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文学の寺? [旅’20-]

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(第一の門、入り口)
 ハノイでインタビューに参加してくれた人が、「研究者だったら、ここに行ってみたら面白いかもよ」と教えてくれた場所がありました。この方日本語がかなり流ちょうなのですが、「でも日本語で何て言うか分からない。ベトナム最古の大学、厳密には大学ではないんだけれど」と言われました。私のスマホ(英語設定)で場所をググると、「Temple of Literature」と出てきました。文学の寺?最初の文学部でもあったのでしょうか。私もよく分からず、「最古の大学図書館ってこと?」と聞いてみると、「違う」との返事。

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(鶴と亀はやっぱり縁起が良いのでしょうか)
 よく調べてみると、日本語では「文廟」でした。孔子のお寺(廟)、という意味みたいです。お寺、の英訳は合っているけれど、Literatureでは孔子に関連した施設と分からないような気がしますが。孔子を祭っていて、一応何の建物か分かったところで、とりあえず行ってみることにしました。

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(科挙合格者リスト。見づらいけれど、「進士」という単語が見える)
 行ってみると、やはり「お寺」という表現がぴったりでした。1070年に寺は創立、1076年からベトナム初の大学としても位置づけられたようです。そのため、この国「最古の大学」というのもあながち間違っていないようです。門がいくつかある、公園のような場所でした。第一の門を抜けて、第二の門をくぐると目に付くのは、石碑。ベトナムでも科挙制度があったようで、その科挙の試験合格者の名前が(漢字)で書かれていました。合格した人達は「進士」というようです。

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(ベトナムドン紙幣の裏にも描かれている門。ピントを合わせるのが難しい)
 ただちょっと気になったのはその英訳。「doctoral laureate(直訳すると博士号受賞者)」。私の知っている限り、科挙は官僚のための試験だから、博士とはちょっと違うような気がしました。家に戻って調べてみると、ベトナム語の「進士」イコール、日本語の「博士」らしいです。試験の内容も、幅広く、でも思考力が必要そう、という感じ、本当に国のエリート官僚を作る、ための試験だったのでしょう。面白かったのは試験のプロセス。もちろん、当時はコンピュータなど無いので、文字通り筆記試験。筆跡で受験者が特定されるのを防ぐため、採点者に渡す、受験者の答案を複写する人が居たようです。

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(屋根にのっているのが鯉)
 観光客が多いのだけれど、地元の人達も来ていました。スーツを着た、官僚の卵なのか、新卒生なのか、出世祈願に来ている人達のようでした。写真の上にあるのは、鯉、は「登竜門」の語源らしいです。まさに、新入生の「登竜門」ということで来ていたのでしょうか。この言葉の語源を今回初めて知って、色々勉強になります。「勉強・学術関連祈願」の場所なので、「受験生」のような若い子達も来て、お祈りしていました。もちろん、私も、自分の研究プロジェクト成功をお祈りしてきました!
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tommy88

COTEN RADIOの
シーズン13.三蔵法師玄奘
シーズン19.最澄と空海
あたりを聞いている時、科挙だとか大学の話が出てきました。
ベトナムの仏教は、日本や朝鮮半島と同じく、基本的には大乗仏教。
中国系の儒教思想の仏教だから、孔子廟があります。
身近な所なら御茶ノ水駅近くの湯島聖堂ですね。
ここも孔子廟だから学問所でした。
孔子の諸説、儒学を教える学校だから文学部となります。
厳密には人文学部と捉えるのが正しいかもしれません。

by tommy88 (2022-10-25 14:35) 

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