SSブログ

フランスの試験 その4 [フランスでの学校生活]

 2年生次にフランス語(国語)の試験を受けた後は、それぞれの専門に分かれて勉強します。しかし、3年生の哲学はどのコースでも必須。前回紹介した配点指数というのが変わるだけです。L(文系)が7倍、S(理系)が3倍、ES(経済系)は4倍。そしてフランスでは(昨日)月曜の8時から全国で一斉に、哲学の試験が開始されました。時間は4時間。これは毎年変わっておらず、高校生以外の間でも話題になります。新聞やテレビで、こういった様子がたくさん映し出されます。
276.jpg

 哲学からバカロレアが始まるのは、何か深い理由があるに違いない、と思って調べてみましたが、単に採点時間を確保するためというだけでした。まず全員が受けるため、採点する量も多くなります。数学や理科と異なり、答案も長くなります(かと言って、数学などの答案が短いというわけではありません)。全国の哲学の先生総出で採点するのですが、やはり時間がかかるため、最初に行われるようです。採点時、自分の担当する学校ではなく、全く知らない学校の答案を担当するように上手く混ぜてあるようです。

 哲学、と言ってもどんな問題が出題されるのか気になると思うので、今年の出題されたテーマを少し紹介してみたいと思います。

 どのコースも3つテーマが提示されます。2つが一般的なテーマ、残り1つは1年間勉強してきた(ルソー、カントなど有名な)哲学者が書いた文章の抜粋。面白いな、と思ったのは、仕事に関するテーマはが多かったこと。Lコースに出題されたテーマの一つが「働くことで何を得られるか?(Que gagne-t-on en travaillant ?)」。またESコースでは「働く、それは役に立つということだけであるか?(Travailler, est-ce seulement être utile?)」というテーマが出題されていました。ここで重要なのは、テーマの質問に直接は答えず、質問から自分で新たな問題提起をすること。私が勉強していたパリ政治学院でも、これは何度もたたき込まれました。フランス人曰く、「質問でも疑ってかかることが大切」だそうです。例えば、Lのテーマを例にやってみると、「働くことで何を得られるか?」という質問を疑うことから始まっていきます。本当に働いて何か得ているか?自分の好きな事を仕事に出来ている人は、喜びを得ているが、そうではない人もいる。そういう人達にとって、仕事は生活するためのお金を稼ぐ道具でしかないetc。自分は哲学の授業を(残念ながら)フランスで受けたことがないので、どういう風に答案を作っていくのか、はっきりは分かりません。ただ、1年ここで勉強してみて、質問を疑う、というのはフランスの特徴だ、というのは理解出来ました。

 哲学はもちろん、かなり偏った科目です。答案もどの先生が採点するかによって、点数がかなり異なるようです。採点者の好みでかなり点数が左右するというわけです。これは平等ではない、と言っている人も多く居ますが、哲学を受験科目から外すということは考えず、みな「しょうがない」と受け止めています。10点が通常合格点なのですが、それにこぎ着けるのがやっと、という感じのようです。S やESはLに比べると配点点数が低いので、高い数学や経済と言った科目で補うようです。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0