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本の新学期 [新聞から]

 札幌の小中高は既に新学期ですが、本州/ヨーロッパは夏休みが数日あります。夏休みは読書に最高の季節!と言っても、読書が好きな私にとっては、いつでも「最高の季節!」です。購読しているフランスの新聞でも色々な作品を紹介していて、「夏休みの最後まで、本の紹介をするんだなあ」と思っていました。「夏の読書」特集をするなら、普通6月とか7月にやるものなのに、8月末までやたら張り切っているなあ、とも感じました。しかし、これが間違いだったことに先日気づきました。

 たまに読むスイス(フランス語圏)の新聞に「La rentrée littéraireを10の質問で」という記事に答えが載っていました。Rentréeはフランス語で「新学期」、littéraireは「文学的」という意味になります。直訳すると、「文学の新学期」となります。フランスでは新学期が9月。「文学の新学期」とは、この時期に合わせて、フランスで8月下旬/9月から11月頃まで続く、新作発表のことを指しています。完全に商業的な理由なのですが、フランスでは新作発表は秋のみ。ちなみに、フランスのお隣ドイツやスイスで、このような習慣は存在せず、フランスだけのものです。この数ヶ月で600冊(2015年は587冊)近い、ジャンルに関係なく全ての新作が、販売を開始します。なぜか?理由は2つ。第一に販売数に大きく差が出ると言われる、フランスの三大文学賞の発表が秋の数ヶ月に行われるから。第二に、秋に新作を販売することで、本が一番売れると言われるクリスマスの時期への宣伝効果を狙えるからです。

 確かに言われてみると、フランスの本屋にはいつも同じような本が並んでいるイメージしかありません。もちろん、日本のように時期に合わせて、本の展示方法は変えていますが、同じような作品が並んでいるというイメージしかありません。数週間単位で書店の本棚にある本が変わる日本と比べると、秋だけの新作発表は「いつも同じ本」というイメージを持ちやすいかもしれません。

 ノーベル文学賞も秋に発表ですが、これは正直、フランスでの書籍販売数に大きく貢献しているイメージはあまりありません。一応、賞獲得者の作品コーナーのようなものが出来ますが、個人的にそれほど大きく話題になっている感じはしませんでした。逆に、「賞を取ったから」という理由で、大きく話題になるのが、Goncourt(ゴンクール)賞です。私も「ゴンクール賞を取った本」と紹介されると、チェックしてしまいます。ちなみに、この賞発表は11月。クリスマス商戦にも間に合う時期、ということでしょうか。

 私の好きなスイス人作家、Joël Dickerも2年ぶりの新作を秋に発表!2作品しかありませんが、彼の作品は全て読んでいます。新作発表を聞いた時は、とても嬉しかったです。彼の2作目は、Goncourt賞の(高校生が賞を選ぶ)高校生部門を受賞し、フランス、スイス(フランス語でもドイツ語訳でも)で、ベストセラーでした。そのため今回、最新作は「文学の新学期」にしっかり組み込まれ、10月1日発売だそうです。読むのが楽しみです。

(スイスの本屋、Payotでも彼の新作が販売されるのでしょうか)
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