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新しい事に挑戦 その3 [2022年ドイツ]

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 もちろん、特集号の序論を書くのも仕事だけれど、大きな仕事はスケジュール管理と、ジャーナルと論文の著者の間に入ってのコミュニケーションでした。通常、ジャーナルへ論文を投稿する際、原稿を書いて、それを他の研究者に査読してもらい、修正して、掲載するかどうか決まるという流れになります。私と同僚の仕事は、その原稿をチェックして、査読コメントを読んで、アドバイスをして、ジャーナルの人とやりとりをして、とにかく、特集号の原稿を「まとめる」ことが仕事でした。

 査読とは、外部の専門研究者がその原稿を読んで、内容をチェック、ジャーナルに掲載するかどうかの判断材料を、コメントとして提示する作業です。実際掲載するかどうかは、ジャーナルの編集チーム/編集者にゆだねられているのですが、この査読コメントが大きな鍵になります。私達が選んだジャーナルは、「論文著者、査読者、お互い誰か知らない状態」で査読を行うダブル・ブラインド、という方法。このおかげで(せいで)、客観的に、特に(意味もなく)厳しいコメントがあるのもこの査読方法。全く問題なく、査読を一発で通すのはほぼほぼ不可能と言われています(教授レベルでも)。完璧な原稿はない、ということなのでしょう。もちろん、査読を通過出来ない「Reject(掲載拒否)」もあります。査読で大体来る評価は、major revision(大幅修正)、minor revision(わずかな修正)の判断が下されて、原稿を修正ということになります。理系分野だと、major revisionの場合、追加実験を要求されたりするようですが、私の分野では、(もちろんデータの量や質にもよるけれど)、分析枠組みをもっと強くしろ、とか、文献関連のことを言われることが多い気がします。ただ、大幅修正には変わりないので、ほぼ原稿書き直し、みたいな状態に(少なくとも私は)なります。原稿を修正していく中で、査読者のコメントにどう対応していくか、というのが、最終的に「受理」にこぎ着けるコツ。もちろん、査読者のコメントに反対/反論することは可能。コメントに同意、反対、というより、一つ一つのコメントに対応する、というのが重要(と私は教えてもらった)のようです。
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