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Cher Trésor 前半 [芸術]

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 パリの友人が「劇に連れて行ってあげる」と招待してくれたのが、この作品。日本語に訳すと「親愛なる財産」という意味になります。パリにあるThéâtre de Nouveautésというところで見てきました。「見に行きたい作品を事前に言ってくれたら、チケットを買っておく」と言われ、太陽の輝くAix-en-Provenceで悩むこと約1週間。読み慣れない劇の雑誌やネットのコラムを読んで、この作品を選びました。理由は2つ。

①自分の好きな役者さんが主役で、「失敗作」となる確率が低そうだから
 せっかく見に行くのだから良いものを見に行きたい。でも自分にとっては未知の世界。今回はリスクを取るのでは無く、安心を取りました。フランスでも有名な俳優、Gérard Jugnotという人が主役。Les choristes(邦題「コーラス」)という映画に出ていました。私の中で典型的なフランス人、とイメージするのが彼です。ベレー帽を被り、バゲット片手にカフェで新聞を読んでいるのを簡単に想像できます。自分の好きな役者さんが出ているから、最悪の場合「自分の好きな役者さんを生で見られたからよいか」と慰めることが出来るかなあとも思っていました。

②今話題の「帳簿検査」(Contrôle fiscal)で、フランスの今を知ることが出来ると思ったか
 日本のように年度というものがなく、帳簿の新年は1月から。つまり今の時期、フランス人は税金をどうやってごまかそうか必死に頭を悩ませているところです。有名俳優が高い税率を逃れるため、ロシアへ向かったことが最近ニュースになりましたが、手厚い社会保障を支えていくためには、税収入が欠かせません。そのため、色々な税がフランスでは高くなっています。もちろん、政府も税をごまかすフランス人が多いことを把握しているため、「(帳簿)検査人」(Contrôleur)を送り込んで色々調べています。そんな税の話題が最近多くなってきています。風刺の劇を見て、少しでも現状が分かれば、と思いこの劇を選びました。

 色々頭を悩ませて選んだ作品、Cher Trésorのあらすじは以下の通り。
 法学部卒業のFrançois Pignonは長期の失業者。パリの金持ちが住むアパートの管理人という寂しい仕事(これを仕事と呼べるのかは不明)を細々と続けています。その金持ちをかぎつけてやってきた、(帳簿)検査人。Françoisはその彼に自分の帳簿検査を頼みます。皆がいやがる検査をなぜ進んで志願するのか?それは「存在する」ため。検査を受けることで、自分が存在していることが正式に証明されるというわけです。失業後自分を見放した妻、同期であり今は銀行で働く友人への仕返しとして、自分に財産があるように見せかけ、帳簿検査を受けます。自分にお金があるように見せかけると、すぐに友人や妻が彼の元に戻ってきます。手に負えないほど話が発展し、Françoisは自分の嘘を告白。彼に財産がないと分かると、友人や元妻はまたすぐに去って行ってしまいます。が、直後彼には(嘘ではなく)莫大な遺産を受け継ぐことが判明し・・・・。

 ストーリーはハラハラ、ドキドキという感じではありませんでした。が、各登場人物の心理的描写が細密に表現されていました。そして詳しい感想は次回の記事に載せることにします。
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