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ドイツ語の勉強 印象 [言葉の勉強]

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(日が少しずつ長くなってきているドイツ。17時半頃)
 ドイツの大学院に居ますが、論文は英語、友達と話すのも英語なので、ドイツ語はほとんど生活の中で使いません。ただ、ドイツの教育省のようなところから奨学金をもらっているし、せっかくドイツで生活しているのだから(大学外の事務手続きはほとんどドイツ語)と、ドイツ語を勉強しています。今年で、確かドイツ語学習3年目ぐらいで、理解出来ることも増えてきました。そこで、今までに勉強して言語と比較して、少しドイツ語の印象について書いていきたいと思います。

 イメージとして、ドイツ語を勉強する前は、「ずいぶんと息を強く吐く、きつくて、怖い言葉だなあ」と思っていました。ちなみに、他の言語の印象はというと、英語は「単語を食べている」感じでした。あの速いアメリカの英語を聞くと、私は「単語を食べているみたいだなあ」と思っていました。フランス語は、「流れているみたいできれいだなあ」と思っていました。これらはあくまで私の個人的な感想ですが、言語学習前と後の印象は、ドイツ語で変わりませんでした。何を言っているか分からないから、ドイツ語はキツく感じるのかなと思っていましたが、ある程度理解出来るようになった今でも若干キツく聞こえます。実際、息は強く吐く言語のようで、ドイツ語を勉強し始めた頃、私はよく「もっと強く単語を発音!」と言われていました。

 また、ドイツ語と言えば、長い単語!読むのが大変そうだ、と思っていましたが、慣れてくると意外と分かりやすいです。というのも、長い単語は大抵、日本語の熟語のように、言葉をいくつか繋げただけ。だから、 知らない名詞であったとしても、結構推測出来ることが多いので、学習者として助かります。例えば、英語で「辞書」はdictionaryですが、この単語を知らないと、意味を推測するのは難しいと思います。ドイツ語はWörterbuch、「言葉の本」という風に表現します。もちろん、単語をある程度知っていないといけませんが、分からない単語を推測出来ることもあるので、ドイツ語の名詞はなかなか便利です。

 ただ、名詞は分かりやすくても、文法は結構難しいです。フランス語を勉強し始めた時は、英語にはない、名詞の性、性の一致、直接目的語などがあって、「フランス語はなんて難しい言語なんだ」と思っていました。ドイツ語を勉強している今、「フランス語の文法なんて結構簡単だった」と思ってしまいます。例えば、名詞の性(その名詞が女性形か男性形か)に、フランス語、ドイツ語、共に決まりはあまりなく、(私からすると)ランダムです。「女性っぽい」ものは、女性名詞、とフランス語の授業では習いましたが、当てはめられるものは限られています。これは地道に使って覚えていくしかありませんでした。ドイツ語に至っては、「女性っぽい」名詞は女性形というルールさえも、当てはまりません。「スカート」は(なぜか)男性名詞、「女の子」は中性名詞、といった具合です。フランス語で、名詞が女性形なのか男性形なのか分からない場合、もちろん当てずっぽうです。ただ、確率は50%。ドイツ語は、女性形、男性形、そして中性と3つの性があるので、確率は33.3%。「女性形、男性形2つで苦労していた頃が懐かしい」と思ってしまいます。

 名詞に性がありますが、文法は結構英語に似ているので、英語の文法を応用できる時が結構あります。しかし、現代の英語にはほとんど無い「格変化」が私は結構苦手です。格変化は、分かりやすく言うと、英語の最初の授業で習う、I、my、me、mineのように形が変わること。同じ「私」という意味の単語でも、その単語が持つ役割(主語なのか、目的語なのか)によって形が変わることです。英語は代名詞だけが変化しますが、ドイツ語はこれらに加え、a、theなどの冠詞、形容詞も、変化するので、ややこしくなります。ただ、このようなドイツ語のややこしさを見ていると、英語が徐々にシンプルになっていき、世界に広まったということがよく分かります。
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日本語は石、フランス語/ドイツ語は橋 [言葉の勉強]

 少し前の話になってしまいますが、11月上旬、私の住んでいる州で連休がありました。火曜(10月31日)、水曜(11月1日)との連休だったので、多くの人が月曜(10月30日)、さらには金曜(10月27日)に休みをとって、1週間近い休暇になっていました。同じアパートに住む子供連れの家族は金曜の夜、キャンプに出かけていきました。大学の事務は、ほとんど月曜と金曜閉まっているので、事務の方々は木曜(11月2日)も休みを取って、2週間弱のお休みとなっていました。

 このように、実際の祝日の間にある、休日ではない日を休みにするのが定番(日本も振替休日になったりすることがありますね)。フランス語ではこれを、faire le pont(橋をかける)と表現します。休日/祝日Aと祝日Cの間にあるBという平日を休みにするのを、橋に例えているというわけです。面白いことに、ドイツ語もフランス語と同じ。ただ、何でも名詞にしてしまう傾向がある言語なので、Brückentag(橋の日)という表現になります。英語でも一応調べてみたのですが、これに匹敵する表現はありませんでした。日本語で何というのか気になったので、これも調べてみましたが、「飛石連休」という表現が出てきました。日本語だと石、フランス語/ドイツ語だと橋、と例える物が少し変わるのも面白いです。

 土日と変わらない「橋の日」であるドイツですが(スーパー、ほとんどのレストランは閉まっている)、なぜか土日以外の休日は街が静まりかえります。普段の週末は、パンを買いに行く人や、散歩をする人達などが通りにはいるのですが、祝日となると、その通りから人が消えます。

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(誰も居ない通り)
 このような通りを見かけると、私はいつもある映画のシーンを思い出します。「バイオ・ハザード」シリーズの映画です。このシリーズの作品は、どれも見たことがありません。どの作品か分かりませんが、ある日、テレビであるシーンを見かけたことがありました。平凡な住宅地の中を主人公の女性が歩いて、とある家に入っていくシーンです。街はゾンビに襲われた後なのか、誰もおらず、静まりかえっています。とは言っても、家が破壊されたりしているわけではないので、静けさ以外は「普通」の状態です。それがかえって、違和感を持たせるわけですが。これに似た変な「静けさ」がドイツの休日にはあり、不思議な感じです。

 蛇足になりますが、「バイオ・ハザード」は邦題、ということをつい最近知りました。友達に、このドイツの休日の静けさに関する話をするため、(このブログと同じように)「バイオ・ハザード」の話をしたのですが、このタイトルでは通じませんでした。英語では、Resident Evil(内なる悪)というようです。話の要約だけから判断すると、珍しく邦題の方が映画のテーマを表しているのではないか、と個人的には思ってしまいます。
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どこの国の人が一番悲観主義? [言葉の勉強]

 ドイツ語の先生がある日「ドイツ語話者は悲観主義」という話をしていました。彼女の説は、「値段を聞くときも時間を聞くときも、悲観的な表現しかしないから」ということでした。確かに、ドイツ語で「何時ですか?」と時間を聞く表現は、Wie spät ist ie ? となります。この表現、直訳すると「どれくらい遅いですか?(How late is it ?)」となります。この表現だと、たとえ何時であっても遅い、という感じです。こういう表現が存在しているのも、ドイツ語圏の人は時間に几帳面と言われる所以でしょうか。私の周りのドイツ人やドイツ語圏出身は確かに、他のヨーロッパ人に比べると、時間通りに集合場所へやってきます。

 そして値段を聞く時は、Wie viel kostet es ?となります。これは直訳すると「どれくらいの費用がかかりますか?(How much does it cost ?)」になります。「これはいくら?」ではなく、あえて、「費用がかかる」という動詞を使っているところが、「何にでもお金がかかる、高い」という印象を与えるため、「悲観的」と言われているのでしょうか。が、似たような表現は英語、フランス語、スペイン語にも存在するので、ドイツ語話者のみが悲観的、とは言えないと思います。

 費用の面で言えば、個人的にはフランス語話者が一番悲観的・否定的なような気がします。なぜならフランス語に「安い」という表現が存在しないからです。安い物は存在しない、という考えからなのか、よく分かりませんが、「安い」という単語がありません。「安い」と言いたい時は「pas cher(高くない)」や「bon marché(有利な取引)」という表現をします。また、質が良くないという意味の「チープ」も存在せず「mauvaise qualité(悪い質)」と言います(ドイツ語には存在します)。フランス語に「安い」という言葉が存在しないと知った時は、とてもびっくりしました。思わず先生に「フランス語話者はセールなどで『安い』って感じたことないの?」と聞いてしまいました。「『高くない』っていうぐらい」と先生は答えてくれましたが、個人的に「高くない」と「安い」は微妙にニュアンスが異なるような気がします。この感覚、ラテン語から来ているのかと思いきや、そうでもありません。なぜなら同じラテン語系のスペイン語には「barato(安い)」という単語がしっかり存在するからです。他のラテン語系の言葉がどうなっているのかは分かりませんが、少なくともフランス語話者の頭の中に「安い」という概念は存在しないようです。

新しい外国語の勉強 [言葉の勉強]

 大学とは全く関係ないですが、新しく外国語を始めることにしました。ドイツ語です。そもそも自分の興味がある言語ではありませんでした。が、スイスに住んでみて、人口の60%が使っている公用語、ということで少しぐらいは知っておいた方が良いかな、と思うようになりました。まだ行くことが出来ていないけれど、行ってみたい首都のベルンやチューリッヒはドイツ語圏。そういった理由で始めることになりました。

 ジュネーブにはたくさんの語学学校がありますが、民間が運営する学校に申し込むことにしました。Université Populaire、と呼ばれる場所です。Université(大学)の文字がついていますが、学位をもらえるというわけではありません。多分、日本で近い物だとカルチャーセンターや区民センターだと思います。様々な言語のコースが用意されていて、1学期50フラン+登録料50フランで参加できます。いくつかの言語が用意されていますが、やはりクラスの数が多いのはフランス語です。提供されている語学クラス半分がフランス語ではないか、と思うほどです。そして一番驚いたのは識字クラス。外国人労働者、亡命者、難民など様々な移民が居るジュネーブ、読み書きが出来ない人も多くいるため、こういったクラスが欠かせないというわけです。

 毎週火曜20時からの授業です。1クラス25人ほどです(私のクラスはちなみに10人近くに減ってきましたが)。授業は公立高校の教室を借りて行われています。今では懐かしい黒板を使った授業はとても新鮮です。驚いたことに、参加者のほとんどが社会人でした。お金のない学生が多く参加しているのかな、と思いきや、ほとんどが私より年上で仕事をしている人達でした。スイス人はゼロ、これも国際都市ジュネーブの特徴かな、とも思います。先生はドイツ人ですが、授業はフランス語で行われていきます。

 基礎から勉強していますが、フランス語とはかなり違うという印象です。予想通り、難しいです。が、英語と同じゲルマン語系だけあって、何となく英語に似た表現もあります。 例えば 「これは何?」という表現は、ドイツ語ではWas ist das ?となります。この文章発音してみると、英語のWhat is that ?に近い気がしました。こういった部分で、ドイツ語と英語は近いといえる言語なのかもしれません。が、英語はラテン語系の流れもすこし汲んでいるため、ドイツ語と英語では似ていない部分の方が多いと感じます。

 ドイツ語を始めた時の大きな発見はアルファベットの読み方。特に、車のメーカー名。Volkswagenは日本語で「フォルクスワーゲン」となっています。なぜvで始まっているのに、濁らないで「フォルクス」となっているのか、と疑問でした。またCMの最後で必ずと言って良いほど発音されるメーカー名は「フォルクスワーゲン」と自分には聞こえていませんでした。CM内では早口なので、はっきりは聞こえません。が、「ワーゲン」がwとvの中間の音のように聞こえる気がしていました。ドイツ語を習い始めてみると、この疑問は一気に解決。ドイツ語でwはv(のような)、vはwと発音されるのです。だから、このメーカー名も正しくは「フォルクスヴァーゲン」となるというわけです。なるほど!BMWも同じ。日本語ではそのまま英語のアルファベット読みです。が、フランス語では「BMV」(ベー・エム・ベー)という発音をします。フランス語のWは「ドゥーブルベー」と発音するため、読みづらいからBMVと読んでいるのかなあと思っていました。が、単にドイツ語発音で読んでいるだけでした。なるほど!
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「橋」の週末 [言葉の勉強]

 あまり盛り上がらなくても、しっかり休むところは休むラテン系のジュネーブの人たちです。フランス語にはfaire le pont、という表現があります。直訳すると「橋を作る/架ける」です。が、本当の意味は「休日に挟まれた日を休みにする」という意味です。例えば、今年の8月1日は木曜日、金曜に休みを取ることで4連休にするのがfaire le pont、というわけです。とにかく、休みに対しては執念深いというのがフランス人ですが、ジュネーブでもこのように「橋を架ける 」人が多く居ました。そして、私がインターンシップをやっている場所でも「橋を架ける」ことになり、4連休となりました。急に知らされたので、どこか旅行する計画も立てられず。

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 インターネットの調子も悪かったので、家でのんびり読書をしたり、湖へ泳ぎに行ってきました。1年近く水に入るということをしていないので(こちらではお風呂ではなく、もちろんシャワーなので)、果たしておぼれはしないかちょっと心配でした。湖も結構深いため、足も底につきません。それでも何事もなく、水に入って、のんびり泳ぐことが出来ました。この湖、 金持ちが所有するボートも浮いていますが、泳ぐことも出来ます。観光船なども行き来して、大きな波が起きるので、海のような感じもします。が、水を飲んでもしょっぱくはないので、ちょっと不思議な感じでした。ただ難点が一つ。この湖、蚊のような小さな虫が岸沿いにたくさん居ます。この虫に刺されると相当かゆいです。蚊に好かれている私、この虫にも例外なく好かれてしまったようで、足を刺されてしまいました。

固有名詞 [言葉の勉強]

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 水曜日はフランス/ジュネーブで、新しい映画が公開される日です。バスや道ばたで色々な映画の広告を見ます。来週は「Schtroumpfs2」が公開されるようです。そういえば、妹がこの映画の1を見て、面白いと言っていました。妹に教えてもらうまで知らなかったのですが、日本語/英語では「スマーフ」というみたいです。そのため、最初「スマーフ」と言われた時は、一体何のキャラクターについて話しているのか分かりませんでした。たまに、固有名詞がフランス語と日本語では異なり、何を話しているのか分からなかった、ということがあります。そういった違いを、今回はいくつか紹介してみたいと思います。

 この青い妖精はフランス語で「シュトロンフ」と言います。無理矢理カタカナで書いてみましたが、本当の発音から遠いです。なぜ英語で「スマーフ」というのか、どこからこの名前が出てきたのか、フランス人に聞いてみたところ「『Schtroumpfs』は英語圏の人にとって発音しづらいから」という答えが返ってきました。納得出来る答えですが、誰がどのように「スマーフ」という名前に変えたのか気になるところです。

 同じベルギー出身のマンガ、「タンタン」の登場人物も名前が国によってことなります。タンタンはそのままフランス語でもTintinと発音します。が、相棒の犬の名前は各言語によって異なるのだそうです。英語/日本語はSnowy(スノーイー)ですが、フランス語ではMilou(ミルー)です。白い犬なのでSnowyも悪くない名前だと思いますが、Milouの方が珍しくて個人的には好きな名前です。Wikipediaの説明によると、「各言語に親しみやすい名前に変えている」だそうですが、ミルーは日本語でも発音しやすいと思うのですが。

 そして、一番分かりづらかった固有名詞は「Lady Di」(レディ・ディ)です。思い切って「誰のこと?」と聞いてみると、「Lady Diを知らないの?」と言われてしまいました。Diなんて、変わった名前だと思っていると、これは名前の略でした。「Lady Diana」(レディ・ディアナ)を略して、Lady Diとなるそうです。ディアナ?レディ?ますます混乱してしまいました。「チャールズ皇太子の元奥さんのこと!本当に知らないの?」と驚かれてしまいました。日本語だとダイアナ元王妃などと呼ばれています。が、こちらでは「Lady」という言葉が名前の最初についているだけ。そのため、全く誰のことを話しているのか分かりませんでした。Dianaという既に短い名前を更にDiと短縮するところも、最初理解出来なかった理由だと思います。今でも「Lady Di」と言われると、一瞬誰のことか分からなくなります。
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 これはパリにある(ダイアナ元王妃の)記念碑。彼女が亡くなった事故現場近辺にあります。今でも車がビュンビュン通っています。

聞き間違い、読み間違い [言葉の勉強]

 私と知り合ってスイス人やフランス人が日本に興味を持ってくれたり、ヨーロッパで生活し始めると家族がスイスやフランスに興味に持ってくれたりすると、とても嬉しくなります。日本語とフランス語だと発音が根本的に異なるため、日本語をフランス語圏の人が発音するのを聞くと、最初何を言っているのか分からなくなることがあります。また、逆もありで、日本語に入ってきているフランス語を聞いても分からない時があります。

 先日は、スイス人から「意味も強そうだから日本語の『ダイモー』という単語を、犬の名前にした」と言われました。ダイモー?ダイナモ、という言葉があるけれど、日本語ではないし、と色々考えてみるけれど、よく分かりません。意味を聞いてみると「君主」だそうです。もしかして、大名?「みょう」の発音が難しかったみたいです。フランス語に「みょう」という発音はないので。何回か正しい発音を繰り返すと、「みょう」が発音出来るようになっていました。

 ある時は、「『ライキ』をやっている」とスイス人から言われました。「何それ?」と聞いてみると、「日本人なのに『ライキ』知らないの?」と返されてしまいました。日本人と知っておくべきことなのに、「ライキ」って知らない、と少し焦ってしまいました。そもそも漢字が思い浮かびません。スペルを聞いてみると、「Reiki」、霊気でした(民間療法)。「日本で『ライキ』って言っても、通じないよ」と一応言っておきました。

 そして昨日は自分が読み間違いを。アジアレストランの前を通ってメニューを見ると、「カラ・アージ」とアルファベットで書かれていました。「age(âge)」は年齢のことで、一体食べ物と年齢、何の関係があるのか、と色々考えてしまいました。もしかしてこれはフランス語/英語訳ではなく、日本語のローマ字?ローマ字読みしてみると、「からあげ」と読むことが出来ました。Kara-age、と読みやすいようにダッシュが入っていたため、フランス語/英語かと思ってしまいました。そのため「カラ・アージ」と謎の単語の意味を考えてしまいましたが、日本語でした。

 小さい頃から、変わった日本語だと思っていた単語はフランス語から来たものでした。「トラバーユ」です。何の事かもよく分からなかったのですが、フランス語を教えてくれた日本人の教授が、日本語に入ってきているフランス語の例として「トラバーユ」を挙げていました。フランス語初級レベルで、Travail(仕事)という単語を習うのですが、この単語が「トラバーユ」の元となったとは全く気付きませんでした。Travailはカタカナで表示しにくい単語だと思います。Traという日本語には無い発音が単語内に入っているので。気になる人は、Google TranslationでTravailと打って、発音を聞いてみてください。

娘、掛け物、帝 [言葉の勉強]

 この3つの単語の共通点はなんでしょうか?答えはフランス語の辞書に載っている日本語です。Kimono、Sushiなど分かりやすいものではなく、あえて意外な単語を選んでみました。娘はMousuméと表記され、「若い日本人女性」と正しい定義が載っていてびっくりしました。どういった経緯で、この単語がフランス語の辞書に記されるようになったのかは謎ですが。

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 そして「Mikado」はポッキーの商品名になっています。商品名がそのまま名詞となることがあるフランス語。例えば、ティッシュペーパーはKleenexと言います。そのため、Mikadoが「チョコレート菓子の商品名」と辞書に載っていないかとヒヤヒヤしました。確認してみると「日本の天皇」と正しい定義が載っていたので一安心。そして「掛け物」も正しい説明がされていました。

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(パリで見つけた広告)
 逆にKimonoは日常生活で間違った使われ方をされているような気がします。例えば写真の商品、個人的には「着物」というより道着だと思うのですが。「着る物」が「着物」なので厳密に言えば、正しいのですが。

 また「zen」という言葉もよく使われます。形容詞として使うことが多いのです。「落ち着いた静けさ、感情的な反応をしない」というような意味で使われています。おしゃべりなフランス人が使うフランス語にも「静か」という形容詞は存在するのですが、zenという言葉を使うとちょっと洒落た感じなのだと思います。「粋な洋服」と言うより、フランス語をあえてつかって「chic(シック)な洋服」と表現した方が少し洒落た感じになると日本人が思うのと同じ感じだと思います。

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(2006年、初めてパリへ行ったときに撮ったAcadémie Françaiseの建物の写真。当時は何の建物か分からず単に「きれいだな」と思って撮影)
 と日本語が多くフランス語に入ってきているな、という印象を抱きます。日本語をフランス語に入れて使うのに抵抗を持つフランス人は少ないようですが、英語となると話は異なります。元々、外来語は必ずフランス語に訳す、というのが原則。Académie Françaiseという17世紀に作られた学士院は外来語がフランス語に入ってくるのを防ごうと努力を続けています。そのホームページには「使用を避けるのが好ましい用法」という欄があり、そこを見てみるとほとんどが英語の外来語。例えば、week-end。本来なら「fin de semaine(週の終わり)」と言うべきなのですが、現実はweek-endの方が頻繁に使われています。逆に、Académie Françaiseの努力の甲斐あってか、訳語がしっかりと残っている言葉もあります。例えば、job。アルバイトのことを指しますが、訳された「petit boulot(小さな仕事)」もよく使われています。

 しかし、時代の流れに沿って言葉を訳していくというのも大変な作業。コンピュータ用語はまだ訳された言葉が使われているのですが、インターネットの言葉になると英語がそのまま使われています。が、困るのは私のようなフランス語学習者。どういった言葉が訳語で流通しているのか、どの言葉が英語からなのか線引きが難しいところです。ダウンロードはtéléchargement、と訳語を使うけれどUSBはla clé USB(USBの鍵、という意味)となって、USBという英語がそのまま使われています。

Home, sweet home [言葉の勉強]

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 居候生活を数年前から続けているため(既に4年が過ぎました)、「家」の定義が曖昧です。「我が家」は今でも札幌です。が、今のところジュネーブがホームベースのため(たとえパリをも「家」のように感じていても)、ジュネーブを「家」、ととりあえず呼んでいます。インターンシップの生活1ヶ月+パリ滞在数日を終えて、「家」に戻ってきました。まだまだAixでの生活について書き切れていないことがあるので、ジュネーブに居ながらまだ少しずつ書いていこうと思っています。今回はとりあえず、ジュネーブに無事戻ってきた、という報告です。

 パリからジュネーブ直通のTGV、Lyriaに乗って戻ってきました。フランスとスイス半々の新幹線ですが、パリ発、もちろん遅れてジュネーブには到着。新幹線なので、ほとんど停車することなく(ジュネーブから15分ほどの小さな街に停まるのみ)、3時間ちょっとでジュネーブに到着しました。ジュネーブに向かう途中で長めのトンネルに入ります。そして気分は、「雪国」。

 「Au sortir du long tunnel de la frontière, on se trouvait au pays de neige. Le fond de la nuit avait blanchi.」(国境の長いトンネルを出ると、雪国にたどりついた。夜の底が白くなった)

 フランスからのトンネルを抜けると、真っ白な雪国であるジュネーブに到着しました。(この小説はまだ読んでいませんが)、日本文学の有名な「雪国」の冒頭を思い出しました。さて、フランス語では何と言うのか調べてみると、すぐに訳が見つかりました。フランス語版では何人かの人がこの作品を訳しているようです。2つの異なる訳を比較しているサイトから、この冒頭を引っ張ってきました。各訳、良い部分があるのですが、シンプルな方(Cécile Sakai訳、分かりやすく「訳1」とします)を使って、それをまた自分で日本語に「訳し直して」(直訳して)みました。もう一つのバージョン(Bunkichi Fujimori et Armel Guerne訳、「訳2」とします)はこちら。

 「Un long tunnel entre les deux régions, et voici qu’on était dans le pays de neige. L’horizon avait blanchi sous la ténèbre de neige.」(二つの地域の間にある長いトンネル、そして雪国へ。地平線は雪の闇の下へと白くなった。)

 作品全体を読んでからでないと、どちらが良いのか、はっきりとした意見は言えません。が、このとても有名な冒頭部分のみを比較してみると、両者に良い部分があります。

 例えば、最初の「国境のトンネル」の部分。直訳で言えば、訳1の方が忠実に訳されています。そのため、最初は私も訳1の方が好きかな、と思いました。が、よくよく考えてみると、訳2の方も理にかなった表現。日本でも行政上の区画を「国」と言うことがあります。ドラマ「北の国から」も、本当に北にある「国家」を指しているのではなく、あくまでも北海道という地域を指しています。そういう考え方に経てば、この「国境のトンネル」も異なる地域/地方の間にあるトンネル、つまり訳2の表現のように「2つの地域」のトンネルと言えます。

 また、最後の「雪の底が白くなった」も訳1、訳2、両者に良い部分がありますが、私は訳1の方を好みます。なぜなら、日本語を忠実に訳していて分かりやすいからです。訳2の同部分は、日本語にすると少し分かりづらいです。最初は「なぜこんな複雑な訳をするのだ?」と思ったのですが、フランス語のみを読んでみると、納得。フランス語の流れに合わせて訳されています。訳2の方を声に出して読むと、
Un long tunnel entre les deux régions,
et voici qu’on était dans le pays de neige.
L’horizon avait blanchi sous la ténèbre de neige.
フランス語も韻が大切な言語。最後の2部分が「de neige」で終わっています。聞いていて、とても心地よい文章の流れになっています。

 日本語訳により忠実なのが訳1、フランス語での表現を重視しているのが訳2というのが私の印象です。もちろん、この有名な冒頭部分を比較した時の場合ですが。

X?Aix? [言葉の勉強]

 外国語を勉強していると苦労するのは、固有名詞。土地の前、人の名前などには苦労します。私が先日苦労したのは、自分が今居る場所、Aix-en-Provence(エクス・アン・プロヴァンス)。略してAix、エクスと発音します。が、私はいつも「イックス」と 言ってしまいます。なぜか?テレビを見ていて、その謎が解けました。

 アカデミー賞も近づいてきたことがあって、ニュース番組に毎日交代でノミネートされた俳優さんが出てきます。先日はデンゼル・ワシントンが出演して、話をしていました。その中で司会者が「では、『マルコミックス』の映像を見てみましょう」と言っていました。何のミックスだ?と私は思いました。映像とタイトルが表示されてから、「マルコムX」のことだと気付きました。フランス語でXは「イックス」と発音し、それが前の単語Malcomのmと繋がって「ミックス」となるわけです。なるほど、アルファベットXのフランス語発音とAixを自分は混同していたのか、と納得。以降、自分が今居る場所を間違えず「エクス」と言えるようになりました。

 また地名も、綴りは英語と変わらないのに、発音が違うため理解出来ないということもあります。私が苦労したのはある有名な都市。「マナタン」とフランス語では発音しています。最初、マナティの一種かと思いました。話が全くかみ合わないので、よくよく聞いてみると「Manhattan」でした。英語の発音は、特に「ha」の部分を強く、と習いました。英語は多少発音が悪くても、アクセントが正しければ通じると聞いたことがあります。Manhattanはその良い例だと思います。最初のMaと「ha」の部分を強く言えば、それらしい発音になります。が、フランス語にアクセントというものは存在しません。そのため、この単語も単調に発音されます。またhを発音しないため、重要な「ha」の部分が消え去ってしまうことになります。結果、「マナタン」という発音になってしまうのでした。

 最後に、自分が馴染みのある言葉もフランス語風に発音されると戸惑うことがよくあります。「イロイト」です。日本出身と自己紹介すると、ある一定の年齢のフランス人からは「あっ、イロイトの国ね」と言われます。イロイト、自分が聞いたことのない名前のため「イロイトって誰?」と聞いてみると、「日本人なのに、イロイト知らないの?」とかなり驚かれてしまいました。日本人である私が知っているべきことなのか、とかなり焦りました。よくよく聞いてみると昭和天皇のことだと判明。まず昭和天皇を名前で呼ぶこと自体珍しいため、聞き慣れない名前でした。少なくとも私の周りに居る日本人で彼のことを名前で呼ぶ人は居ません。名前で呼ぶのは、外国人だけです。また、日本語の名前であってもフランス人はフランス語風に発音します。「Hirohito」のh部分が抜けて、iroito→イロイトとなったわけでした。

(セザンヌの像)
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