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Anatomie d’une Chute (2023) [映画’21-]

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 今年のカンヌで大賞を取って、フランス(とドイツでも若干)で話題になっていた作品を年末にようやく鑑賞することが出来ました。フランス映画だけれど、ドイツでも割と長めに上映しています。クリスマス/年末の駆け込み鑑賞でしたが、今年の映画をざっと振り返っても私の中では「2023年の映画ナンバーワン」かもしれません。原題は「落下の解剖学」と訳され、邦題もこの訳の通りとなる様です。フランスでのとある転落事故を元に裁判が開かれ、転落死を「解剖」するというストーリー。映画内のキャラクター(とこの作品を見ている観客)がこの裁判を追っていくのですが、色々なものが、少なくとも私にとっては、リアルでした。配役、セリフ、シナリオがとても上手に、リアルな現代を描いている気がしました。特に、映画内で登場する口喧嘩は、今まで見てきた映画の口喧嘩の中でもずば抜けて見応えのある、喧嘩でした。実際映画内のキャラクターと同じ立場になったことがあるわけではないけれど、似たようなセリフを聞いたことがあるので、これもまたリアルに感じた理由かもしれません。

 いわゆる、「法廷」のジャンルでもあるので、フランスの法廷システムも垣間見え、シナリオもかなりしっかりしていた作品でした。トリック、という意味での脚本ではなく、セリフや表現、という意味でのシナリオ/脚本がかなりしっかりしていました。映画の半分ぐらいが法廷でのやりとりなので、微妙な表現、そういった表現の定義などが、とても上手にセリフ内で描かれていました。2時間半と長めの映画だったけれど、あっという間に時間が経つ作品でした。
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