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Cerbèreへの旅 その6 [旅'12]

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 新しい物を見ることが出来た、ダリ美術館でしたが、少し不満の残る点もありました。それは、説明が足りなかった点。芸術は見た人が思ったように解釈すれば良い、と私は考えていますが、最低限の情報は必要不可欠だと思います。例えば、パリのオルセー美術館は展示が小さなブースに分かれ、必ずブースの入り口にそのテーマの説明があります。例えば、「18世紀のオランダ美術」がブースのテーマであれば18世紀のオランダ美術とは何を指すのか、またどういった画家が中心となっていったか、という説明が(フランス語だけでですが)なされています。が、ダリ美術館には一切そういった説明がなく、困ってしまいました。ダリは夢診断を受けたり、パリでピカソなどとふれあったり、色々な経験をしています。各作品が、そういった経験前、後に作られたのかということが少しでも分かれば、もっと深く作品を鑑賞出来たのではないかな、と思いました。

 そして、ショックだったのはダリ美術館がある町。美術館には観光シーズンということもあって、たくさんの人が来ていました。しかし、その周りの店はシャッターが閉まっていたり、閑散としていました。バカンスシーズンで稼ぎ時なのに、と思ってしまいましたが、よくよく見ると建物に「売り出し中」の看板が掛かっていました。そう、売りに出されている物件がやたら多いのです。また、建設途中のアパートや立体駐車場も多く見られました。バカンス中だから、仕事を中断しているわけではありません。スペインは、EUの中でも経済危機に陥っている国。数年前までは建設バブルで、とにかくアパートや建築物が多く建てられたようです。しかしこの世界の経済悪化で、新しい建築物の買い手が現れず、支払いもしっかりされず、中途半端なまま放置されているという状態のようです。壊すこともなく、そういった建物が多く残されていて、ゴースタウン化していました。

 そして、やたら目についたのは、何をすることもなく、朝からウロウロしている若者達。スペインは26歳以下の失業率が60%近いと言われています。新聞やテレビでそういった情報を手にしているものの、実際目にしてみると、驚きです。パリだと、夏休みの今、若者(私のような学生)にとって、お小遣いの稼ぎ時で、色々な場所で「つらい」仕事をしているのを目にします。単純なレジの作業や、観光名所で人力車のようなものを引っ張ったり。正社員はバカンスをとるため、その穴埋めとして、若者が借り出されている印象を受けます。しかし、スペインではそういったこともなく、暇をもてあましている若者が昼間からウロウロしていました。夏休み中の短期の仕事でさえ、見つからないようです。パリでは見かけないような風景で私はびっくりすると同時に、「これが若者の失業率60%の実体か!」と思ってしまいました。
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