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孫子 (孫武:紀元前4~5) [読書’14]

 日本の軍師に関した本をいくつか読む内に、様々な作品に何度も出てくる「孫子」が気になってきました。中国の古典、ということは理解していたのですが、そのまま読むのは難しそうでした。そこで、「孫子の解説」というような本を図書館で借りてきて、それをまず読み、その後に「孫子」(現代語訳付き)を読んでみることにしました。「孫子」が書かれた背景なども知りたかったからです。私が読んだ解説書は、入門書、のような感じで、なぜ「孫子」が日本へ入ってきたのかということも書かれていて面白かったです。

 「孫子」が書かれたのは紀元前5世紀頃ですが、日本で広く兵法の書として使われるようになったのは戦国時代。なぜ戦国時代から高い評価を得るようになったのか、という解説としてこの本が挙げていたのは、「貴族のものだった戦争が、下克上という手柄を挙げればトップになれるシステムに変わったから」という理由でした。かつて、戦いと言えば、貴族同士、正々堂々と正面きって戦うものだったのが、戦国時代に突入すると、手段を問わず、勝ちを収めることが下克上に欠かせないものになってきたため、作戦が必要になってきた、と説明していました。確かに、兵法というと、いかに相手を謀るか、ということが重要になってきます。この説明には、「なるほど」と納得してしまいました。

 この解説書には、兵法も説明されていて、とても分かりやすかったです。特に、過去に使われた例を紹介していて、「あの戦い方は孫子で説明されるほどの作戦だったのか!」と驚いたこともありました。三国志でも印象に残っている作戦がいくつか出てきていました。

 戦いというと、どうしても前へ攻め込んでいくイメージがあります。が、「孫子」を読んでいて感じたのは、「必ずしも攻めることが最善ではない」ということでした。「理想の勝ち方は戦わずして(兵を出さずに)勝つこと」とはっきり書いてあって、びっくりしました。兵を出すリスクを考えろ、ということだと思いますが、戦いという言葉から一般的にイメージさせるものとかなり異なるので、意外でした。そのため、勝てない戦いはせず、無理そうだったら逃げる、ということを勧めているのも面白かったです。確かに、あの劉邦もとにかく逃げることを続け、最後に勝ったことを考えると、逃げるのも時には大事だということでしょうか。

 主に現代語訳に頼って読んでしまいましたが、対比が多くて不思議な感じでした。「敵の兵士が多く、味方の兵士が少ない場合」というように、とにかく対比がたくさん出てきました。そんな対比で印象に残っているのが、(型破りな)奇法と正攻法の説明です。2種類の戦法しか無い、と言ってしまえばそれまで。でも、戦いの難しさはそれが複雑に組み合わさっていること。この難しさを「孫子」では色を使って説明していました。原色は5色しかないけれど(「孫子」では、黒・白・赤・黄・青の5色を原色としているようでした)、それが無数に組み合わさって色が出来るので、色の数は無限大。戦法も同様で、奇法と正攻法を様々な方法で組み合わさっている、ということでした。一見すると簡単なことがなかなか進まないのは、各自の思惑が混ざっていて、色々な「色」を作り出していて、その色にあった、解決策を見つけるのが難しいということなのかなあと、自分の状況にも置き換えてしまいました。

 風林火山、 がこの本発祥ということを恥ずかしながら今回知ることが出来、とても勉強になった本でした。
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tommy88

晩年の孫子は田舎に引っ込んでしまったけれどマークされていました。
そして、「戦わずして勝つ」の一点に集中していたようです。
『兵法』は何度も書き直しがされているのだと思います。
by tommy88 (2014-11-21 03:10) 

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