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Xの悲劇(by エラリー・クイーン:1932) [読書’15]

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 松本清張の「黒い手帖」にエラリー・クイーンという読んだことのない作家の名前が登場していました。松本清張が、まずまず評価していたので、読んでみることにしました。たくさん作品があるので迷ってしまいましたが、「容疑者Xの献身」にタイトルが似ているから、と単純な理由で、この「Xの悲劇」と決めました。

 本当は原書で読んでみたかったです。そこで、最初は英語版の購入申し込みを試みました。が、結果的に難しいということが今回調べて分かりました。私が利用する図書館は、本の購入申し込みが出来るので、英語版を申し込んでみようとしました。図書館が購入するので、その申し込みが受理されないことももちろんありますが、外国語の本も結構購入してくれています。そして、今回も同様に申し込んでみることにしました。新規購入申し込みの際、出版社や出版年、値段(定価)など詳細情報を申込用紙に記入していかなくてはなりません。私はいつも、こういった詳細情報を大手ネット通販サイトで見ています。 しかし、このサイトで「Xの悲劇」(英語)の値段が表示されません。絶版になっているため、オークションでしか手に入れることが出来ないようで、その値段はなんと7000円。そして色々調べてみると、日本でも古本屋でしか手に入れることが出来ないようです!神田にある外国語の古本屋は「エラリー・クイーンの本多数取り置き」という宣伝文句を掲げていました。

 結局原書を取り寄せることは出来ず、日本語で読みました。主人公の名探偵が、元シェイクスピア劇の舞台俳優という役設定だったので、彼のしゃべり方は芝居の台詞のようでした。実際有名なシェイクスピア劇からの引用も多く、原書で読むと日本語では分からない英語のリズム感があるのだと思います。

 本格的な「推理小説」(トリックが重要視)と聞いていたので、私も読みながら推理してみました。しかし、色々な殺人事件が起こるのですが、どれもお手上げでした。解決編部分を読むと、はっきりとそのヒントとなる文章も思い出せるのですが、解決編前では全く分かりませんでした。

 主人公は探偵ではなく、本職は舞台俳優。捜査に関しては素人とも言える人に、警察が推理を聞きに行くというのは不思議でした。物理学者(大学の准教授)に警察がトリックのアドバイスを求める、というストーリーは何となく理解出来るのですが、俳優にアドバイスを求めるのか、と読んでいて最初は思ってしまいました。しかし、例えば医者を演じている時、「この人は医者にしか見えない」と観客に思わせるためには、医者という人間の観察が欠かせません。その職業/人柄の特徴をしっかりつかんで、自分の体で表現するということが出来なければ、その人にもなりきれないと思います。人間観察というツールを使って、捜査ができる俳優と考えれば、この俳優=名探偵ということも納得出来ました。
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tommy88

『Xの悲劇』か『Wの悲劇』か忘れたけれど、薬師丸ひろ子が主演で映画がありました。劇中劇ありという手法でした。

エラリー・クイーンを知らない人が居る時代になったんですね。アガサ・クリスティーより本格的ですが、私はクリスティーの方が好きでした。『EQ』という雑誌(月刊誌かな)が、40年ほど前に創刊されて、初期には読んでおりました。おそらく松本清張にハマったのと時期的には似ておりますね。
by tommy88 (2015-05-30 15:09) 

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