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スポーツの秋 [フランスでの学校生活]

11月に入ってしまい、体育の日がある10月ほど「スポーツの秋」という感じがしません。それでも、フランスではたくさんの人がスポーツを楽しんでいます。私もその1人です。高校3年の1月の大会まで水泳をやっていたので、パリでも水泳が出来たら良いなと思っていたのですが、今のところ陸上をやっています。本当は水泳をやりたかったのですが、時間割の都合上断念せざるを得ませんでした。

 土曜の朝9時から12時まで、3時間練習です。3時間とは言っても、フレンチタイムなので、練習の開始は9時30分近く、そして必ず12時前に終わります。陸上はこの時間しか無いので、陸上やりたい人全員がこの練習に参加です。名簿には100人以上の名前がありますが(実質登録者人数)、最初の練習に参加していたのが50人、週を追うごとにどんどん人数が減って今では20人ほどしか参加していません。金曜の夜は飲みに出かけて朝起きられずといったパターンや、週末の朝早くに起きられない、というパターンでどんどん脱落していくひとが多いようです。私ももちろん朝起きるのは大変ですが、「1週間机に向かっていたから、気分転換が必要」と言い聞かせて、陸上の授業に向かいます。ただ私の場合、起きるのが大変なだけで、一度ベッドを出てしまえば、走る準備は万端です。

 この陸上の授業についてくれるのは、外部からのコーチです。この授業だけでなく、40代のママさんランナーを教えたり色々やっているようです。そして水曜の夜に自分のトレーニングを兼ねて、走ってもいます。土曜以外にも走りたい人はこの練習に参加することが出来ます。ただ、土曜の陸上クラスから来るのはごくわずか。多いときで5人ぐらいです。そして、私も2週間前からこの練習に参加し始めました。1時間15〜30分ぐらい、パリ郊外を走ります。一般の道を走るので、距離は分からないのですが、感覚として10キロ以上は走っていると思います。男子グループと女子グループに分かれて走るのですが、女子グループに来る子は体力があるので、私は付いて行くのに必死です。街灯がないような場所をひたすら走ったり、道路の脇を走ったりするので、とにかく前が見えません。絶対置いてきぼりにはされたくない状況なので、良い練習になっています。とにかく走るので、土曜の練習よりきつく感じることが多いです。翌朝は筋肉痛になり、ベッドから起きるのに苦労していました。今ではその筋肉痛にもなりにくくなりましたが。

 こんな感じで、週2回の陸上練習に参加していると、キャプテン(クラブチームではないけれど、一応キャプテンが居ます。書類を集めたり、ラグビーのパブリックビューイングを計画したり色々やってくれる人です)が、11月6日の大会に誘ってくれました。登録料5ユーロで走ることができるようです。何の大会かよく分からないのですが、大会登録完了のメールが先ほど来たので、大会に出ることは確実なようです(フランスでは、よく分からないまま物事が進むということがよくあります)。色々聞いた話をつなぎ合わせて情報を整理してみると、走る距離は6キロぐらい(この「ぐらい」というのもよく分からないのですが)、パリ政治学院所属で走る(インカレほどの規模ではないけれど、大学・学校対抗ということ)ということです。

 どんな大会か、楽しみです。

今学期の授業 その7 (Climate Change: A Political Introduction)   [フランスでの学校生活]

 「今学期の授業」紹介は、これが最終回。と言っても、時が経つのは速く、後1ヶ月で秋学期は終わってしまいます。ほとんどの授業が折り返し地点に来ていて、パリに来て本当にあっという間、という感じです。

 今回紹介する授業はベルギー人の教授が教える環境問題についての授業。環境問題がどのように引き起こされるのか、という科学的観点ではなく、その環境問題が各国の政治や外交にどう影響していくかということを主に扱っています。小さなクラスですが、教授の講義が中心。しかし、ある意味、私にとってはこの講義を聞くのが大変!英語で授業を行うのですが、教授の英語、かなりフランス語訛りが強く、時々何を言っているのか聞き取りづらいからです。周りの言葉やコンテクストから意味を推測して理解しているのですが、相当強い訛りです。最初の頃に比べると少し慣れましたが。初回の授業では一瞬、「彼は英語を話しているよね?!」と思ってしまったぐらいです。

 フランス人の教授ではないせいか、評価方法も少し異なります。エッセーと「模擬環境国際会議」で評価されます。この「模擬環境国際会議」は11月最後の授業を2時間から4時間に延ばして行う模擬会議です。1グループで3〜4人で構成し、各グループ1ヶ国を担当し、その国の代表となり、自国の主張をする、というものです。詳しいことはまだ発表されていないので、よく分からないのですが、教授が議長となって、参加国内で議論を重ねて最終的にある程度の合意にこぎ着ける、というのが目標だと思います。もちろん、国際会議に参加する国全てをまかなうことは出来ないので、教授が事前に10ヶ国ほど選び、そこから更に自分たちの好きなように選ぶ、という仕組みです。

 残念ながら、日本は入っていませんでしたが。私はコンゴのグループ。日本やフランスとは全く正反対の主張をするであろう国を選んだので、なかなか面白そうです。面白いことに、アメリカと中国はどこのグループも選ばず、環境汚染大国2ヶ国を除いた会議、ということになりました。多分、この2ヶ国の主張を守るのが難しいと判断した人が多かったからではないでしょうか。専門家により数字に差はあるものの、環境問題が存在していることは否定できないので、環境汚染に大きく関わっている国の主張を守るのは、かなり難しいと思います。

 来週からは約1週間の休みに入ります。長い休み(クリスマスなど)には学校の図書館も閉まってしまうのですが、この休み中は土日を除いて空いているようです。この会議に向けて、コツコツ準備をしていきたいです。

 そして、次回はこの1週間の休みについて書きたいと思います。

今学期の授業 その6 (Français)   [フランスでの学校生活]

 今学期は、語学の授業も取っています。フランス語レベル4という一番上のレベルを取っています。イギリス、ブラジル、サウジアラビア、モロッコ、アメリカ、ベトナム、イタリア、ドイツ、カナダからの留学生と一緒に勉強しています。一番人数が多いのはブラジルです。よくしゃべるので、やたらに存在感があります。ブラジルの勢いを感じます。イギリスから来た2人、いかにも「紳士」という感じです(ここまで、自分の典型的な「イギリスの紳士」というイメージに当てはまると思わなかった)。それぞれのフランス語に訛りがあるので、最初は少し聞き取りづらかったのですが、今では慣れてきました(相手も私に対して同じようなことを感じていると思いますが)。

 授業は語彙の練習問題をやって、学生2人のプレゼンテーション、というのが通常の流れです。プレゼンテーションは新聞記事の要約紹介です。ある出来事をどのようにフランスの新聞で、また自国の新聞で伝えているかまとめてプレゼンテーションし、その後、発表者がディベートの質問を発表し、全員で討論、という流れです。国によって、かなり違いがあるので、他国の記事紹介は特に面白いです。今のところカバーしたテーマは、ロンドンの若者暴動、アメリカ、ブラジル各国での麻薬戦争など。最近のテーマでは、イタリア首相の不倫騒動が取り上げられたのですが、イタリア国内がかなり混乱している、ということがよく分かりました。首相を変えるべきだけれど、他に誰がいる、という状況のようです(どこかの国と一緒?)。

 そして、先日はいよいよ自分の番。カナダの友達と「フランス核廃棄物施設事故」の記事を選びました。もちろん(というか、想定して)話題は自然と、原子力を使い続けるべきか、という方向に向かいます。ヨーロッパのほとんどの国は、原子力発電所建設、または建設予定は中止、という結果でした。そして、原油産出国、サウジアラビア出身の子にとって、正直身近な話題ではないらしく、あまりはっきりした答えは返ってきませんでした。石油がある今、次のエネルギーをまだ考える必要はないのかな、と思いました。

 最初は各国が原子力に対してどんな反応をしたか、という話題だったのですが、「必要か否か」の話題になると、自然に「Fukushima」の言葉が出てきます。「なんで、そんな地震があるような場所に原子力発電所を建てたのか」(もっともな質問だと思う)、「国際社会で、日本の原子力発電所建設を禁止するべきではないか」など色々、日本に非難が結構集中します。頭ではこういう流れになることは分かっていたけれど、少し自分自身が責められているような感じで、ちょっとキツいディベートでした。

 この授業の後、地震が多い日本でなぜ原子力発電所を建てたのか、という理由を自分なりに考えてみました。インターネットで調べてみると、オイルショック以降、不安定な石油に頼ってばかりはいられない、という流れで、原子力発電に頼るようになってそうです。原子力発電設備はフランス、韓国に次いで、日本は3位とかなり依存度は高いです。3月の地震以降、原子力発電に関する議論は様々なところでされているので、ここではあえてその議論は展開しません。

 しかし、個人的に考えてみると、日本人特有の「私は大丈夫」気質が理由の一つかな、と思っています。日本人は観光へ行くと、強盗やひったくりに遭う確率が高いそうです。多いから、旅行会社やガイドブックは大々的に注意を換気していますが、あまり上手くいっていないようです。日本は犯罪が少ないから、と色々な理由があると思います。でも、「私なら大丈夫」という考え方をする人が多いのも、理由の一つだと私は思います。これは私の個人的な推論ですが、「私は旅行慣れしているから、大丈夫」とか「私はツアーで行くから大丈夫」というセリフを日本語でよく聞くような気がするからです。つまり、日本語以外の言葉でこのセリフを聞いたことがないのです。自分の(数少ない)友達の割合からすると、日本語以外の言葉を話す人の方が旅行する数が多いです。(地理的理由と、休暇が日本と比べて多いため)。しかし、「旅慣れている」という言葉は彼らから一度も聞いた事がありません。この考えを応用してみると、「地震が多いけど、まあ私たちの関係する原子力発電所は大丈夫だろう」という考えが少なからずあったのかな、と思いました。

 単なる語学の授業と思えないほど色々考えさせられる、フランス語の授業でした。

今学期の授業 その5 (Athlétisme)   [フランスでの学校生活]

 今回紹介するのは、陸上。別に必須ではないのですが、気分転換用に取りました。土曜の朝9時に競技場集合、とちょっと早いですが、取って良かったなあと思っています。月曜から金曜の間で、授業が8時からあるときは、朝7時20分ごろ太陽が昇る前に学校へ向かい、図書館で予習などをして7時30分、太陽が沈み始めて、帰宅という一日です(ホストマザーが夕食を食べる時間がこの時間帯なので、それに合わせて帰るようにしています)。太陽を見ずに、一日が終わってしまった、ということが頻繁にあります。それを避けるためにも、何かスポーツを取ろう、とずっと思っていました。本当は水泳が良かったのですが、時間割と合わず断念。では、と取ったのが陸上。陸上に関しては時間の選択は出来ず、土曜の朝のみ。9時から12時まで3時間のプログラムです。パリの外れにある小さな競技場で練習があります。ちなみにこの地域、色々なスポーツ施設が至るところにあります。全仏オープンをやるローラン・ガロテニス場や10月上旬にある競馬の凱旋門賞などが行われる競馬場なども近くにあります。

 初心者から上級者(クラブに所属して定期的に走っている人)まで幅広いレベルの人が参加しています。自分のレベルで練習は進めて良い、ということになっていますが、練習はかなり厳しいです。4キロのアップから始まり、もも上げダッシュやウサギ跳びなど、今は太ももを鍛える「体作り」をやって、メイン練習。メインはたいてい、4×{6×(20秒ゆっくり、20秒ダッシュ)}です。メインはもちろん大変ですが、一番きついのはウサギ跳び。日曜、月曜は筋肉痛で太ももが痛くて、ベッドから降りるのに一苦労です。

 メイン練習をやった後に筋トレをやって、3時間の練習は終了。練習は本気でやっている人もいますが、気楽にやっている人も居たり、本当に人それぞれ。例えば、前回は、ラジオを聴きながら走っている人が居ました。ニュージーランドで開催されているラグビーのワールドカップの試合進行が気になって仕方なかったようです。 この日はちょうどフランス時間午前10時30分から、ニュージーランド対フランスの試合が始まり、ラジオ解説に一喜一憂しながら走っていました(結果的に試合は負けたのですが)。

 またある人は、朝家が近いこともあって、ギリギリまで寝て、そのまま競技場へ来ています。そしてアップの道中、パン屋に寄って、パン食べながら片手間にアップをしています。こういったことはフランスで、「普通」らしく、先生(コーチ)は何も言いません。とにかく自由な雰囲気です。

 今のところ、毎週土曜日だけは快晴なので、走るのは気持ちいいです。冬が近づいてくると、寒い中走るのに苦労しそうですが。

ただいま、土曜午前8時14分。しばらくしたら、この陸上の授業に向かいます。まだラグビーのワールドカップは開催中、フランスも残っています。今日は準決勝でウェールズが相手。フランスは優勝を目指しているようなので、フランス人は気合いが入っています。予選では色々調子が上がらなかったようですが、決勝トーナメントになってからは、調子が良いようです(ちなみに、予選グループは日本と一緒。もちろん、フランスの方が圧倒的に強いのですが、対日本戦は「日本の方が良くプレーしていた」と言っていました。日本でも「結果的には負けたにせよ、良い試合だった」と放送されていたみたいです)。今日はラジオ持参で授業に来る人も居そうです。またはテレビの前から動けず、授業参加者が少ないのでしょうか。
(2011/10/15)

今学期の授業 その4 (Hard Power, Soft Power et Smart Power) [フランスでの学校生活]

 少し間隔が開いてしまいましたが、授業紹介を再開します。以前紹介したMigration の授業と同じくらい好きな授業があります。Hard Power, Soft Power et Smart Powerという授業です。フランス語で行われる授業にしては珍しく、大半が留学生です。17人中4人だけフランス人、という感じです。それでも先生は容赦なく早口で授業を進めていきます。最初の授業でも「留学生が多いのは分かっているけど、自分は早口だから。やっぱり情熱があると、早口になりやすいよね」と言っていました。最初は理解するのも結構大変でしたが、最近はようやく慣れてきました。フランス語を早口で話すこと以外に関しては、フランスの「不思議」も授業中に説明してくれるので、かなりためになります。

 授業はというと、世界の「力」について。経済力は軍事力に取って代わるかなどなど。授業内で最も頻繁に出てくるのは、やはりアメリカと中国。そしてアメリカがあまり好きではないフランスらしく、授業中ほとんどの批判がアメリカに集中しています(1名アメリカからの留学生も居るのですが)。授業のサブタイトルを「アメリカを批判する」とつけることが出来そうなほどです。しかし、単に感情的に批判しているわけではないので、毎回その批判には納得させられます。

 ちなみに、日本のこともかなり話題になります。しかし(現実だけれど、悲しいことに)、通常は「かつての」勢力という感じの紹介のみです。

 授業は他の授業同様、exposéを2人グループでやって、その後、(他のクラスと比べると)長い教授からの批判・質問を受け、学生からの質問を受ける、という感じで進められていきます。そして最後の15分で、教授がまとめ、となります。発表や質問が長引くと、結論の時間が短くなると、比例して教授の話すスピードも速くなりますが。私は11月中旬にトルコ人の留学生と一緒にexposéをやることになっています。テーマは「インドの現実政策とソフトパワー」。インドについては知らないことが多いので、楽しみです。

 ちなみにこの教授、常に批判的ですが、アップルコンピュータとドラマ「ホワイトハウス」には好印象です。アップルコンピュータについては、他の人にも当てはまるような気がします。(スティーブ・ジョブズが亡くなった時に、教授が解説をしてくれたのですが)アップルは印象的なコカ・コーラやマクドナルドと異なり、リンゴというシンプルなデザイン。あまりにも目立つデザインだと「アメリカのシンボル」と捉えられ、逆に批判を受けやすい。商品は目立たせた方が売れる、と考えがちだけれど、今ではどこの国で生産、作られたのか分からない「グローバル」な製品の方が、受けが良いということでした。個人的にはアップルのマークを見ると、ビートルズのCDパッケージを思い出して、「イギリス?」なんて考えてしまうのですが。

今学期の授業 その3(Migration and International Relations)   [フランスでの学校生活]

 今回紹介するのは、Migration and International Relationsという授業。英語で行われる授業だけれど、面白そうなので登録してみました。今のところ、一番のお気に入りの授業です。

 大講義より人数は少なく、小クラスよりは学生数が多いという少し中途半端なクラスです。そのため、授業以外の「補習」があります。少人数で行う事ができない授業(大講義など)は、tutoratと呼ばれる「補習」みたいなものを用意してくれます。

 Tutoratとは、週に1コマ(2時間)用意されていて、自分の好きな時に行き、授業で分からなかったこと、exposéの構成方法など、個人的な相談ができます。たいてい、博士課程の学生などが担当してくれます(日本でいう、TAのようなものだと思います)。前々回 紹介した授業でも、exposéをやることが決まり、慌ててこのtutoratを予約しました。「テーマからexposéの内容がずれている!」と結構はっきり言われ、また考え直し、と結構大変だったけれど、ためになるtutoratでした。

 今回紹介する授業も、少人数のクラスではないので、tutoratは存在します。しかし、他の科目と比べると、少し重要度が変わります。授業は考え方など一般的なことをカバーし、このtutoratでケーススタディー(事例研究)など具体的なことを勉強していきます。必修ではないけれど、このtutoratに出ていた方が、より理解度が深まるというわけです。

 そして、先週、講義とこのtutoratが始まりました。講義を担当してくれるのは教授、というより研究者なので、かなり淡々と授業は進みます。授業内容は科目名からも分かるように、移民について。

 頻繁に数字を目にするので、苦手な数学を思い出して、「やはり、最初は人数を知るためにも、数学は必要なのか」と再認識しました。特に、非合法の移民などは想像も少ししづらいので、色々な平均をとって、推定の数をはじき出しています。

 このtutorat、少し 高校の時の講習みたいだなあと感じました。放課後や休暇中の講習、参加が必修ではなかったのですが(もちろん、私は参加しませんでした)、科目の中には、授業と同じように進行する科目もあり(苦手克服、参加自由という名の元)、ほとんど参加必須になっていたからです。

 しかし、tutoratは講習のように、ただ先生の話を聞く、というやり方ではありません。ほとんど学生が話す(チューターが質問をしてそれに答える)やり方なので、あっという間の2時間です。

 この授業、最初の数週間は、教授の講義なので、とにかくノートを取るのみです。しかし、後2〜3週間で学生のプレゼンテーションが始まります。人数が多いので、プレゼンをやる学生、記事分析(テーマに関する新聞記事の分析)や本の批評をやる学生に分かれることになりました。

 私はプレゼンテーションを選び、「頭脳流出、ディアスポラ」というテーマです。ディアスポラとは、外国で暮らす同じ国民、民族集団(海外にあるチャイナタウンがよい例)のことです。もう少しテーマを絞らなくてはなりませんが、面白そうなテーマなので、プレゼンテーションをやるのが楽しみです。

今学期の授業 その2(Le discours politique à l’épreuve du théâtre)   [フランスでの学校生活]

 今回紹介する授業は、Le discours politique à l’épreuve du théâtreという授業。実をいうと、予定外に取ってしまった授業です。

 シアンスポでは、経済、法律、哲学、国際関係学、語学など、科目が一応「群」に分かれています。これとは別に、atelierという科目群があります。これは、映画、芸術などについて学ぶ科目群です。教養科目、とでも言うのでしょうか。

 別に必須ではありませんが、面白そうなので、私も取ってみることにしました。他の時間割と合わせ、かつ自分の興味のありそうな科目を探してみました。そして見つけたのが、この科目。日本語に訳すと、「芝居における政治的演説」という科目。

 演説、というと私はスピーチを想像します。スピーチは中学1年のときに、英語弁論大会に出場して以来、興味があります。中学1年から高校最初の1年目の学校生活は水泳と、スピーチコンテストに捧げていたほどです。今でも興味があるので、フランスの「スピーチ」はどんなものか、と登録してみました。

 「思っていたのと違っていた」というのは、新しい土地ではよくあること。この科目もそうでした。スピーチの練習というよりは、フランス語で書かれた有名な芝居の1シーンをクラス全員で演じる、というクラスでした。もちろん、科目名に「演説」が入っているので、演説があるシーンばかりです(したがって、一人一人の台詞がかなり長い)。

 そして、先生も学生も日本と比べると、かなり本格的です。先生は実際に劇団(アマチュア)で演劇をやっているようです。また、授業の最初に先生が「頻繁に芝居を見に行く人?」と聞くと、2〜3人の学生が手を挙げていました。

 日本で生活をしていると「芝居(劇)を見に行く」ことは何か特別なことのように感じます(小、中、高、大学と「芸術鑑賞会」の日にしか、芝居を見たことがないです) 。劇団四季、宝塚など高そうなイメージもあります。

 しかし、フランスでは、「芸術はみんなのもの」という考え方があり、かなり簡単に芸術を楽しむことができます。例えば、映画は大人8ユーロ(これでもパリの人は「高い」と言っています)、学生割引を使うと5ユーロです。ルーブル美術館などは、18歳以下、国籍に関わらず無料、ユーロ圏在住だと26歳以下まで無料です。こんな国だからこそ、簡単に芝居を見に行くことができるのかもしれません。

 授業で使われるのは、有名な古典ばかり。温故知新、ということでしょうか。古典の演説を自分で演じてみて、実際自分が公共の場で発言するときに応用する、という目的だと思います。オイディプス王の続編(のような)「アンティゴン」、コルネーユの「ル・シッド」などなど。高校のフランス語の授業では、戯曲を読むので、あえてこれらが選ばれたのかもしれませんが。

 高校生の時に交換留学をした際は、フランス語の授業でオイディプス王に関する戯曲「地獄の機械」(ジャン・コクトー作)を読み、教科書には、「ル・シッド」が載っていたました(どんな話だったかは全く覚えていませんが)。フランス人学生には少しなじみのある芝居でかつ、長い演説シーンがある作品が選ばれているような気がします。

 演説シーンなので、喋るのはほんの数人。その数人も、その当日の流れで決まります。メインキャストにならなかったその他の学生には「市民」や「群衆」という役割が与えられています。ただ立って演説を聴いているだけでなく、ヤジを入れたり、賞賛をしたり、色々アドリブが求められます。私は芝居をやったことがないので、授業のほとんどは「アドリブは何をしたら良いのだろう?」と考えています。逆に、日常的に芸術に触れているフランス人は、みんなうまい!

 全員で演じて、終了ではありません。2週間後に、同じシーンを「再演」するのです。メインキャストはそれまでにセリフを覚え、身振り手振りをつける必要が生じます。今週は「アンティゴン」を「再演」したのですが、来週はゲオルク・ビューヒナーの「ダントンの死」です。

 これは私も初めて聞いた作品ですが、内容はフランス革命。ロベスピエールなど革命に欠かせない人物が出てきます。そして、私はサン・ジュストをやることになりました。演説しかないのではないか、というぐらいのシーンです。私の役もA4一枚のセリフが延々と続きます。それに演技をつけなくてはならないので、暗記と同時に色々考えているところです。果たして、うまく演じることができるでしょうか?

今学期の授業 その1(espace mondial)   [フランスでの学校生活]

 先週から、いよいよ授業が本格的に始まりました。慣れないフランス語での授業、プラス課題の多さで、ブログ更新もしばらく止まっていました。今回は自分が今学期取っている授業について、書いていきたいと思います。

 まず、espace mondialという授業。教授自身も「フランス語以外では表現出来ない科目名」と言うほどで、日本語でなんと言うのか色々考えていますが、適切な訳が思いつきません。単語一つずつ訳してみると、espaceが「スペース」とか「空間」という意味、mondialが「世界規模の」という意味になります。

 この授業では、世界で主な働きをする当事者は誰か(政府か、市民か、NGOなどの団体か)、何が世界を動かしているか、それはどんな考え方から来ているかなど、国際関係学の基礎に関する事柄を毎講義で説明してくれます。

 講義なので、一番大きな教室を使って行われます。数えた事はないけれど、700人近い学生が登録しているものと思われます。だから、教授が一方的に話して、学生はノートをとるのみ。教授も話すのが速いので、2時間真剣勝負、という感じでノートを取ります。

 この2時間で、理解が深まるわけではないので、平行して、conférenceという小さなクラスも週1であります(つまり、espace mondialという科目は大講義、小クラスと週2回授業があることになります)。これは大講義に登録している学生を小さなグループに分け(1クラス20人ほど)、新たに授業を行います。

 この小グループでは、学生の行うexposéがメイン。以前、書いたméthode Sciences Poのやり方に従って、進めていきます(しっかりこの型にはめる事が大切)。10分のexposéの後、学生または教授が色々質問(正確には発表者の論点の弱さを突く)をしてきて、それに答える、ということを毎週繰り返していきます。

 毎週異なる学生が発表をするのですが、その発表順は第1週目の授業で決めます。この回は特に大事。これも授業によって異なります。ペアで1グループのみ発表というところもあれば、異なるテーマで2人というところもあります。自分の予定表と照らし合わせ、他の科目のexposéや試験、レポートとかぶらないように上手く決めていきます。

 一番人気なのは折り返し地点の第5〜7週目。学生同士色々駆け引きをして、決めていきます。このespace mondialの授業、ラッキーかアンラッキーか、私はトップバッター。最後の最後まで自分のやりたいのが出来ずに期末試験の直前になっても困るなあと、あまり人気のない第1週目。

 一応welcome programでexposéの練習はしたけれど、実際フランス人学生がやっているところは見た事がありません。習った事を最大限に生かしつつ、1週間準備しました。

 テーマは「La fin des territoire? (領土の終焉?)」大講義の教授が書いた本の中から自分のテーマと合うものを選び、読んでみたり、地図を探したり(この手の科目は、世界地図が欠かせない!)色々やってみました。

 ただ、教授の本はかなり難しくて、読み進めるのに時間がかかりました。どこかで聞いた話ですが、教授や知識人が「あえて」難しい本を書くのは、その話が分かる人のみにしか情報を与えないため、という考え方があるそうです。これが知識人の特権だ、という訳です。この難しい本を読みながら、「これを完全に理解できるのが『知識人の特権』か」と妙に納得してしまいました。

 またconférenceの教授が授業の最初に、「自分はあなたたちを助けるために居る。だから有効活用してほしい」とクラス内に向かって言ってくれたので(どの教授にも共通していることですが)、exposéの構想を見てもらったり、出来る限りのことはしました。

 そしてあっという間に本番。定番のexposéより長い15分が制限時間。あまりにも緊張して(毎晩夢に出てくるほど)、自分でも何を話したか今ではよく覚えていません。覚悟していた通り、教授からは色々な質問が出ました。「〜の例は良かったけれど、ちょっと短い。他の要素は考えなかったのか?」、「この要素に偏り過ぎていないか」などなど。批判に慣れるのが、今後のテーマかもしれません。

 蛇足ながら重要事項として、exposéの型にしっかり当てはめて構想を練ること! 自分では型に合わせたつもりでも、少しバランスが悪かったりするので。

 自分のexposéは終了しましたが、来週からは別の学生のexposéを聞いて、「質問をする」というのが課題になります。単なる質問ではなく、批判的な質問をしなくてはなりません。「批判的」というと、日本語では否定的なイメージですが、相手のexposé全てを否定するわけではありません。どこの部分が良くて、どこの部分が悪かった(改善させることが出来るか)という風に述べるのが大切です。

 そしてもう一つ忘れてはいけない課題が、carte。地図のことです。簡単に言うと、地図を作って、その地図の説明と分析をする課題(exposéほど長いものではありませんが、クラスの前で発表もあります)。exposéとは異なる週にやります。私が担当する地図のテーマは「国際犯罪」について。麻薬などはもちろん人身売買など、色々あるので、それらを世界地図で表さなくてはなりません。

 色々な情報を詰め込みすぎるとゴチャゴチャになるし、かと言って少ないと「情報量が少ない」という指摘を受けます。バランスが大切です。私にはあまりなじみのない作業なのですが、ヨーロッパなどでは中・高校でよくやるようです(この課題をやったことがない、と言ったらフランス人だけでなく、他のヨーロッパ諸国から来た友達に驚かれたので)。情報を集めて、それを地図上に書いていきます。色分けなので、塗り絵のような作業になります。まだ途中ですが、私が描いてるcarteです。
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 学期はまだ始まったばかり。まだまだ他の科目でexposéやその他の課題がが待っています。 

Méthode Sciences-Poとは?   [フランスでの学校生活]

 新学期は9月5日からですが、留学生向けのwelcome programが新学期開始前に行われました。目的は、パリ政治学院(シアンスポ)のやり方、méthode Sciences-Poに慣れること。毎日、このやり方に慣れるための実践授業が1コマありました。

 この学校では、英語で行われる授業とフランス語で行われる授業があります。どんな風に組み合わせるかは留学生(または留学生の出身大学)の自由です。全て英語の授業(このケースがほとんどだと思う)を選択し、単位を取ることも可能です。

 私は色々迷った末、フランス語と英語の授業両方選びました。どの言語を選ぶにせよ、授業の進め方は、Méthode Sciences-Po(シアンスポ・メソッド)というやり方です。「シアンスポ」という名前がついていますが、フランスのいくつかの大学で使われているやり方のようです。

 簡単に言うと、「一定のやり方に沿って、自分の考えを発信させる」のが目的。「自分の考えを発信させる」なら、プレゼンテーションやエッセーなど、他国でも広く行われていて、大して珍しいことではない、という人もいるかもしれません。

 しかし「一定のやり方に沿って」というのがポイント。しっかり型が決められていて(前回の記事にも書きましたが、フランス人は「型」をきめて、それに合わせるのを「美」とするので)、その型の中で自分の意見などを発表することが求められます。ほとんどの授業で求められるのがdissertation(エッセーのようなもの)とexposé(プレゼンテーションのようなもの)です。

 両者に共通しているのは、sujet(テーマ)が与えられて、そのテーマからproblématique(日本語にどうやって訳したらよいのか分からないけれど、辞書には「問題提起」となっていた)と呼ばれる、自分なりのテーマ(問題)を決めて、そのテーマに沿って、意見を展開していくというのが流れです。sujetをしっかり理解するのが第一歩ですが、必ずしもこのsujetだけに答えるのが目的ではありません。あくまでも、そこから発展させてproblématiqueを考えるのが必要です。

 Exposéは10分と決められています。込み入った学術的な話題を10分でしろ、というのは実際難しいことです。しかし、難しいことをコンパクトにまとめることが出来れば、逆に20分、30分とより長い時間のexposéを求められたときは、簡単に出来るだろう、という考えなわけです。そして、通常2部構成。

 例えば、「イラク戦争は、当を得ていたか?」というのがsujetだとします。これが英語圏などの大学で、プレゼンテーションのテーマとして与えられたら、テーマの質問に答えることを求められると思います。「いいえ、○○という点に当を得ていなかったので〜。また〜」という風に続くと思います。

 しかし、シアンスポ・メソッドでは、テーマの質問に答えるだけでは満足されません。学生各自が、そのテーマに隠れている意図(要するに、教授が学生に何を考えてほしいのか)を考えることが求められます。先ほどのイラク戦争の例で見ると、誰が当を得ていたのか? または「〜いた」と過去形で問われているが、開戦当時、当を得ていたのは一体誰か、などを考えていきます。

 私が参加したクラスでは実際このテーマを使って、exposéの練習をしました。個人的にはこのproblématiqueを考えるのが、一番難しいと思います。どんなに良い意見があっても、problématiqueがテーマから離れていると、意味をなさないからです。

 そして、problématiqueとして私のグループは、「どのようにアメリカの参戦を正当化できるか?」と設定しました。exposéではこのproblématiqueを使って、意見を発展させていきます。各自(各グループ)でこのproblématiqueは異なります。

 したがって、exposéの後は、学生または教授からの(厳しい)コメントが出てきます。「良いproblématiqueだけれど、テーマから少し離れていないか?」、「この部分がカバーされていないけれど、このテーマではカバーすべきテーマではないか?」または逆に、「余計な部分があったが、本当にテーマが必要か?」など。

 更に「10分より短すぎ(長過ぎ)」、「第1部と第2部の長さのバランスがとれていなかった」など。それに対して、発表する側も、黙ってコメントを聞いているだけでなく「このproblématiqueは〜という意図で」と説明していきます。最初は、少し言い訳っぽいと思ったのですが、自分の主張を守るには、相手の意見を聞いて、説明することが大切です。「完璧な」problématiqueはないので、議論は延々と続きます。これを毎授業、交代で学生がやる、というわけです。

 そしてdissertationは、期末試験によく使われるやり方で、4時間のエッセーです。 exposéと唯一の違いは、口頭発表ではなく、筆記というわけです。後のやり方は同じです。sujetが与えられ、自分でproblématiqueを考え、2部または3部構成で考え......と続きます。

 そして最後にもう一つ!簡単なsujetを教授は選ばないので、結論はいつもはっきりしません。もちろん、最終的にはどちらの方が良いか、少しは表現します。しかし、通常、Oui, mais.....(はい、しかし....)または Non, mais.....(いいえ、しかし....)となります。世の中のほとんどのことは白黒はっきり出来ず、グレーゾーンが多い、ということです。

 以上の説明と実践練習を、他の留学生はこなしてきました(dissertationはさすがにやりませんでしたが)。私のクラスには、アイルランド、アメリカ、オーストラリア、カナダ、オーストリアからの留学生、計13人が居ました。このグループメンバーと授業を受けるだけでなく、図書館オリエンテーションやキャンパス周辺散策などをしたので、かなり仲良くなりました。

 写真は、クラスの女子とグループリーダー(シアンスポの学生で、色々私たちの世話をしてくれました)。
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いよいよ、月曜から本格的な授業です。このプログラムで学んだことを、実際に使うことになるので、半分ワクワク、半分緊張しています。
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