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フランスの大統領選挙2017 トリビア1 [政治]

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(2017年、エリゼ宮=フランス大統領官邸の新しい住人は誰になるのでしょうか)

1ヶ月近く遅れながら、ベトナムでのことについて書いてきましたが、小休止。来週の日曜日に迫っている、フランスの大統領決選投票について書いていきたいと思います。

 偶然にも前々回(2007年)、前回(2012年)の選挙の際はフランスに居たので、現地で選挙の行方を追っていました。投票権はもちろん無いので、「状況を追う」だけでしたが、なかなか面白い経験でした。今年は現地に居ませんが、日本から選挙を追っていました。年の始めに予想していた、あの人やこの人が立候補者リストに載っておらず、さすが先の読めない選挙だなあと思いました。

 EUの将来を左右する選挙だけあって、日本の新聞や雑誌が選挙を取り上げているので、各候補については書いていきません。今回は、あんまり日本のメディアで取り上げられていない「メディアにおける候補者の報道」について書いていきたいと思います。簡単に言うと、各メディアの報道方針/思想にかかわらず、候補者については平等に報道しなくてはいけない、という法律です。

 この法律、当てはまるのはテレビ、ラジオ、インターネットです。今年は2月1日から公式な大統領選挙運動が開始しています。3月18日に正式な候補者リストが発表となるので、2月1日から3月17日までは、候補になることを宣言/要件を満たして宣言した人達の報道は、(特に報道時間は)平等ではなくてはなりません。Aという候補に関して30分報道したら、BやCという候補に関しても30分という具合です。

 候補者リストが出て、テレビが討論会を開催するときも同様。第一回投票には、10人出馬したので、10人それぞれ平等に話す時間が与えられます。だから討論会を見ていると、各候補の下にはストップウォッチ/タイマーが設けられていて、その時間を見ながら、司会者が発言権を振り分けています。ただ、他国の同様、白熱した討論会になるので、誰もが同時に発言しているような状態にすぐなってしまうのですが。

 ただ、報道時間は平等と言っても、法律違反にならないギリギリの方法で放送するテレビ局もあります。私が好きなQuotidienという番組(風刺の強いニュース番組)は、候補者や党の名前を出さずに、上手に風刺をしたりしています。そのため、実際には必ずしも各候補者同じ報道時間にはなっていません。が、(特に泡沫候補に対して)「報道時間の平等のため・・・」と言って、泡沫候補のキャンペーンの様子なども一応報道しています。

 ただ、この報道時間には一応例外があって、それは大統領が出馬している場合。大統領としての任務もあるので、公務に関する報道はこの法律に当てはまりません。そのため、大統領が出馬している場合は、公務を行うことで、ある種のアピール、つまり選挙運動が出来てしまうわけです。2012年に出馬していた元サルコジ大統領、選挙期間中に銃殺事件があったのですが、その時の対応がなかなかだったので、その直後に発表された支持率で若干数字を上げていました。

 日本ではあまり見かけませんが、候補者のCMというのも作られ、番組と番組の間で流れます。2分弱のもので、政策やスローガンなどがかかげられます。ただ、毎回の選挙で10人近い候補が居るので、2×10分の、長い20分CMになります。夜のニュース前後ぐらいに毎日これが流れるので、結構うんざりしてきます。そのため、テレビを消す人も多いと思います。こういった中でも平等性を期すため、流す順番も毎日抽選で変えていきます。そのため、選挙期間中にある程度全員のCMを見ることになります。

 この法律、興味深いと思います。私が読んでいる新聞では「フランスは、このような法律を持つ唯一の国」と書いていましたが、さすが国のモットーの一つが「自由」だな、と思いました。アメリカの大統領選挙にも、もしこのようなルールがあったら、どのように選挙結果に影響していたのか、とちょっと考えてしまいました。
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