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Lion King(2019) [映画’19−20]

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 (デュッセルドルフ発のマスタード。「ライオンマスタード」と呼ばれていて、私も冷蔵庫に常備しています)
 小さい頃は飛行機に乗る際、機内食が楽しみでしたが、今は機内上映が気になります。最近は、飛行機が離陸していなくても映画を上映してくれる便が増えてきたので(今までは、シートベルトサインが消えるまで上映していなくて、寝入ってしまうことが多かった)、自分が乗る便でどんな作品が上映されているかチェックして搭乗しています。3月日本行きももちろん確認していて、中でも目をつけていたのが、Lion Kingでした。今月に入って、市内図書館がDVDを購入してくれたようで、借りてきてようやく見ることができました。

 色々な意味で、すごく丁寧に作られている作品でした。作品中の名シーンと呼ばれる部分は、アニメからの再現率がすごかったです。最初のシーンは特に、「これこれ!」と思える再現率で、あのフォントでタイトルが表示されると、鳥肌が立ったほどです。また、オリジナルのストーリーからあまり逸れること無く(せっかくCGで作っているし、ビヨンセという歌手が参加しているということで)、20年近く経った今だからこそ出来る映像も追加されていた気がします。

 しかし、CGでの動物の再現性がリアルすぎて、違和感も感じました。アニメだと動物が話しているのに抵抗を覚えないけれど、実写版のような感じで、「ライオンはあまり口を動かさないで話すんだなあ」と思ってしまいました(ソフトバンクの「お父さん」のような感じ)。

 この映画、通しで見たのは多分数えるほどだけれど、自分でも驚くほどよく覚えていました。一番下の妹が繰り返し見ていて、その細切れで見かけたシーンが記憶にすり込まれていたのかもしれません。そのため、作品を見ていて、どこのシーンがアニメからか(どんな感じであったか)なんとなく把握しながら見ていました。

 この映画、小さい頃から特定のキャラクターに感情移入せず見ていたのですが(どのキャラクターも好きだったとも言えますが)、今回は「ムファサはやっぱり偉大なあ」と思いながら見てしまいました。当時はあまり強い印象が残っていなかったのですが、今回改めてみると「ムファサ、結構大事なこと言っているなあ」と再認識してしまいました。
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Before Sunrise(1995) [映画’19−20]

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(写真はイタリア。作品の舞台はオーストリア。この作品にもおしゃれな路地裏が登場していました)
 先日、La Véritéを見てなかなか良かったので、出演陣の他作品を見てみることにしました。「今を生きる(Dead Poets Society)」ぐらいしか知らないイーサン・ホークの作品を選びました。邦題は「恋人までのまでの距離」という作品。シリーズになっているようで、3作ほど出ていて、ヨーロッパで多分、イーサン・ホークといえばこの作品シリーズを思い浮かべる人が多いような気がします。

 ラブストーリーといえば、ラブストーリーなのだけれど、想像していたようなラブストーリー映画とは少し異なりました。確かにあらすじを追うと、よくありそうな筋書きなのですが、話の進み方がドキュメンタリーを見ているような感じでした。このテンポに慣れないと、「何を見ているんだ!」と正直思ってしまいます。私も最初20分で、「これがあと1時間以上続くの?」と思ってしまいました。でも冒頭20分の電車内のシーンが、20年以上経った今でも、ヨーロッパ内の電車内でよく見かける/経験するシーンで、笑ってしまいました。

 簡単に言うと、とにかく会話を追う映画なのですが、それでも所々で「分かる!」と思う場所があります。ウィーンで乗る路面電車内の会話は一回しで撮っていると思うけれど、10分以上会話していました。このようなシーンが、この映画をドキュメンタリーと思わせる所以だと思います。演技なので、脚本があっての会話だと思うけれど、よく台詞を覚えたなあと思うぐらい、会話の量が多いです。私のお気に入りは、電話の想定会話のシーンでしょうか。二人が、各自の友達と行うであろう会話を想定して行っているやりとりだけれど、2人の本音が出ていて、ちょっと切なくて良いシーンでした。

 見る人によっては、ちょっとがっかりかもしれない、そして話の終わりが、前半で見えてしまうけれど、私は最後までしっかり見てしまった作品でした。そして、この続きも出ているようなので、早く次作を見るのが楽しみです。
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Fight Club (1999) [映画’19−20]

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(Santa Maria Novellaの石鹸。この映画でも石鹸が小道具として登場しますね)
 以前、友達と「エドワード・ノートンの(狂った)演技がすごい」という話をしていて、この作品の名前が挙がりました。彼といえば、この作品、らしいので、早速見てみることにしました。

 見た後は、良い意味で「やられた!」という感じでした。「ユージュアル・サスペクツ」を見終えた時のような、「やれらた!」という爽快感でした。「ユージュアル・サスペクツ」は、最後の1分で、そうだったのか、ということが視聴者にも見えて、理解出来るという感覚でした。しかし、今回の作品は、個人的に一番最後ではなく、最後の方で、「そうだったのか」となり、見えていなかったのは、私だけか、と若干悔しく、でも騙されて爽快な気分でした。「実はこうでした」と映画で、後々見せていない部分を種明かしするのは簡単だけれど、最後までほとんど全てを見せて、でも見ている側にそれを気づかせないで撮るのは、高度な技術が要求されます。それを細部に渡って、しっかり伏線を張っているのがこの作品のうまさのような気がします。良い伏線が何であるのか、というのが、この映画を見ているとよく分かります。

 開始30分は正直、何が起こっているのか分からず、「この映画、大丈夫?」と思ってしまいました。が、シーンの所々に出る若干の違和感というのは、自分の記憶/潜在意識の中に眠っていて、作品が終わると、「そういうことだったのか」と納得出来ます。ただ、この違和感、映画を見ている間はなぜ感じているのか自分でもよく分かっておらず、作品を鑑賞しながら「私は何で、違和感をこのシーンに感じているんだろう?」という言語化できないモヤモヤをずっと感じていました。作品が終わると、そのモヤモヤはほとんど全て解決され、すっきりすることが出来ました。違和感を感じつつ、でもその後の映像を追っていく、ということが続くので、2時間この映画を見た後は、脳が少し疲れた感じもしました。

 伏線がしっかり張られている、という点だけでも良い作品だと思うのですが、更に公開されて20年近く経った現在にも見られる社会の問題提示も良かったです。本を元にこの作品が撮られた(つまり小説自体は1999年前に出版)にもかかわらず、過度な消費社会への問いというのは、現代社会へも通じる良い指摘になっている気がします。この映画公開後、つまり2000年以降にアメリカで起こった出来事を見ていくと、作品が既に予言していたような気もして、更にこの作品のすごさも感じました。
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La Vérité (2019) [映画’19−20]

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(去年イタリアで買ったコーヒーの粉。おいしかった!)
 これは、昨年12月から見たいと思っていた映画でした。是枝監督/脚本、2大フランス女優という不思議で豪華な組み合わせというのもあったけれど、色々フランス語圏のメディアで話を聞いていて、「見てみたいなあ」と思っていました(見事に宣伝/広報にはまってしまったというわけです)。

 今月の日本行きが延期/中止になってしまったので、本当に限られた回数の字幕上映を目指して(この週で字幕上映をしていたのはドュッセルドルフ市内で一館、1セッションのみ)、見に行ってきました。ウィルスで、映画館等が閉鎖される2週間ほど前にギリギリ、見に行くことが出来ました。実際、見に行って良かったです。今年に入って良い作品に恵まれなかった(どちらかというと駄作続き)というのもあったかもしれませんが、「女優とは」というのがよく分かる作品でした。

 珍しく、この映画は事前に批評を聞いて、見に行きました。私がよく聞くフランスのラジオ番組で、映画や本の批評討論番組があります。専門家が、何人かその週に出た映画や本の批評、討論をする、というものなのですが、数ヶ月前にこの作品も取り上げられていました。聞いていた印象では、評価はまあまあ。これは悪いというわけではなく、「良くない」という声も「すごく良い」という声もなく、総じて「まあまあ」という感じでした。この番組では、大抵評価が二つに分かれるか、全員に酷評されるかので、この評価は珍しいです。その番組内で議論になっていたのが、「これはフランス映画であるか?」ということでした。配給/製作会社はフランス(と日本)、フランス語で撮影されているし、出ているのはほぼフランス人、ということで、確かにフランス語映画だけれど、若干是枝監督/日本のテイストが出ているのではないか、という話になっていました。

 その話を聞いていた時は、「一体どういう意味なんだろう」と思っていました。が、見てみるとその意味が少し分かった気がします。例えば、映画序盤の撮り方。数作品しか見ていないけれど、是枝監督独特の始まり方でした。この監督は、映画序盤の数分のセリフの撮り方が本当に上手だと思います。自然な流れで、でも色々な重要な情報が数分のセリフに入っていて、鑑賞者として試されている感じがして、私は好きです。フランス人の話だから、セリフはほぼ全てフランス語なのだけれど、数分を見て、「そうそう、この感じ」と、今まで見てきたこの監督の日本語の作品の始まり方を少し思い出してしまいました。言葉は異なっても、こういう特徴は結構残るんだなあ、と新しい発見でした。

 メイン3人の俳優も、素で演じているのかな、というぐらい役がぴったり合っていました。特に、カトリーヌ・ドヌーブは、「フランスの大女優」という役どころだったせいか、「これ、役じゃなくて、本人がこういう感じ?」と思ってしまうぐらいハマっていました。もちろん映画だから役なのだけれど、ちょっとドキュメンタリーにも見えてしまいました。ジュリエット・ビノシュは現実世界で、脚本家じゃないけれど、脚本家ジュリエット・ビノシュという感じがしてしまったし、実際にはB級俳優でないけれど、B級俳優イーサン・ホークという感じがして、不思議な作品でした。

 映画だけれど、ドキュメンタリーに見えてしまった理由の一つが、色々な作品がこの1作品に入っていることだと思います。この映画のテーマは様々だと思うけれど、個人的にはこの監督は映画が本当に好きで、「女優(演じること)と映画」がテーマの一つだと思います。評価は分かれるけれど、La la Landも監督の映画愛が溢れている作品で、私は結構好きでした。La la Landほどではないけれど、映画がどれだけ好きかというのが、画面からよく分かるし、単に「好き」ではなく、その難しさというのも上手く描かれていた気がしました。そして、映画という媒体でこの作品の良さが一番出るなあとうこともよく分かりました。
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The Looming Tower (2018) [映画’19−20]

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 以前書いた「The Young Pope」を図書館で借りた際、ついでに気になっていた「The Looming Tower」というドラマも借りてきました。邦題は「倒壊する巨塔」となっています。9.11がなぜ/どのように起こったのか、時間をさかのぼって見ていくドラマです。どのように起こったのか、が大きなテーマだけれど、個人的には、「なぜ起こったのか」というのも、所々に見え隠れしている気がします。もう起こってしまったことなので、出来事を変えることは出来ないけれど、このドラマを見ていると、「9.11は防ぐことは可能だったのじゃないかな」と思ってしまいます。The Young Pope同様、このドラマも10話、他の長寿アメリカ・ドラマに比べると、エピソード数が少ないです。しかし、その代わり、各エピソードの質が高い気がしました。長寿ドラマは、なかなか全シリーズを見切ることが出来ないので、最近は、10話ほどでシーズンまたはドラマが完成するMini−Series(とアメリカで呼ばれている)の方が好きになってきました。何点か気に入った部分や思ったことがあったので、書いていこうと思います。

1.脚本/脚色が良い
 実際にあった出来事、しかも広く知られている出来事を基にするというのは、エンディングが見えているので、結末以外の部分で、どう視聴者を惹きつけるのか、というのが重要になってきます。このドラマも例外ではなく、最後が見えてしまっているので、そこまでの過程をどう描くか、が鍵の気がします。当時の大統領や国務長官など、顔が広く知られているキャラクターを敢えて使わず、鍵となるFBIとCIAの人物に絞って描いているのが良かったです。そうすることで、結末は分かっているけれど、視聴者が知らない部分というのもあるので、全10エピソード(少なくとも私は)ハラハラ出来ます。
 また、各エピソードの最初に「これは実際の出来事を基にしているけれど、ドラマ演出のため、脚色を加えている部分があります」という注意書きが出てきます。が、登場人物のほとんどは実在した人だし、当時のニュース映像なども使っているので、「実際のところ、ほとんどが現実に起きたこと?」と思ってしまいます。細かい部分は変えているようですが、フィクションのドラマ以上に、(実際に起こった/意図的に起こした)ちょっとした事が色々な悲劇に繋がった気がします。まさに、現実は小説より奇なり、という感じでした。

2.色々な対立の描き方が面白い
 最初、このドラマの予告編を見たとき、9.11がどう行ったのかが大きなテーマのため、アメリカ対アルカイダの様子が描かれるのかなあと勝手に思っていました。が、実際に見てみると、大きな敵/障害は国内にあった、という感じでした。FBIを中心とした別のアメリカドラマ、CSIを中心とした作品を見ると、FBIやCIAの偉い人と対立、という話が何度か出てきますが、今回のドラマを見ていると、「フィクションドラマでの描き方はあながち大げさではなかった」ということを感じます。脚色しているとはいえ、実際にFBIとCIA、強い対立があるだろうな、ということが想像できます。
 また、このドラマに登場するFBIの支局は男性がほとんど、対するCIAの局は女性が多いというのも面白い対比でした。「Zero Dark Thirty」(ビン・ラディン殺害とその作戦経緯)で、作戦の中心となっていたCIA捜査官も女性だったので、CIAは女性捜査官が多いのかな、とも思ってしまいました。

 脚色、と分かっていても、現実に起こったことなので、どこまで本当なんだろうと私はかなり気になって、全エピソードを見ました。このドラマ、ノンフィクションの本を元に作られているので、この作品を読んで、ドラマの脚色部分を確かめてみようと思っています。
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The Young Pope(2016) [映画’19−20]

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 数年前から父が薦めてくれていたドラマだったのですが、11月末ローマ、バチカン巡りをした時のこのドラマの話になり、ドイツの図書館で探してみるとDVDがありました。クリスマス休暇中に見たのですが、面白かったです。色々感じたことがあるので、書いていこうと思います。

1.配給、製作会社
 ドイツで貸し出されている、つまり販売されているDVDだったからというのもあるのかもしれませんが、ドラマの最初に出てくる配給会社の名前がSky Atlantic。元々はイギリスの有料放送を行う会社(日本のWOWOWのようなもの)で、ドイツでも同様、有料のチャンネルで、ブンデスリーガ、ドラマ、映画を放映しています。このSky Atlanticに続いて、Canal+(フランスの有料テレビ局)、HBO(アメリカのケーブルテレビ会社)。HBOは資金がかなり潤沢にあるし、ジュード・ローを始め有名な俳優が何人か出ているからアメリカだけの出資で十分出来たはずだろうに、と思っていました。
 実際見てみると、ヨーロッパ向けかな、という感じでした。バチカン市国が舞台、というせいもあるかもしれませんが、「信仰とは」という大きなテーマを全エピソード通じて問い、アメリカのドラマとは全く違う形でした。最初の数エピソードは禅問答のような感じで、アメリカのドラマに慣れていると、かなりスローペースに感じてしまうかもしれません。監督もイタリア人というのも大きな理由だと思いますが、フランス人やイタリア人が好みそうな、ちょっと哲学的なドラマでした。私はこのようなスローペースのドラマも好きなので、飽きることなる見ることができました。
 この感想を書く際、少し調べてみたのですが、あくまで「イタリアのドラマ」のようです。イタリアでまず放映して、その数ヶ月後にアメリカでも放映されたようです。舞台がイタリアとは言え、イタリア語のセリフが多いのにも納得です。

2.登場人物が人間的
 最初の方で、ローマ教皇が「自分は矛盾だ/している」と言う台詞があるのですが、その言葉を始め、登場人物がとても人間的で、それがこのドラマの一番の良さだと思いました。色々な登場人物が居て、多くは宗教に人生を捧げ、バチカン市国で働いている人達だけあって、キリスト教を一応「強く」信じている人達だけれど、人間なので、疑いもするし、悩みや矛盾した部分を持っています。人間とは少し異なる、「神」を多少近く感じている人だけれど、とても人間的に見える、そのコントラストが良かったです。
 人間的、というのは教皇にも言えること。教皇としての公式の立場はかなりはっきりしているけれど、本心はどうなのかは、分かりづらい部分があります。別の言い方をすると、監督の宗教、信仰のおける考え方は実際のところどうなのか、というのも非常に気になります。
 聖書に書かれていることは変わらないけれど、人間は変わる/変わることも出来る、というのがラスト2話では特に感じられ、なかなか良い2話でした。その変化が若干急ぎ足の感じがしたので、個人的のもう数話追加しても良かった気がします。

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(バチカン市国のあの広場)
3.照明と音楽が絶妙
 イタリア在住の人が「イタリア人は光の使い方が上手、使い方をよく分かっている」と言っているのを聞いたことがあるのですが、この映画を見ているとそれがよく分かります。影と太陽(と照明)を上手く使って、心情を表現している気がしました。
 このドラマ、英語字幕付きで見たのですが、字幕付きの良い所は流れている音楽のタイトルも表示されること。ちょっとシーンには合わないポップな音楽が流れることがこのドラマでは多いのですが、歌のタイトルや詞を見ていると、その場を表すのにぴったりだったり、逆に皮肉っているのもあって、面白かったです。また、ドラマの不思議なオープニングも私のお気に入りでした。

4.脇役も良い 
 ジュード・ロー演じるローマ教皇もかなり良いのですが、脇役も良かったです。私のお気に入りは気の弱そうな教皇の「お話相手」です。前半、登場シーンはあまり多くなく、一見すると、教皇とは合わない感じなのですが、不思議と馬があって、シーズンを通じて一番変化が見られる登場人物です。
 また、広報/営業の女優さんはちょっと意外でした。フランスの女優さんなのですが、フランス映画のイメージとかなり違うのでびっくりしました。フランスだとパンクな役のイメージを私は持っていたのですが、今回はキャリアウーマンの役。俳優として、色々な役をやるのがやはり醍醐味だから、知名度が低い場所で違うタイプの役をやるのかなと思ってしまいました。フランスで有名な俳優が、たまにハリウッドで脇役/小さな役をやっているのを見かけるのですが、大抵、フランスで演じる役とは全く違う役をやっています。

 と、長く感想を書くぐらい、気に入ったドラマも10話で終了。あっという間に終わってしまいましたが。が、この感想を書く際、色々調べてみると、続シリーズが作られたということが分かりました(2019年に撮影していたよう)。The New Popeというタイトルで、ドイツでは今年の2月から、(有料チャンネル)Sky Atlanticで放映。見るのが楽しみです。
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2019年の映画 番外編 [映画’19−20]

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(日本からのお土産でおいしかったチョコレート菓子)
 前回の記事に入れるつもりでしたが、少し長くなってしまったので、番外編は独立した記事で書いていきます。といっても、番外編は2作品のみ。

番外編その1 Mary Poppins Return (2018)
 今年はディズニーの実写版が本当に多くて、どれも見られずに終わってしまいました。過去の作品のおいて、どこまで残して、どこまでアレンジするか、というのはとても難しいところだと思います。特に、ディズニーという誰もが知っている作品だと、よりそのさじ加減が難しい気がします。あまり期待しないで見たけれど、そのさじ加減が上手いなあと思ったのが、Mary Poppins Returnsでした。タイトルからも分かる通り、前作の続編。より広い観客を見込むため、だとは思いますが、前作の要素はおまけ程度(=前作を知っている世代へのサービスも一応あって)、そして前作を知らなくても楽しめる(=前作を知らない今の子供が楽しめる)という上手いバランスでした。
 私も何度か前作を見ているはずなのですが、残念ながら話はほとんど覚えていません。何曲か印象的な歌だけが記憶に残っているだけです。それでもあの実写がアニメに入り込むシーンははっきり覚えていて、そのようなシーンがしっかりと続編でも再現されていました。映像技術が発達した現在であれば、「本物の」背景と実写を合成することも簡単にできるけれど、あくまであの「アニメタッチ」の背景と実写を合わせることをこの続編でもやっていて、上手いなあと思いました。
 ただ、最後のクライマックスで「この場で、その解決策?」というシーンがあって、かなり私の中でこの映画の評価がかなり下がってしまいました。

番外編その2 Back to the Future(1985)
 友達とふとこの映画の話になって、久々にもう一度見てみることにしました。映画を本格的に見るようになったのは、小学生高学年の自由研究がきっかけでした。映画を見て、感想文を書くという自由研究を私がやった年があって、感想文を書いた第一作か第二作がこの作品だった気がします。父に解説してもらいながら、その年の休みにたくさん映画を見ました。以来、映画が好きになって、頻繁に見たり、試写会へ応募するようになりました。
 20年ぶりぐらいにこの作品を改めて見たのですが、初めて見たときは、この映画の良さをほとんど理解していなかったなあということが今回よく分かりました。ストーリーはある程度追っていたと思いますが、色々な作品を見る中経験で身につけた「映画の見方」やアメリカの状況、英語表現は当時分かっていなかったので、なぜこの映画がヒットしたのかも把握していなかった気がします。「レーガンが大統領になって…」の有名なくだりは、当時、レーガンが誰かも知らず、ジョークということも分かっていなかった気がします。
 現在と比べると、映像技術にもちろん差はあるけれど、改めて見ると、細かい部分に演出、そして伏線がしっかりあって、良い映画だと思いました。
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2019年の映画 [映画’19−20]

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(今月買ったもので印象に残ったもの、蛍光ベストです。通勤安全のため買いました)
 今月、そして今年も残すところあと数日となりました。そこで、私の中でここ数年恒例になっている、「今年の映画ベスト」という記事を書いてみようと思います。今年は昨年以上に意識して映画を見たのですが、見たのは45作品。昨年は20弱だったので、かなり見た方ではないでしょうか。昨年は数が少なかったので、ベスト3でしたが、今年はなかなか絞りきれなかったので、ベスト5+番外編2作と7作品挙げてみようと思います。5作品の中で順位は決められず、私の中で順位の差はありません。

1.Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)(2014)
 ブログにも感想を書いたのですが、よく分からない映画でした。ストーリーを読むとそこまで面白そうには感じない(少なくとも映画を見る前、DVDの裏側に載っているあらすじを読んで面白そうとは感じませんでした)のですが、撮り方、視聴効果が独特で、見ると不思議になってしまう作品です。多分、この不思議さは劇や小説では表現出来るものではないと思うし、映画でしか出来ない表現の仕方という意味でも印象に残った作品でした。

2.BlaKkKlansman(2018)
 黒人警察官がKKKに「潜入捜査」という実話が元になっている映画です。Wikipediaによると「犯罪伝記映画」とのことですが、笑える場所もところどころにあります。1970年代を舞台にした映画のところどころに笑った後、現実に目を向けさせられ、少しゾッとさせられる作品でした。

3.On the Basis of Sex(2018)
 アメリカの最高裁判所陪審判事であるルース・ベイダー・ギンズバーグが弁護士時代に弁護した(アメリカ史上初の)男女平等裁判の話です。邦題は「ビリーブ 未来への大逆転」と無難なものになっていますが、原題の意味は裁判の焦点にもなっている「性別に基づく」という意味。男性VS女性という構造で脚本を進めていくことも出来たかもしれないけれど、敢えてそこに旦那さん、世代間の違いの要素も加え、より脚本に深みを持たせた作品だった気がします。結果的に男女平等裁判になったけれど、ここまでの持って行き方/話の進め方は、さすが最高裁判所まで登りつめる、腕のある弁護士だと思いました。

4.The Vice(2018)& The Big Short(2015)
 厳密に言うと2作品になってしまいますが、同監督ということで1つにまとめてしまいました。前者を先に見て、非常に面白いと思ったので、同監督の別の作品を見てみようと思い、後者を見ることになりました。前者はブッシュJr時代の副大統領について、後者はサブプライムローン問題がなぜ、どのように起こったのかについて。両作品とも実話、そして現存する人や会社の実名を使って、描いていますが、説明の仕方がテレビ的で上手でした。映画という感じで見ていると、少し説明口調に感じることもありましたが、(特に後者の作品は)私にとって馴染みの無い言葉も多かったので、理解が深まる場合が多かったです。どちらもほとんど10年前の事だけれど、今でも根強くアメリカに影響を及ぼしていることがよく分かります。

5.Joker(2019)
 数日前に見たばかりだからというのもあるかもしれないけれど、驚くほど良かったから印象に残っているのも事実です。バットマンでお馴染みのDCコミックが作った作品なのですが、コミック映画だと思って見ていると、良い意味で裏切られました。
 (3作目はまだ見ていないのですが)クリストファー・ノーランのバットマンシリーズで一番印象に残っているのが、ジョーカーの出てくるThe Dark Knightでした。正直、主人公のバットマンより印象に残っています。コミック映画だけれど、「選択」という結構深いテーマを扱っていた記憶があります。この時ジョーカーを演じていたヒース・レージャーの印象が強すぎて、彼を超えるジョーカーは出ないだろうと思ったのですが、Jokerに出てくる俳優さんも良い演技をしていました。
 タイトルからも分かるとおり、あくまでJokerが主人公の作品です。どのように/なぜ、彼が誕生したのかという話ですが、それまでの経過に現代社会(主にアメリカ)の問題が反映されていて、上手い問題提起になっていました。あくまでもハリウッド映画なので、正直大げさすぎる部分も多少ありましたが、私は良い意味で裏切られた映画でした。
 ちなみにこの映画、スイスのホストファミリー達と見たのですが、意見が結構分かれました。大半が良かった、と言っていたのですが、多分フランス映画を見ているせいか、「設定が少し単純すぎる」という声もありました。確かに社会問題を扱うフランス映画だと、もう少し登場人物の生い立ちに複雑さをもたらせ、より「リアル」な見せ方(現実に近い)をする気がします。
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Vice(2018) [映画’19−20]

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(ドレスデンの陶器博物館)

 この映画製作されたのは、2016年大統領選挙が2年後あったですが、話はオバマ大統領より更に前のブッシュ時代(2000年以降)。ブッシュ大統領というよりは、その副大統領(Vice-President)であるチェイニーについて。名前と顔は覚えているけれど、経歴は知らない、というのが私のチェイニーの印象。しかし、この映画を見て、「象徴的ポストなのにこんな権力があるの?」という感じの印象に変わっていきました。

 私の「アメリカの政治」の知識はどうしても、ドラマ「ザ・ホワイトハウス」が元になってしまうのですが、このドラマでも副大統領はあまり登場せず、象徴的な物になっています(もう少し役割が欲しい、と副大統領が大統領に要求するけれども、結局却下されるというシーンもありました)。ただ、ブッシュ政権は、例外的に副大統領の権力が強かった時代だったようです。副大統領が手を下すのではなく、法律の専門家を常駐させ、法律の抜け穴、自分の味方を様々なところに配置させ、コントロールをするというやり方。一見すると、副大統領の影響は分かりませんが、トップの人を見ていくと、かなり重要なポストの人間が副大統領と繋がっている、裏方の権力者だったようです。

 監督は、元テレビの脚本家というだけあって、映像が少しテレビっぽかったです。ホワイトハウスに出てくる役職や難しい専門用語を会話の中で説明させるのではなく、テレビの解説番組のように分かりやすく説明してしまう、という大胆な方法を取っていました。「これ、ルール違反じゃない?」と少し思いましたが、実際専門用語も多かったので、説明なしでは理解出来なかったかもしれません。

 また、登場する俳優さんも皆よく似ていました。DVDオーディオコメントでは、「似せるように演技しているわけでは無い」と言っていましたが、雰囲気がかなり似ていました。実在の、そしてまだ生きている人物を演じる難しさはあると思いましたが、チェイニーを始め、皆よく似ていました。一番笑ってしまったのは、ブッシュ大統領。見た目はあまり似ていなかったけれど、話し始めるとブッシュ大統領と変わらない感じで、笑ってしまいました。

 2016年大統領選挙後、皮肉にも、良いと思える政治映画かいくつか出てきています。もちろん、選挙結果を受けてのものが多いと思います。この映画の監督も、「なぜ2016年の選挙結果になったのか、どうやってここまで来たのか」を描くために、10年近くさかのぼる大統領時代を描いたと言っていました。このような意図があったためかもしれませんが、今にも通じる言動やアメリカの様子がこの映画に描かれていました。
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BlacKkKlansman(2018) [映画’19−20]

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以前見た「The Greenbook」とこの作品がアカデミー賞レースになると予想され、結局前者に作品賞が与えられ、話題になった、という話を知ったのはこの映画を見た後。比較してみると、私はこちらの方が(今にも通じる)強いメッセージがあった気がしました。ドイツでも昨年公開され、ポスターとタイトル(オリジナル同様)が印象に残っていて、見たい映画でした。結構長く上映していたので、「有名な作品なのかな?」ぐらいに思っていたのですが、見てびっくりの作品でした。

 タイトルにKKKの文字が入っている通り、1970年代に黒人警官がKKKに潜入捜査を行うというストーリー。どうやって潜入するかということは映画の中で詳しく描かれていますが、驚くのはこれが実話だということ。もちろん脚色はしていると思いますが、設定は現実の話が元になっています。更に印象に残るのは、KKK内部でのやりとりです。特に、人種に関しての話や表現が、2010年代の今でも変わっていないこと。もちろん、監督もそれを意識しての演出だと思いますが、「数十年前」の話であっても、今も変わっていないということがよく分かります。

 また、KKKメンバーを演じる俳優さん達もすごかったです。私はあまり見たことが無い俳優ばかりだったのですが、「もしかして本当にメンバー?」というぐらい、役にはまっていました。

 と、作品賞を争った2作品両方見てみると、個人的には、この作品が賞をもらった方が良かったのではないかな、と感じました。アカデミー側の事情/好みというのももちろんあると思いますが、賞レースで話題/議論になったというのは分かる気がします。
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