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Refaire le monde [言葉の勉強]

 フランスにはカフェの文化があります。カフェの文化は単にそこでコーヒーなどの飲み物を飲むというわけではありません。そこで、(たとえお互いが知り合いではなくても)隣の人と話を咲かせる場所という意味で、カフェの文化、というわけです。International Courrierという、各国の新聞記事がフランス語に訳されまとめられた雑誌があるのですが、そこで組まれたパリジャンの特集でもこのカフェの文化が取り上げられていました。この記事を読んで、納得したのが、カフェでよく話すトピックについて。時期に関係なく、政治、社会問題が多いのですが、これらのトピックを「refaire le monde」という言葉で表現していました。日本語に少し訳しにくいのですが、直訳すると「世界をやり直す」という意味になります。つまり社会の問題に対して、自分だったらどんな対策をとって、世界を「仕切り直すか」ということについて語る、という意味です。政治家をできる限り批判し、その後自分だったらどのように「refaire le monde」していくかを話すのが、カフェの文化です。

 先ほど、「時期に関係なく」その話題がカフェで話されている、と書きました。しかし、今では特に熱が入ってこの話題がカフェで上っているようです。それは、大統領選が数ヶ月後に控えているからです。このrefaire le mondeを少しでも理解しようと、大統領選に関する授業を今学期、2つ取りました。それに関する説明は次回の記事にて。

何を期待しているか? [言葉の勉強]

 「しゅうかんBEN部/実践現役合格」のブログを読んでいて、なるほど、と思った部分があるのでコメントしてみたいと思います。

(『置き去りにされる人びと(全ての男は消耗品である。vol. 7)』村上 龍/KKベストセラーズ)
(p.63)  他国や他人に協力したいと思うならば、その国や人が何をしようとしているのか、また何を望んでいるのかについて正確な情報がなければならない。当たり前のことだが、彼が望むことを知らなければ、彼に対し協力することはできない。  だが日本にはそういうコンセンサスが希薄だ。 「あなたはわたしに何をして欲しいのですか」  という質問は、日本社会では開き直った態度になってしまう。直接相手に問うのではなく、「相手の意を汲んで」何事かを行うのが美徳になっている。それは国内的に風習や習慣が比較的均一的だったせいもあるだろう。


 どこの大学でも学期始めはオリエンテーション、授業のシラバス説明などが行われます。初回の授業の最後には、教授が質問を受け付けてくれます。これは日本語でも英語でも変わりはないと思います。この村上龍の文章を読むまで、あまり深く考えたことはなかったのですが、英語で行われる授業では(特に)私がする質問があります。「What do you expect from the written assignment (essay) ?」という質問です。直訳すると、「あなたはこの文書課題(エッセー)に何を期待しているのですか?」という意味になります。シラバスには、評価基準などが載っているのですが、たまに「エッセー」としか書かれておらず、どんなエッセーを書けば良いのか、詳しく明記されていないことがあります。そのときに、以上のような質問を教授にします。課題リーディングに沿ったエッセーを書くべきなのか、授業のテーマ1つを選び、自分でそのテーマを発展させたエッセーを書くべきなのか、教授が何を「待っているのか」聞くことがよくあります。これは私に限ったことだけでなく、他の学生も普通に聞く質問のような気がします。しかし、この質問、いざ日本語に訳してみると、何を期待しているのか察しようとしていない、というネガティブな印象になってしまいます。もちろん、英語の質問にはネガティブな意味はありません。少なくとも私がもしこの質問を受けたら、課題に興味を持っている、しっかり取り組もうとしている、と好印象を受けます。

 例が英語なので、「なぜこういった質問が英語で出てくるのか」という質問になってしまいますが、それは「エッセー」という言葉からイメージする課題が人によって異なる、という意識を持っているからだと思います。教授はリーディングに関するエッセーをイメージしていても、学生は別の形のエッセーを想像しているかもしれません。エッセーに限ったことではありませんが、単語からイメージするものは人それぞれ。言葉が指すものがお互い異なると、溝が生まれていまいます。英語は背景を異なる人(ばかり)が使う言語だからこそ、この言葉を使用する人は自然と「認識に溝がある」意識しているのかもしれません。その溝を埋めるため、つまり相手が何をほしがっているのか正確に理解するため、こういった質問が奨励され、当たり前にされているのかな、と思います。

 逆に日本語は日本でしか使われていないため、「自分の考えていることは相手の考えていることと同じだろう」と無意識のうちに考えてしまいます。それで結構曖昧になり(もちろん、曖昧にした方が良い状況もありますが)、結局相手が何を欲しているのか分からなくなってしまう場合があります。

 よく使う言語によって、人の性格が変わる、と言われます。自分では日本語を話している時も、外国語を話している時も「自分」であることに変わりはないと思っているのですが、もしかしたら変化しているのかもしれません。(少なくとも)英語では、文章でも会話内でも、お互いの解釈が異なるという前提に立ち、質問をすることでしっかり理解しよう、という心構えがあるような気がします。何を言おうとしているのか、しっかり理解するという態度、例え曖昧な言語と言われている日本語でも生かしていきたいと思います(文脈を読むという点において)。

Toussaintの休みとは? [言葉の勉強]

 前回紹介した通り、今週の日曜から始まる「秋休み」について書きたいと思います。高校生以下は10月22日から11月3日までの休みとなります。クリスマス休暇や冬休みが2週間なのに比べ少し短いので、どこかに出かける、というより田舎の別荘に行ったり、田舎の家族を訪れたりするようです。

 大学になると、たいていはこの休みがありません。しかし、私の通うところは国立の大学ではなく、日本で言う「私立」(フランスの国立大学は無料ですが、「私立」となると学費を払わなくてはなりません)なので、他の学校とは異なったシステムを持っています。休みの取り方もその1つ。生徒よりは短い休みでも、あるに超したことはない、ということでしょうか。8日間の休みとなります。

 ではこの休み、いったい何のための休みなのか、というとToussaintの休み。11月1日がToussaint(日本語で、「諸聖人の日」)という日です。フランス語の、Tous(全て)+saint(聖人)という言葉から来ています。フランスではこの日が祝日。その翌日、11月2日が「死者の日」で、日本で言うお盆のようなものです(なぜか2日は祝日ではありません。スペイン語圏ではこの日が祝日)。日本ほどではありませんが、お墓参りへ行く人もいるみたいです。あまり見たことはありませんが。かつて亡くなった人をしのぶ、という意味でも、家族が集まる休みなのかもしれませんが。もちろん、クリスマスも家族で集まりますが、このToussaintはどちらかと言うと田舎に居る家族に会いに行く(特に祖父母)、彼らの家に行く、というイメージが強いようです。私は日本で墓参りをしてきたので、特にすることはありませんが。

 多分、勘の良い人は既に気づいていると思いますが、Halloweenもこの休みに関係した祝い事です。Hallowは英語で「聖人」という意味で、Hallow+eve(前日)がなまって、「Halloween」、つまり「聖人(の日)の前日」、10月31日がハローウィーンとなったようです。自分の調べた限り、なぜアメリカでは10月31日のハローウィーンが、フランスでは11月1日、スペインでは11月2日の「死者の日」(día de los muertos)が盛大に行われるのかは分かりませんが。もちろん、商業目的、またはパーティーをする理由で、フランスの一部で、ハローウィーンは盛り上がっていますが。
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