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人間とロボット [外から見た日本]

 コンビニの営業時間に関するポスターを紹介した記事で「人間らしい生活」ということを書きました。この言葉に付けたす言葉があるとすれば、「ロボットのようではなく、人間らしい生活」だと思います。ヨーロッパに数年居てよく感じるのは、日本人とヨーロッパ人のロボットに対する印象の違いです。

 日本のマンガがヨーロッパで広く知れ渡っていることは、このブログでも何度も紹介してきました。本屋へ行っても、様々なマンガを目にします。マンガの知識は無くても、絵の雰囲気で何となく「これは日本人が書いたのかなあ」と分かるようにはなってきました。日本でも人気のONE PIECEは店頭の一番売れる所に置かれています。

 マンガをよく知らない私でも小さい頃にはまったマンガが「ドラえもん」でした。妹とよく読んでいて、周りでもマンガ、テレビを見ている人がよく居ました。韓国人や中国人と話していても、このマンガのタイトルは必ずと出てきました。それがなぜか、ヨーロッパに来てみると「ドラえもん」の表紙はほとんど見かけません。探せば多分あるのでしょうか、自分がよく行く本屋のメジャーなマンガコーナーには置かれていません。ジュネーブだけでなく、フランスなどの本屋へ行っても同じだったので、ずっと不思議に思っていました。スイスの「コンビニ営業時間に関する」議題の投票で、その謎が少し解けました。

 このコンビニ営業時間緩和の影響を受けるのはスイスは20数ヶ所のガソリンスタンドだけ。それでも、投票前には大きな議論が新聞などで交わされていました。影響を受けるガソリンスタンドについて、というより、そこから波及する影響を心配する声が多かったです。ガソリンスタンドの規制を緩和してしまえば、次に別のタイプの店が営業時間を長くするのは簡単、労働者の搾取がひどくなる、というのが反対派の意見でした。そこで長時間働かせられるのは人間、ということになります。ロボットのように働くようになってはとんでもない、ということです。

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(フランスで昨年公開されていたスウェーデンのドラマ。近未来でロボットが人間生活に浸透し始めた時代の話。タイトルは「Real Human」)
 アメリカでもそうですが、ロボットが出てくる映画となると、「ターミネーター」、「アイ、ロボット」、「アイアンジャイアント」(アニメーションだったけれど、結構怖かった)です。これらを見ても、ロボットはどちらかというと人間の敵として描かれています。逆に、日本に出て来るロボットは人間を助ける、味方というイメージが強いです(「ドラえもん」、「鉄腕アトム」)。ヨーロッパ人と比べると、日本人にロボットの敵意は少ないと思います。自分が「ドラえもん」を読んでいても、ロボットが反逆することなんてあるのかな、と考えたこともありませんでした。

 ヨーロッパは、さすが哲学の国、というか、「思考出来るのが人間」という考えが根底にあって、(考えることが出来ない)ロボットを同類として見ることは出来ないようです。また、ロボット=人間の仕事を取り上げるというイメージも相当強く持っています。

 ヨーロッパ人の中には日本=科学先端の国というイメージがあって、人間介護ロボットや美術館にロボットの案内係が居るというニュースを聞くと、毎回不思議がっています。私もロボットの案内係、頼りになるのかなあと思ってしまいました。こちらの人は、「機械は機械、いつか壊れる」と考えているので、そんな物に自分の命や大切なものを任せられない、とよく言っています。

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 「不気味の谷(Uncanny Valley)」というロボット界で有名な説があります。私も詳しいことは知らないのですが、ロボットが人間に似てくるとある程度までは信頼感を持ちますが、似すぎると逆に恐怖感(不気味)を抱くようになり、更にロボットが人間に似すぎるとその恐怖感は消え去っていくという説です。上のグラフを見てもらった方が、分かりやすいと思います。個人的に、この説なかなか当たっているような気がします。スター・ウォーズに出てくるようなR2-D2やC3POなどは、ほとんど人間の形をしていないので、ペットのようにかわいい、という印象を抱きます。が、人間の皮膚を再現したものをまとった人形/ロボットは正直とても怖いです。

 このロボット、人間の話は、ヨーロッパに来てからよくするようになりました。「この話を始めると、様々な話題に広がっていくのですが、最終的にはいつも「いつか人間がロボットにコントロールさせる日がくる」というちょっと暗い結論で終わります。
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