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娘、掛け物、帝 [言葉の勉強]

 この3つの単語の共通点はなんでしょうか?答えはフランス語の辞書に載っている日本語です。Kimono、Sushiなど分かりやすいものではなく、あえて意外な単語を選んでみました。娘はMousuméと表記され、「若い日本人女性」と正しい定義が載っていてびっくりしました。どういった経緯で、この単語がフランス語の辞書に記されるようになったのかは謎ですが。

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 そして「Mikado」はポッキーの商品名になっています。商品名がそのまま名詞となることがあるフランス語。例えば、ティッシュペーパーはKleenexと言います。そのため、Mikadoが「チョコレート菓子の商品名」と辞書に載っていないかとヒヤヒヤしました。確認してみると「日本の天皇」と正しい定義が載っていたので一安心。そして「掛け物」も正しい説明がされていました。

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(パリで見つけた広告)
 逆にKimonoは日常生活で間違った使われ方をされているような気がします。例えば写真の商品、個人的には「着物」というより道着だと思うのですが。「着る物」が「着物」なので厳密に言えば、正しいのですが。

 また「zen」という言葉もよく使われます。形容詞として使うことが多いのです。「落ち着いた静けさ、感情的な反応をしない」というような意味で使われています。おしゃべりなフランス人が使うフランス語にも「静か」という形容詞は存在するのですが、zenという言葉を使うとちょっと洒落た感じなのだと思います。「粋な洋服」と言うより、フランス語をあえてつかって「chic(シック)な洋服」と表現した方が少し洒落た感じになると日本人が思うのと同じ感じだと思います。

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(2006年、初めてパリへ行ったときに撮ったAcadémie Françaiseの建物の写真。当時は何の建物か分からず単に「きれいだな」と思って撮影)
 と日本語が多くフランス語に入ってきているな、という印象を抱きます。日本語をフランス語に入れて使うのに抵抗を持つフランス人は少ないようですが、英語となると話は異なります。元々、外来語は必ずフランス語に訳す、というのが原則。Académie Françaiseという17世紀に作られた学士院は外来語がフランス語に入ってくるのを防ごうと努力を続けています。そのホームページには「使用を避けるのが好ましい用法」という欄があり、そこを見てみるとほとんどが英語の外来語。例えば、week-end。本来なら「fin de semaine(週の終わり)」と言うべきなのですが、現実はweek-endの方が頻繁に使われています。逆に、Académie Françaiseの努力の甲斐あってか、訳語がしっかりと残っている言葉もあります。例えば、job。アルバイトのことを指しますが、訳された「petit boulot(小さな仕事)」もよく使われています。

 しかし、時代の流れに沿って言葉を訳していくというのも大変な作業。コンピュータ用語はまだ訳された言葉が使われているのですが、インターネットの言葉になると英語がそのまま使われています。が、困るのは私のようなフランス語学習者。どういった言葉が訳語で流通しているのか、どの言葉が英語からなのか線引きが難しいところです。ダウンロードはtéléchargement、と訳語を使うけれどUSBはla clé USB(USBの鍵、という意味)となって、USBという英語がそのまま使われています。
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mi

アメリカの小学校でJORをやった時も、ティッシュをKleenexと呼んでいました!
なぜ商品名で、と思っていたけれど、絆創膏を「バンドエイド」や「さびお」と呼ぶのも同じことでした。他にも「ホッチキス」や「エスカレーター」なども固有名詞が普通名称化したものらしいです。
by mi (2013-03-11 11:24) 

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