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「マスカレード・ホテル」と「マスカレード・イブ」(by 東野圭吾 :2011、2014) [読書’14]

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 家から最寄りの駅構内には、小さな書店があって、1日2回通ります。そのため、売れ筋の本や雑誌というのがよく分かります。同時に、移り変わりが激しいなあと思います。その中でも、安定して、通路側に置かれているのが、東野圭吾や池井戸潤の作品です。ビジネスマンを想定していて、ビジネスや経済の本が多く置かれている本屋なのですが、この2人の著者の作品は常に、見やすいところに置かれています。そんな本屋で、「『マスカレード・ホテル』70万部、『マスカレード・イブ』100万部達成!」という宣伝を見つけ、電車/地下鉄に乗ると同じ宣伝を見ることになりました。そのせいか、「読んでみたいなあ」とずっと思っていました。このような自分の反応を客観的に見ると、マーケティングにまんまとはまってしまっているなあ、とも思い、少し怖くなりますが。

 これほど宣伝に反応したのは、もう一つ理由があるかもしれません。夏から、急に東野圭吾を読み始めた父が、この作品を気に入っていたようだからでした。一番のお気に入り、かどうかはよく分かりませんが、会話の中にこの作品がよく出てきていたので、面白いと思っているようでした。多く(大半)の東野圭吾作品を読破している母も面白い、と言っていたので、私も読んでみることにしました。

 ちょうど、札幌に帰った時、テーブルの上にこの「マスカレード・イブ」があったので、読んでしまいました。この作品、発行年は新しくても、時系列としては「マスカレード・ホテル」の前の設定となっています。時系列通りに話が読める、と思ったのですが、意外な落とし穴がありました。たいていの人は、最初の「マスカレード・ホテル」を読んだ上で、この「マスカレード・イブ」を読むと思います。そのため、馴染みのある登場人物の過去を楽しむことが出来る気がします。が、私は彼らの「現在」を知らないので、読んでいても、「ふーん」という感じでした。最後の章で、「この2人が、時系列的には『次』となる作品で会うのかなあ」と思ったぐらいでした。期待していたほどではなかったので、正直がっかりでした。ホテルのフロントという仕事を裏側から見られる、という意味では面白かったですが、ストーリーに対しては特に何も感じませんでした。

 そして、「マスカレード・ホテル」を読む機会がやってきました。成長した二人が登場し、また「マスカレード・イブ」を読んでから間隔もあまりあいていなかったので、「マスカレード・イブ」で敷かれていた伏線もよく分かりました。あのときには理解出来なかったけれど、この「マスカレード・ホテル」を読んで分かる部分が多くありました。

 両作品の伏線探しも面白かったのですが、やはり成長した登場人物2人が良かったです。二人ともプロ意識が強く、読んでいても気持ち良かったです。価値観は全く異なるけれど、この強いプロ意識は共通していると思います。他の東野圭吾作品で、探偵のようなものが登場する場合、一人がかなり優秀、もう一人がサポート、という感じです。一人の優秀さが際立つことになるので、これはこれで面白いと思います。が、今回は倫理観が異なる2人が各自のプロ意識をぶつけて、事件を解決していく様子は読んでいて気持ち良かったです。

 また、この本を読んで、母と「ホテルのフロント」の仕事についての話になりました。確かに、色々なお客さんが来て、興味深いとは思います。友達の友達がジュネーブの高級ホテルで研修していたのですが、話を聞くと、大げさではなく、この作品に出てくるような変わった、個性的なお客さんが色々来るようです。殺人事件は無いかもしれないけれど、たくさんの秘密を抱えた人が泊まっていくみたいです。確かに興味深い仕事だけれど、(倫理観や正義とか関係なく)相手がルールというのに、自分が耐えられるかなあ、と思ってしまいました。それなら、悪事を暴く刑事の方が面白そうだなあ、とも思いました。
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コメント 3

Haha

「イブ」を読んだ後、「ホテル」を読み直しました。
やっぱり、ホテルのフロント、面白そうです。やりがいのある、力量が試される仕事のような気がします。
by Haha (2014-10-30 08:54) 

tommy88

ママはね、自分がやりたい仕事を、何とか娘にさせたいんだよ。
私も、そうやって押しつけたけれど、もう諦めてはいるがね。
私が押しつけたものより、Big になっていくんだもの。
期待しちゃうぜ。
by tommy88 (2014-10-30 18:08) 

次女

立派にこなせたらフロント業って楽しそうだな、って思うよね。
by 次女 (2014-11-30 21:30) 

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