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Paul Cézanneのアトリエ [芸術]

 以前、Granet美術館の感想を書いた時に、「セザンヌのアトリエへ行く」と宣言しました。その宣言通り、Aix-en-Provenceを離れる前日に行ってきました。地図を片手に向かいましたが、とにかく坂道を登る、登る。ずいぶんと不便なところにアトリエがあるものだ、と思いました。が、彼の有名な作品は「サント・ヴィクトワール山」という山の絵。山がよく見えるよう、高い場所にアトリエを構えたのでしょうか。

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 アトリエという言葉から、掘っ立て小屋のようなものを想像していました。アトリエ→仕事場→仕事に必要なものだけを揃えたもの→家より小さい、という考えでした。が、住所と地図を便りに坂を登ること10分。周りの家と全く代わりのない建物が見えてきました。表札代わりに「セザンヌのアトリエ」と書かれているのを見なければ、分からないくらいです。2階建ての小さな家でした。

 1階部分は受付となっていて、見学出来るのは本当に2階のアトリエ、一部屋のみ。私は学生料金で2€でしたが、正規料金は5€。少し高いのでは、と思ってしまいました。

 そのアトリエには、彼が制作に使っていた筆やパレットはもちろん、計測道具なども置かれていました。床は木製、壁は灰色でとても暗い感じの部屋でした。この暗さにはもちろん理由があります。壁が灰色のおかげで、部屋に入ってくる光の反射を防ぐことが出来るのだとか。作品を作る時の邪魔になる光を遮るというのが、大きな理由。芸術家の彼、色々こだわりがあったようで、このアトリエを設計したのも彼自身。景色の良いAix-en-Provenceでも、アトリエにこもりっきりだったのかな、と思ってしまいました。雨もあまり降らないため、外の写生は気持ち良いのではないか、と思います。美術の時間が嫌いだった私でも、写生は好きでした。絵を描くことより、外に出られるというのが大きな理由だったと思いますが。

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(私が登った一番高い場所から)
 が、更に説明を読んでみると、やはりセザンヌは外でも写生をしていたみたいです。今では多くの木や建物で遠くの景色が見づらくなっています。当時は建設途中の建物もほとんどなく、風景画を描くにはぴったりの場所だったのではないのでしょうか。私はサント・ヴィクトワール山が見たくて、アトリエの庭から、またアトリエを後にしてからも坂を上り続け、高い場所を探し求めます。が、プライバシー保護のためか、なかなか山は見えず。高い塀や入り口から実際家のドアまで遠い家も多く、金持ちが多く住んでいる場所のようです。セザンヌのアトリエからも近い、または景色が良いということもあって、金持ちに人気の場所なのかと思います。実際、セザンヌのアトリエは金持ちが買って私有化することを防ぐため、現地の大学に寄付されたもの。皮肉にもAdmirateurs américains du peintre (アメリカの画家愛好家)という団体がAix-en-Provence大学に寄付したものです。この団体のホームページを見つける事は出来ませんでしたが、セザンヌはアメリカでも有名な画家のようです。彼の(有名な)作品のいくつかはメトロポリタン美術館、シカゴ美術館などに貯蔵されています。アトリエにもたくさんのアメリカ人が来ていました。Aix-en-Provence市内で「アメリカ人が多い」という印象は持ちませんでした。しかし、このアトリエにはかなり多くのアメリカ人が来ていたので、びっくりしました。
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