は、例外なく留年しますが、「あと少し」という人は追試を受けることが出来ます。この追試、筆記試験では無く口頭試験です。この追試を受験しても、合格は合格。追試になった人は、最後まで気は抜けません。

フランスの試験 その4 [フランスでの学校生活]

 2年生次にフランス語(国語)の試験を受けた後は、それぞれの専門に分かれて勉強します。しかし、3年生の哲学はどのコースでも必須。前回紹介した配点指数というのが変わるだけです。L(文系)が7倍、S(理系)が3倍、ES(経済系)は4倍。そしてフランスでは(昨日)月曜の8時から全国で一斉に、哲学の試験が開始されました。時間は4時間。これは毎年変わっておらず、高校生以外の間でも話題になります。新聞やテレビで、こういった様子がたくさん映し出されます。
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 哲学からバカロレアが始まるのは、何か深い理由があるに違いない、と思って調べてみましたが、単に採点時間を確保するためというだけでした。まず全員が受けるため、採点する量も多くなります。数学や理科と異なり、答案も長くなります(かと言って、数学などの答案が短いというわけではありません)。全国の哲学の先生総出で採点するのですが、やはり時間がかかるため、最初に行われるようです。採点時、自分の担当する学校ではなく、全く知らない学校の答案を担当するように上手く混ぜてあるようです。

 哲学、と言ってもどんな問題が出題されるのか気になると思うので、今年の出題されたテーマを少し紹介してみたいと思います。

 どのコースも3つテーマが提示されます。2つが一般的なテーマ、残り1つは1年間勉強してきた(ルソー、カントなど有名な)哲学者が書いた文章の抜粋。面白いな、と思ったのは、仕事に関するテーマはが多かったこと。Lコースに出題されたテーマの一つが「働くことで何を得られるか?(Que gagne-t-on en travaillant ?)」。またESコースでは「働く、それは役に立つということだけであるか?(Travailler, est-ce seulement être utile?)」というテーマが出題されていました。ここで重要なのは、テーマの質問に直接は答えず、質問から自分で新たな問題提起をすること。私が勉強していたパリ政治学院でも、これは何度もたたき込まれました。フランス人曰く、「質問でも疑ってかかることが大切」だそうです。例えば、Lのテーマを例にやってみると、「働くことで何を得られるか?」という質問を疑うことから始まっていきます。本当に働いて何か得ているか?自分の好きな事を仕事に出来ている人は、喜びを得ているが、そうではない人もいる。そういう人達にとって、仕事は生活するためのお金を稼ぐ道具でしかないetc。自分は哲学の授業を(残念ながら)フランスで受けたことがないので、どういう風に答案を作っていくのか、はっきりは分かりません。ただ、1年ここで勉強してみて、質問を疑う、というのはフランスの特徴だ、というのは理解出来ました。

 哲学はもちろん、かなり偏った科目です。答案もどの先生が採点するかによって、点数がかなり異なるようです。採点者の好みでかなり点数が左右するというわけです。これは平等ではない、と言っている人も多く居ますが、哲学を受験科目から外すということは考えず、みな「しょうがない」と受け止めています。10点が通常合格点なのですが、それにこぎ着けるのがやっと、という感じのようです。S やESはLに比べると配点点数が低いので、高い数学や経済と言った科目で補うようです。

フランスの試験 その3 [フランスでの学校生活]

 進路選択後、フランス人の生徒は2年生から2年間かけて本格的にバカロレアの準備をします。日本のようにAO入試、推薦、二次試験というものが存在せず、バカロレアの結果一発勝負です(この制度を変えた方がよい、という議論も最近出てきています)。この試験で高校を終了するか(「卒業」という概念がフランスには存在しません)だけでなく、大学に進学出来るかが決まるので、フランス人にとってバカロレアは人生の中での大きな岐路の1つだそうです。しかし、日本のようにマークシート方式ではないので、一筋縄ではいきません。結論から言うと、日本同様、早くから準備(受験勉強)した人が有利、というわけです。

 3年生にこのバカロレアを受験するのですが、フランス語(国語)だけは別です。2年生の終わりに受験します。「どの学問もまずはフランス語から」という意識が強いフランス、どのコースに在籍する生徒でもフランス語は必須。実際に試験問題を見てみると、どの科目でも、エッセー方式が取られています。例えば、理科の試験。理科の試験というと、計算式が多いイメージですが「本当にこれ、理科の試験?」というような感じです。文章が数文書かれていて、この数文を元に理科の知識に関するエッセーを書く、という感じです。つまり、フランス語のクラスでどのようにエッセーを書いていくか、文書の分析のやり方などを習っていくというわけです。

 ただし、フランス語(国語)はコースによってcoefficient(配点指数)というのが変わってきます。Lなら最終的な点数(20点満点で点数がつけられます)を3倍、他のコースは2倍といった具合です。フランス語の授業時間、使う教科書も異なるので、コースによって受験します。しかし、どのコースであっても4時間という長時間であることに変わりはありません。日本だと考えられないような試験時間ですが、フランス式の試験内容だと、あっという間です。私は歴史の最終試験をパリ政治で受験しましたが、これも4時間。本当に、あっという間でした。1時間内でテーマ(2つ提示される)を選び、どんな構成にするか考え、後の3時間かけてひたすら書く、という感じです。

 3年生のバカロレアが先なので、まだ2年生が受験するフランス語(国語)の試験は始まっていません。一体どんなテーマが問題として出されるのでしょうか。

 次回はいよいよバカロレアを象徴すると言っても良い科目、哲学についてです。

フランスの試験 その2 [フランスでの学校生活]

 さて、この進路選択、日本同様、先生と相談して決めます。面白いことに、担任の先生だけでなく、担当科目の先生全員が集まって面談します。私が1年間通っていた(フランスの)高校は3学期制、つまり成績表が3回渡されます。各学期末、「Conseil de classe(学級評議会)」というのが開かれます。これは日本で言う「成績会議」だと思います。興味深いことに、この会議には学級代表(2人)も参加し、生徒を弁護します。数学の先生が「この生徒は数学の成績が良くないから、2年生に進級させるのは難しい」と言えば、学級代表が「いや、この生徒はフランス語が得意で」という風に弁護する(のだと思います。これはあくまでも私の想像)。そのため、学期末が近くなると、皆やけに学級代表の話を聞いたり、優しく接したりし始めます。ゴマすりは、フランスにも存在しているようです。

 年3回行われるこの会議、1学期終了時には当の生徒も会議に呼ばれて、先生達と話をすることになります。ずらーっと先生達が円上に並び、その正面に生徒+学級代表が座るという形になります。日本でも何度か面談というものをやったことがあった私でも、10何人も先生が居る部屋に入るとかなり緊張しました。各教科の先生が少しずつその生徒に対してコメントを述べ、必要なら学級代表の弁護が入る、という感じでした。私の時は、学級代表の弁護が入ることがなく終わり、ホッとしました。そして、この会議内で、2年生からどのコース(S、L、ES)に入るか希望を述べ、先生達から提案されます。私も一応この提案を受けました。日本では数学がとても苦手、典型的な文系だったのですが、こっちでは国語(フランス語)がハンデとなるので、S(理系)とES(経済系)を提案されました。驚くことに、数学の先生からも「今の数学の成績なら問題なく、S(理系)に進める」と言ってもらえました。高校2年生の時に留学し、1年生のクラスに入ったので、日本の高校で勉強したことも少しは生きました。1年間だけでも、とりあえず真面目に数学を勉強しておいて良かったなあと思いました(日本では文系のクラスでしたが、1年次は数学の授業がかなり多かったです)。ベクトルなど、日本では勉強したことがないことも出てきて、少し焦ったのですが、何しろ他の授業に比べて理解出来ることが多いので、興味を持って勉強していました。数字は万国共通、ということを強く実感しました。

 次回は、フランス人が最初に受験するフランス語(国語)のバカロレアについてです。

フランスの試験 その1 [フランスでの学校生活]

 ただいまフランス時間13時47分、バカロレアの最初の科目、Philosophie(哲学)が終了して約2時間経ちました。そう、今フランスでは全国規模の試験の真っ最中です。医学部の入試(他の学部に「入試」はないのですが、医学部は別)、教員採用試験、など学期が終了した今、試験のシーズンです。そしてフランスで、人生で最初に手にできる学位と考えられているバカロレア(高校卒業試験)が今日から始まりました。この試験がどんな物であるのかの説明の前に、今回はフランスの高校について少し書いていきたいと思います。

 このバカロレアさえ持っていれば、国立の大学、どこでも入ることが出来ます。もちろん、パリにあるソルボンヌなどの人気はたいへん高いので、別の試験が用意されていますが、通常日本のような入試はありません。大学によって、どの学部が「強い」(どの研究に力を入れているか)というのは存在します。例えば、Bordeaux大学は語学で有名、フランスの中心にあるClermont-Ferrand(高校の時、留学していた場所の近く)は数理学者のパスカル出身地として知られているため、理系が強いようです。それ以外は、大差ないため、自分の家から近い大学を選ぶ人が多いようです。

 日本のセンター試験のように、全国各地でこのバカロレアが行われます。そのため、メディアも本屋も数週間前からこのバカロレアの話題で持ちきりです。バカロレア用の対策本が出たりして、この辺は日本と少し雰囲気が似ています。日本のような予備校は存在しませんが、家庭教師は日本同様、学生のアルバイトとして人気です。

 このバカロレア、フランス人でも完璧にシステムを知り尽くしている人は居ません。なぜなら日本で言う「専門学校」に通う人達もバカロレアを受けるので、受験科目が色々だからです。一般的には、S(理系)、L(文系)、ES(経済系)と3つに分かれています。高校2年生に進級するとき、どの分野に行くのか選ぶのですが、面白いことに多くの生徒がS(理系)を選びます。S(理系)を選ぶと、たいていどの大学にも進学出来、仕事も見つけやすいというのが理由のようです。何をしたいかよく決まっていなく、とりあえず数学が苦手ではない生徒はみなS(理系)に進みます。そして、数学が出来ない生徒は強制的にL(文系)です。面白いことに、数学が出来ない学生は多くの場合、フランス語(国語)が好きなので、L(文系)に進むとなってもあまり落ち込む人は居ません。最後に、数学は苦手ではないけれど、かと言って、L(文系)に行きたくもない、という人達はES(経済系)を選びます。もちろん、経済系に興味があって、このESのコースを選ぶ人も居ます。

 さて、このコースはどうやって選択されるのか?それについては次回。

Crit 最終回 [フランスでの学校生活]

 大会最終日、いよいよ長距離の競技日。朝から緊張していました。と言っても、前日の就寝時刻は3時。団体行動なので参加したい、したくないに関わらず前日のパーティーに参加。私は移動でも疲れていたので、「パーティーに積極的に参加しない」数名とカフェでジュースを飲んでいました。翌日朝に試合を控えたバレーと陸上は少し「早め」にパーティーを切り上げ、宿泊所に移動。Formule1という安いホテルに泊まることになっていました。案の定、この部屋割りでも相当混乱しました。3人部屋のため、女子は1人余ってしまい私は別のチームの部屋に入れられることに。結局別のスポーツから2人が来る予定でしたが、どういう手違いからか誰も来ませんでした。3人部屋を1人で使うという贅沢を味わえました。しかしその贅沢が続いたのは数時間のみ。7時15分に宿泊所出発(10時競技開始)という強行日程でした。なんとか予定時間に出発した(フランスではかなり珍しいこと)のはつかの間、副キャプテンを宿泊所に「忘れて」しまいました(忘れ物を部屋に取りにいっていた)。誰も気付かなかったのには驚きでしたが、慌てて宿泊所に引き返すことになりました。

 朝バタバタしながら、いよいよ競技開始。まずは男子の長距離(3km)から。事前にコースを確かめたかったのですが、既に競技が始まってしまい、確認出来ず。ぶっつけ本番ということになりました。しかし最低限の説明は受け、1.5kmの往復をするという情報は得ることが出来ました。

 自然公園内を走るという事からも予想していたように、色々な「障害物」がありました。坂を登ったり、木の根に躓かないようにしたり。中でも木の根は、私にとって一番の障害物で、実際何度も転びそうになりました。走るのに苦労したせいか、3kmは相当長く感じました。タイムも満足の出来る物ではなく、残念。私以外のメンバーは良い結果を残し、何人かは入賞することが出来ました。男子も上位を独占したため、長距離でトラック部門1位だったチームを上回り、結果陸上部門優勝!エースの怪我など「色々」あった2日間だったため、キャプテンはかなりホッとしていました。

 優勝気分に浸りながら、午後は決勝競技の応援。女子ハンドボール、女子バスケットボール、男女バレーボールにパリ校は決勝に残っていました。アンチパリの地方校、パリ校以外が相手校の応援に回ります。中でもバスケットボールはかわいそうなくらいアンチ校の雰囲気が漂っていました。特に男女バレーボールは実力で(しかも大差で)優勝してくれたので、嬉しかったです。この時点で、結果は明らか、見事にパリ校が総合優勝。この日はどんなにからかわれても、「私たちは優勝したもんね」と言い返していました。気付けば、私もすっかりパリ校に愛校心を抱いていました。

 写真は、陸上のメンバーと一緒に撮ったものです。
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Crit 3 [フランスでの学校生活]

 期間が少し空いてしまいましたが、Critの報告!

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 大会2日目から、陸上競技は始まりました。400mトラックを使って行われました。が、他競技が行われる場所からかなり離れているので、応援団はほとんど来てくれませんでした。この日はトラック競技のみ、100m、400m、1500m、400mリレー。私は翌日の長距離だけ参加だったため、応援&荷物番でした。各校から各種目2人出場するので、9校×2で18人が予選に参加。これを3組に分けて、予選をやっていました。タイムより、勝負が重視されます。タイムに関係なく、各組上位2人が決勝に行ける、というわけです。予選の組み合わせは既に決まっている(1組目パリ1、リヨン1、というように)ので、組によってはレベルが高くなる可能性もある、というわけです。各種目から最低でも1人は決勝に送りたいところ。そんな中、順調に各種目、決勝に残っていきます。100mと400m女子は、クラブチームで練習しているエースの子が走って、無事に決勝を決めました。400m選手なので、この種目の予選はぶっちぎりでした。(100m、400mの予選を走った後更にリレーの予選もあるため)400m、組内1位が決まれば、最後まで全力で走る必要はない、とチームからも指示されていたようです。そのため、彼女がゴールした後の「異変」に誰も気づきませんでした。ゴールした後しばらく動けず、ようやく「何かがおかしい」と気付きました。競技は一時中断、待機していた赤十字のところに連れていかれました。間隔を開けず、レースを行ったため、筋肉を痛めてしまったようです。

 100m、400mの決勝レースだけでなく、リレーの予選も控えていた彼女。チームは慌ててメンバーチェンジ。400mは私が代理で走ることになりました。400mは短距離でもなく、長距離でもなく、一番難しいと誰もが言い(中学の頃、体育の授業で短・中・長距離を一通り走ったけれど、400mが一番つらかったです)、決勝でどんな結果が残せるのか、と困ってしまいました。しかし棄権すれば、点数はもちろん入らないので、走るしかありません。

 ドキドキしながら走りましたが、意外に長くてびっくり。最初の200mは順調だったけれど、そこからズルズル落ちていってしまい、最終的に最下位でした。

 流れというのは一度悪くなると、なかなか変えづらいもの。リレーは助っ人を入れて走ったものの、最後のバトンの受け渡しが上手くいかず、失格。他の大会同様、個人競技に比べ、リレーは多くのポイントを与えられます。そのポイントがもらえないのは、かなり痛い。しかし、男女得意の1500mで入賞が出たので、最終的にトラック競技は2位。翌日の長距離でどれだけ巻き返すことが出来るのかがポイントになります。
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