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君たちはどう生きるか (2023) [映画’21-]

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 日本で公開されていてから、見てみたかった作品でした。今月からドイツでも公開したので、見に行ってきました。一つの映画作品として、嫌いではないし悪くないのだけれど、「ジブリ/宮﨑アニメ」の作品一つと考えると、以前の作品でもっと良い物があったかな、というのが正直な感想でしょうか。思っていた以上に、色々なテーマが詰め込まれ過ぎていたいた気がします。前半は、割とリアリティのある、穏やかな映像が多く、でも不思議な違和感があって、村上春樹の「図書館奇譚」絵本をなぜか思い出していました。話が進む内にその違和感が分かってきましたが。

 ただ、クライマックス辺り(1時間半過ぎた辺り)で、「この映画のメインテーマがここまであんまり理解出来てないんだけれど」と焦っていた私です。最後の5分で、「これがテーマ、なのかな」と何となく自分で納得は出来たので、一安心してしまいました。「千と千尋の神隠し」然り、「風の谷のナウシカ」然り、一つのシンプルな、でも子どもから大人までしっかり考えさせる、テーマが作品を通して存在するのが宮﨑アニメ魅力だったけれど、今作はカバーしているテーマがとにかく多すぎて混乱する気がしました。日本では宣伝効果も兼ねて、予告編が全く流れない方法を取っていた様ですが、見終えた今、この映画の予告編を作るのは結構難しいだろうなあ、と思いました。ストーリーをある程度なぞった予告編は作れるかもしれないけれど、それ以上の作品だった気もするし。ちなみにヨーロッパ版、の予告編は、「冒険物」の様なまとめ方をしていましたが、それはそれで若干薄っぺらい気もしました。

 ドイツ語タイトルは「ある男の子とあるアオサギ」となっていて(英仏語も同じ訳)、混乱はするタイトルの訳ではあるかなあと感じました。原題だとなんとなく、「哲学的な感じの作品かな」ということがある程度予測出来るのですが、外国語訳だと、子ども向け童話タイトルっぽい感じがします。他のジブリ作品よりは、大人向けなので、ちょっとニュアンスが伝わりづらい気もします。とある映画批評で「大人と子どもも楽しめるものが多い宮﨑作品だけれど、今回はかなり大人向け」ということが言われていました。自分がジブリをよく見ていた頃(幼稚園、小学校低学年ぐらい)にこの作品を見たらどういう印象を持ったのかなあ、というのはちょっと気になります。

(上の文章を数週間前に書いて2024年1月26日)加筆
 映画を見に行った数週間後、ハリウッドのアカデミー賞候補作品が発表されて、「君たちはどう生きるか」がノミネートされていました。ノミネート作品はほとんど私が未鑑賞のものばかり。ただ、今年は、ドイツ人女優が主演女優賞、ドイツ人監督(役所広司主演)の作品「パーフェクトデイズ」がノミネートされているので、ドイツでも結構話題になっています。前者は、個人的に先月見て良かった「落下の解剖学」からのノミネートなので、個人的には取って欲しいなあと思います。この作品は、脚本、作品、監督賞にノミネートされているけれど、ハリウッドの反応はどうかな。
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