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点と線(by 松本清張:1957) [読書’14]

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「砂の器」で松本清張にハマってから、短編集と並行して、長編も読み始めました。短編集にも面白い作品がいくつかあるのですが、 作品が描かれる時代背景が好きな私は、長編の方が面白いと思います。描かれる時代を掘り下げていくためには、短編では短すぎる気がします。

 たくさんの作品があって、どれから読んだら良いのか分からないので、とりあえず有名なものを読んでみることにしました。「砂の器」、「ゼロの焦点」、「点と線」、この3作が有名みたいなので、とりあえずこれらを図書館から借りてきました。「ゼロの焦点」ももちろん面白かったのですが、学校では教わらない戦後の現実が描かれていて、読むのが結構キツかったです。歴史を知るという意味で、読んでおいて良かったと思います。

 この3作品で一番面白かったのは、「点と線」です。彼の作品のタイトルは、最後まで読んでもよく分からないことが多いのですが、「点と線」は読み終えて、「なるほど!」とうなされるものでした。顕微鏡で線を見ると、点にしか見えないように、倍率(視点)を変えると、線という全く別の物が見えてくる、という考え方が面白かったです。視点を色々な尺度で見ていくことが、異なる事実が見えてくる、その縮図変更が読んでいて、たまりませんでした。

 そして、よくこの作品が話題にされると、言及される時刻表トリック。舞台が東京駅の横須賀線ホーム。私が普段使っている総武線は、東京駅に向かう線だと総武横須賀線となります。もちろん、この線に乗って東京駅へ行ったこともありますが、作品が舞台となっている時ほど、電車の行き来は激しくありません。私の知らない横須賀線の賑やかさがこの作品では描かれていて、とても不思議な気分でした。

 また、何気ない出来事に対して、常に「なぜその人はそうしなければならなかったのか?」という問いかけを刑事がしていくのも、勉強になります。それがたまたま偶然なのか、被疑者にとって必然なのか。「これまでに分かったこと」を刑事(または刑事の役割を担う登場人物)が箇条書きのような形で書いていくのも、読んでいて、とても分かりやすいです。これまでに分かったことをしっかりと整理し、偶然と必然を探っていくやり方、私は好きです。「どうやって」というトリックも気になりますが、なぜその行動に繋がったのか、という質問も大切な気がします。そのような何気ない質問から、次の一手へと繋がっていくのが読んでいても、すっきりします。
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