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記者会見お手伝いの難しさ 前半 [日本での日常]

 前回の記事から相当時間が経ってしまいましたが、テニスの日本対フランスの国際試合であった記者会見お手伝いについて、引き続き書いていきたいと思います。この経験は色々な意味で強烈だったので、時間が経った今でも結構はっきり覚えています。

 3日間で4回記者会見があったのですが、その内私が通訳担当したのは、3回。1回目はチームごと(選手プラス監督)の会見。最初でありながら、一番難しく、一番上手く出来なかった会見でした。テニスは全く馴染みのあるスポーツではないので、スポーツそのものだけでなく、テニス協会や国際テニス連盟がどのような組織かということもよく分かっていませんでした。水泳であれば、ある程度やっていたこともあり、連盟内のえらい人がどんな選手だったかなど、なんとなく分かるのですが、テニスとなると、そのようなこともよく分かりません。また、記者会見と言っても、日本の協会、日本の記者、フランス側のテニス連盟、フランスの記者、国際テニス連盟、様々な関係者の利害があります。それが日本語とフランス語で行き交っている場所でした。やりとりを全て把握できても、色々な詳しい事情はよく分からず、私に決定権は無いので(決定権があっても困ったと思う)、少し歯がゆい思いもありました。現場でのやりとりが100%理解出来ても、自分の力不足で何も出来ないというのはとても悔しいものです。

 と、悔しい思いで終わった1日目。家に帰ってからも、相当落ち込んでいました。もちろん、これ以上に落ち込んだことも、これまでにはありました。例えば、自分の研究発表(練習)が上手くいかなかった時はこれ以上に落ち込みました。しかし、それはその日で終了。次回まで気持ちを持ち直したり、発表を良くする時間もありました。しかしこのお手伝いはそんなものではなく、翌日にまた別の会見があります。「1日目はこれが出来なかったから、こうしよう」と、色々考えながらゆりかもめに乗っていました。晴天だったのですが、電車内から良い景色を見る余裕は全くありませんでした。

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(試合観戦も重要な事前準備)
 2日目はシングルスだけだったので、選手のみの会見。それでもやはり、2日目の最初の会見は上手くいかず。一番の問題は(自分の実力/経験不足以外でいうと)、何をどこまで訳すかという点でした。会見場には、英語、日本語、フランス語を理解する人がそれぞれ居ます。全てを訳すという予定でいたのですが、全てを訳していると時間の無駄ということで、どこのやりとりを訳すか、というのがカギでした。それが、なかなか決まらず、私も何語のやりとりを訳すのか分からず、会場も訳して欲しい部分が訳されず、という状態でした。通常は全て英語(または日本語)のやりとりなので、3ヶ国語というのは珍しいケースのようです。またまた落ち込んでしまう会見でした。この日の午後は、この道ベテランの人にピンチヒッターで通訳をやってもらいました。私もその会見を横で聞いていたのですが、上手い!全部を訳すのが、「良い訳」ではありません。核心というか、記者達がほしがっている答えを上手に訳していると思いました。この日はピンチヒッターだったので、翌日からは私がまた通訳をやることに。会見後に、彼に「どのように、何を訳すか」ということを教えてもらい、翌日に備えたのでした。
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tommy88

日本語字幕も絶対に言ってない訳がありますよね。
映画館でガイジンの笑いと日本人の笑いに差があることがあります。
日本語字幕では、全く違う意訳で、それで笑いを取るときに時差が発生します。
それでも、腕の見せ所はあるのだと思います。
キミが感心した分、キミは上手になっているのだと思います。
ほとんどゼロから初めて、収穫ばかりだったでしょう。
重い気分になる必要はなく、上等だと思います。

by tommy88 (2017-02-26 11:50) 

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