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列の秘密 [新聞から]

 先日、Le Mondeに「列のパラドックス」という記事が載っていました。生活の中の「強制的な」列(郵便局、スーパーの列)にうんざりしているはずなのに、「非強制的な」列(最新のiphoneを買う列など)に並びたがる人がなぜいるのか、という記事でした。この記事によると、80%のフランス人は週1時間、「列に並ぶ」行為に費やしているそうです。正直、私はこの記事を読んで「たった1時間?」と思ってしまいました。スーパーのレジの働き具合から見ると、1時間軽く越えるような気がしてしまいます。ただ、80%のフランス人、ということなので、20%近くのフランス人はもしかしたらそれ以上の時間並んでいるのかもしれません。

 日本でもよく並んでいる人が居ますが、フランスなどでも大きな展示会があれば長い列が出来るようです。しかし綺麗に列を乱すことなく並ぶのは、日本の方が多く見られる光景かもしれません。流行に敏感、と言ってしまえばそれまでですが、列に並ぶことを楽しんでいるというのも理由の一つかもしれません。よくニュースなどで、人気店や新店が特集されると、そこに並ぶ人がインタビューされています。皆楽しそうに列を作り、ほとんどの場合、グループで並んでいます。グループであれば、話しているだけで時間は過ぎるので、並ぶことが苦にならない、のかもしれません。私は並ぶのがあまり好きではありませんが、「非強制的な」列に並んだことは何度もあります(美術館の展覧会、水泳の大会)。どれも、列に並ぶこと自体、楽しかったと思えるものはありません。ディズニーランドで並ぶのは確かに「楽しかった」(通路にも装飾などがあるので)のかもしれませんが、並んだ後に起こること、つまりアトラクションに乗れる、ということが楽しみだから、並ぶことも苦にならなかった、というのが正しいかもしれません。

 私が見ている、「ニッポンの出番」という番組でもこの列の事が取り上げられていました。結局、この番組でも「なぜ列を作るのか」という答えは出なかったと記憶しています。ただ、「列を作ること」を人との交流、のように捉え、楽しんでいる部分があるという説明がされていました。

 決定的な結論は出ませんでしたが、Le Mondeの新聞記事では「人々は『並ぶ』という行為を通して、自分が歴史的な瞬間に参加していると感じることが出来る。これは、生活が豊かになった証拠であるともいえる」と書かれていました。生活が豊かになったからこそ、並ぶという行為を通して、歴史的な瞬間に参加する「レジャー」が出来たのかもしれません。この説明にはなるほど、と思いました。特に、新商品の販売、映画の上映日初日などは、「他の人より早く」という歴史的瞬間に参加出来ます。平和だからこそ参加したくなる「歴史的瞬間」なのかもしれません。

 と、「非強制的」な列に関してはある程度の答えが出ました。しかし、「強制的な」列に関しては答えが出ませんでした。この記事は社会学的な観点から書かれていて、「強制的な」列に関してはあまり触れられていませんでした。もしかしたらこれが歴史的な瞬間かもしれないと思いながら、「強制的な」列を今のところは我慢しなくてはならないのかもしれません。
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