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Italieへの旅 その9(番外編:イタリア人と対決) [旅'12]

 イタリア人と対決せざるを得なかった瞬間、それはお金の計算。昔からよく日本人は計算が得意、と言われていますが、ヨーロッパに居るとそれを強く実感します。日本でレジのない店へ行っても、渡した金額から引き算をしてすぐにお釣りを渡してくれます。しかしこちらは足し算方式。品物の値段に5€、10セント、と足しながらお釣りを渡していくのです。こちらの方が計算間違いは少ないかな、と思っているので、この待ち時間、私は気になりません。それでも、足し算の間違いをする人が居るので、注意して見ていなくてはなりません。フランスではこういった間違いがないのですが(レジを置いていない店自体少ない)、イタリア滞在中は二度ありました。

 まずはナポリの大学近辺でノートを買ったとき。手元に戻ってきたお釣り、10セント足りません。レシートを確認してみると、値札に書かれていた値段より10セント高く打っていました。レジを担当したおばさんに「○€△セントではありませんか?」とスペイン語で言ってみましたが、理解してくれないよう。イタリア語とスペイン語が似ているということから、通じるかなと思ったのですが、少し楽観過ぎたようです。店長のような人を連れてきてくれました。その人に同じことを言ってみると、首をかしげています。ここで引き下がるわけにもいかず、こん、なんとか通じたよう。しかし今度はレジに10セントがない。そこで、店員にコーヒーを買いに行かせます。そこでお札をくずしてもらおうということです。しばらくすると、店員が戻ってきて10セントをようやく手に入れることが出来ました。

 次はローマで小さなスーパーに立ち寄った時。ここはレジがなく、レシートを発行してくれないので少し厄介でした。お釣りを確認してみると、案の定足りません。もらったお釣りを財布にしまわず、対応してくれた店員さんに「違う」ということを説明しようとしますが、語学力が足りず。正しい数字を言ってみますが、相手は納得してくれず。計算間違いだよ、と言いたくてもスペイン語で何というかは分かりません。正しい数字を言い、持っているお金を見せ、1セントプラス、と言うと相手は少し理解したよう。しかし自分の間違いを認めて謝る、ということは決してありません。しぶしぶ1セントを渡してくれました。たかが1セントだけれど、「取り返した」という感覚でとても嬉しかったです。言葉以上に粘り強さが必要だと感じた瞬間でした。

Italieへの旅 その8(番外編:職業) [旅'12]

 短いイタリア滞在期間、日本やフランスではあまり見かけないような「職業」を色々見かけました。そんな職業について、今回は書いていきたいと思います。

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 ナポリ到着早々驚いたのが、車にモップを持って近寄る若者。小遣い稼ぎをしているのかよく分かりませんが、若者に人気の仕事のようです。信号で車が停止すると、車に近寄ると「洗車をしましょうか?」と提案して歩くのです。中には、提案なしでいきなり洗車を始め、怒った運転者がいきなり発進して、ひかれそうになっている人も居ました。写真は、ローマの「洗車グループ」。フランス人によると、パリの特定の地域でもこの職業は存在するよう。私はまだ見たことがないので、本当に限られた地域だと思います。が、イタリアではナポリ、ローマ場所を限らずこの職業が存在していました(もちろん、ガソリンスタンドには「正式な」洗車場があります)。

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 そして、バチカン市国近辺で欠かせないのがこのスカーフ売り。パリにも至る所で売っていますが、販売数はバチカン市国の方が上のような気がします。バチカン市国で美術館や聖堂などに入る場合、露出の多い服装は入場を断られるからです。タンクトップ、膝下に届かない短パンやミニスカートが禁止。真夏のイタリア、こういった格好をしていない人の方が少ないと思います。そのため、うっかりこういった格好で見学に来た観光客はこのスカーフを買う事になります。スカーフで露出の多い部分を隠すというわけです。真夏の今、商売繁盛のスカーフ売りです。

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 最後に、ローマの警察官。パトロールが本業、副業はおしゃべりといった感じです。驚いたのが、警察官の制服、特にズボン。ダボっとしていて、見た時は「制服?それとも作業服?」と思ってしまいました。しかし、無線、銃、など警察官として必要な道具がズボンにしっかり装着されているようなので、制服。

Italieへの旅 その7(ローマ編) [旅'12]

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 神秘的なバチカン市国を後し(パスポート検査も、門もなかったので、出国したという感覚は全くありませんでした)、次に向かったのがローマの顔とも言える場所。コロセウム!青い空に、少し崩れかけた競技場がぴったり!閉館時間が近く、入場は出来なかったのですが、外を見ただけでドキドキワクワクしてしまいました。「マダガスカル3」にもこのコロセウムが出てくるのですが、かなり省略化されていました。もちろん子供向けアニメだと頭では理解していても、その簡略された描き方にかなりがっかりしたのも事実。本物を見てからは、「実物を見る前に映画を鑑賞しておいて良かった」と強く思いました。本物を目の当たりにしてから映画を見ていたら、かなりがっかりしたと思います。

 中に入るのは諦め、ぐるっと一回り。中にトラックのような競技場があれば、ランニングしてみたいな、と思いました。

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 ローマで食べた、スパゲティも忘れられない味でした。シンプルにトマトソースのスパゲティを注文。これまた、ピザ同様、トマトの味が強く、シンプルでもとてもおもしろかったです。パスタの茹で具合も完璧、固すぎるわけでも無く柔ら過ぎでもなく、ちょうど良かったです。自分はいつも茹ですぎてしまうので、コツをイタリア人に教えてもらいたいぐらい。今まで食べたパスタの中でトップ3にも入るほどのおいしさで4€。

 飲み物はいつも水を注文していたのですが、その水は750mlのボトルで2€。食べ物があまりにも手頃な値段なので、飲み物が高く感じてしまいました(ちなみにフランスは日本同様、水が無料)。

 ローマ行きの電車を予約した時から、一日では足りないと思っていました。が、忙しく歩き回ってみて更に納得。次回はもう少し時間をかけて回りたいと思っています。また、美術館で人が多かったのも残念。少し寒くても、人が多くない冬に次回は来たいと思っています。

Italieへの旅 その6(ローマ編) [旅'12]

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 ローマのユースホステルを取れなかったけれど、首都は見ておきたい、と日帰りで行ってみることにしました。案の定、全く時間が足りませんでした。8時30分ローマ出発の急行電車に乗ってローマへ。TGVのようなかっこいい電車を想像していたけれど、普通の電車で少しがっかり。

 2時間後、ようやくローマ到着。ローマの休日に出てきた観光名所も捨てがたいけれど、私の目的地は、その少し先。ローマの中心からは少し外れたところにある、バチカン市国。中学の地理の授業で世界最小国として紹介されるのがこの国。当時は名前を覚えただけ。ディズニーランドほどの国が大きな影響を世界に持っていているのか、というのを少しずつ理解し始めたのはアメリカドラマのおかげ。犯罪や政治的問題が少しでも大きくなると、「バチカンを怒らせるな」というセリフがよく出てくるからです。「ザ・ホワイトハウス」内でもよくバチカンは悩みの種になっています。最終的に、バチカンの不思議な権力を印象づけたのは「天使と悪魔」。キリスト教という自分には少し遠い世界の話のため、「ダヴィンチ・コード」同様、ローマの観光映画という印象の方が、最初は大きかったです。映画を見てから、本を読んだのですが、自分には馴染みのない世界で、少し神秘的なイメージも強かったです。そんな神秘的な国を一度は見ておきたい、と今回はバチカン市国を中心に回ることにしました。

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 さて、バチカンに着いた、と喜んでサン・ピエトロ大聖堂の前で撮影した写真。厳密に言うと、この場所はまだイタリアです。このサン・ピエトロ大聖堂内に入って、初めて「バチカン市国」に入ったと言えるわけです。どうやって入ろうかと聖堂の方を目を向けると、長蛇の列。真夏のイタリア、観光シーズン真っ只中なので、予想はしていたのですが、これほどだとは!自分の大事な1日を無駄にはしたくない、とツアーに申し込む事にしました。ツアーだと団体入場と見なされ、一般客の列に並ばなくて済むのです。英語とスペイン語のツアーがあり、私はもちろん英語。20人ほどにヘッドフォンが配られ(無線機能がついていて、ガイドがマイクに向かって話すとその声が聞こえる)、いざ出発。

 まずはバチカン美術館から。美術館というより彫刻博物館というのが近いと思います。世界で一番多くの彫刻をこの美術館が所有しているのだそう。イタリアが誇る、ミケランジェロ、ラファエロなど偉大なる芸術家の彫刻があらゆるところに展示されています(この彫刻に関する逸話は「天使と悪魔」でも結構詳しく説明されているので、興味がある人はどうぞ)。裸体の作品が多く、やはり究極の美はシンプルさか、と思ったりもしました。

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 今では美術館・博物館として使われているこの建物、かつては教皇が住んでいたので教会も兼ねています。そして装飾自体も「美術」の一つ。この豪華さは、パリの上院を思い出してしまいましたが、バチカンの方が上。人が多いけれど、上を見ながら歩きたい気分でした。

 そしてこのツアーのクライマックスはもちろん、ミケランジェロの天井画、「最後の審判」と「アダムの創造」。美術の本やテレビなどでしか見たことがなかったせいか、第一印象は「どこ?」という感じでした。「アダムの創造」は天井画の一部、と頭では分かっていても、天井のどこにあるかは全く推測出来ません。また、観光客で溢れていても、室内の照明は落とされていました。それでも数秒後には見つける事が出来ました。うわあ、本物だ、というのが第二の印象。思ったより小さくても、それは本で見慣れた天井画でした。見ているだけでも首が痛くなるのに、どうやってミケランジェロは完成させたのか、と関心してしまいました。

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 次に有名なのが、「最後の審判」。この絵は単に感動した、というより、ミケランジェロの観察眼のすごさを実感しました。先ほど通った美術館には、以下の写真の彫刻がありました。これは無名の彫刻家が造ったのですが、ミケランジェロが「肉体美をしっかり表現している」と感動し、修復を依頼されても断ったようです。この彫刻、かなり印象に残ったようで、自分の作品にも参考にしたよう。「最後の審判」の中心人物にも、この肉体美がモデルとして使われたのでした。

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 これ以外にも、ある意味偉大な作品を残したミケランジェロ。バチカン市国に住む教皇を守るために入り口に居る、スイス傭兵のユニフォームをデザインしたのもミケランジェロ。あまりかっこいいデザインとは言えません。しかし、このデザイン、造られた当時から変わっていません。バチカンがこのデザインを気に入っているからなのか、ミケランジェロという大物によるデザインだから変えられないのか、真偽の方はよく分かりません。それでも真夏の暑いローマ、また絶えず通る観光客のフラッシュに耐えながら、仕事をしっかりしているという印象でした。

Italieへの旅 その5(写真編) [旅'12]

 イタリアで印象に残って撮った写真を少し紹介してみたいと思います。

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 アムステルダムでは駐輪場をたくさん見かけました。日本ではシルバーの自転車が主流ですが、アムステルダムは黒。しかしイタリアではバイクが主流。老いも若きもバイクに乗って移動しています。二人乗りも当たり前で、ヘルメットをしていない人もたまに居て、見ている方が心配になってきます。

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 途中でバイクの調子が悪くなっても、慣れた手つきで修理していきます。車道で堂々と修理しています。渋滞になっても、修理が優先。

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 イタリア人男性は青いシャツをよく着る、と何かの本で読んだのですが、これは本当。特におじさんが青いシャツを着ています。青いシャツだと色を合わせやすいということだと思います。いくつになってもファッションに気を遣うということでしょうか(これはフランスでも同じ)。

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 イタリアのファッションと言えば、思い浮かべるのがアルマーニ。この写真、少し分かりづらいですが、アルマーニのウィンドーに使われている背景。どこでこの背景を撮影したのか分かりませんが、ネオンが多いのはやはり新宿かな、と個人的には思っています。黒いアルマーニスーツの背景に使われているのが新宿、となると日本人としては少しズレを感じてしまいます(アルマーニが合う場所というと、自分がイメージするのは六本木、銀座)。外国人にとってネオンは今でも神秘的なようです。

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 イタリアのポスト。本当にポストとして今でも使用されているのか、と心配してしまいました。送ったハガキは無事に届いたようなので、一応機能しているようです。

Italieへの旅 その4(ナポリ編) [旅'12]

 ナポリと言えば、ピザ。あのマルゲリータが生まれたのは、この地だそう。ピザはイタリア人と切っても切れない関係で、色々な種類があります。私の知る限り、ピザ生地は大きく2種類に分けられます。モチモチしたパン生地のピザがナポリ風、カリカリしたのがローマ風。イタリア滞在中、私は2回ピザを食べました。ガイドブックで太鼓判のピザ屋で食べたマルゲリータピザは、今まで食べた中で一番おいしいピザでした。

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 そのおいしいピザ屋、Da Micheleという名前で1870年創業の歴史あるピザ屋さん。メニューはマルゲリータとマリナラという2種類だけ。

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 私は普通サイズのマルゲリータを注文し、4€。イタリア人に欠かせない食事だけあって、安い!それでも味は上等でした。シンプルにトマトソースとモッツァレーラチーズが載っているだけです。が、トマトソースはトマトの味が強くまるでトマトを食べているようでした。生地も、釜で焼いているだけあって、とてもモチモチしていました。

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 この店、観光客の間ではもちろん、地元でも人気の店のようで、私が行った時は満員でした。蛇足ですが、数年前に公開されたジュリア・ロバーツ主演の映画「食べて、祈って、恋をして」の撮影でも使われたようです。

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 別の日に行った、レストランではパスタのスープのようなものを注文しました。暑いのにスープを注文した、と少し後悔したのですが、それについてきた前菜はとてもおいしかったです。

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 イタリアのパンに、ただオリーブオイルとトマトを載せただけなのですが、おいしい!マルゲリータピザ同様、シンプルな上に、各材料の味が出ている気がしました。

 食べ物にうるさいフランス人でも「イタリアの食べ物はおいしい」と言うだけあって、毎食おいしいものを(少ない予算で)食べる事ができました。今回はピザをメインに食べたので、次回来た時は、パスタをメインに食べ歩きたいなあと思いました。

Italieへの旅 その4(ナポリ編) [旅'12]

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 私の旅の友は、Lonely Planet出版のガイドブック、「Western Europe」です。フランス、スペインなど西ヨーロッパのガイドブック。これを頼りに、イタリアを色々回りました。その中で、「南イタリアを訪れる際外せない美術館(博物館)」と紹介されていたのが、国立考古学博物館。彫刻は自分にとって、身近ではない芸術。どんなものか行ってみることにしました(ルーブル美術館にも数え切れないほどの彫刻が展示されているのですが)。

 開館時刻と同時に入館し、鑑賞開始。ほとんど人がおらず、のんびり見て回ることが出来ました。真っ白な背景(壁)に真っ白な彫刻が展示されていて、少し目がピカピカしてしまいました。

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 彫刻を見て思い出したのが、ケニアのシマウマ。ケニアで自然公園(公園と言ってもかなり広い)を見て回って目にしたのが、シマウマ。もちろん車が近づくと走って逃げていってしまいます。その時に一番印象に残っているのが、シマウマの筋肉。走っているので筋肉をかなり使っているのですが、その筋肉がなぜかとてもきれいに思えたのでした。今回彫刻を見たときも似た印象を受けました。写真を見ても分かるように立っている姿勢が多い彫刻でも、筋肉が細かく表現されていました。水泳をやっている妹は色々筋肉の名前を知っているのですが、私は素人。そんな私でも「この筋肉は何という名前なのか?どう機能するか?」と色々考えてしまいました。

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 作品のモデルとなっているのは、ローマ、ギリシア神話に出てくる神々。私はそれほど詳しくないですが、ヨーロッパに居ると遭遇する機会が多いです。特に小説などに出てくる登場人物の名前。その名前の由来が神話に出てくる名前だったりして、神話を知っているとその名前に隠されたイメージというのが見えてきて面白いです。例えば、「ハリー・ポッター」に出てくる副校長先生の名前はミネルバ、です。これはローマ神話で主に知(教育)の神と言われている女神と同じ名前。副校長先生の名前に使われているのも納得です。

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 ミネルバと並んで私が好きなのがギリシア神話に出てくるアテナ。これも学芸や戦争の女神。アテナというと、戦争の女神というイメージしかありませんでした。そのため、異なった役割を2人の女神は持っていると思っていました。しかし、そうではなく、両者同じ役割を各神話で持っているようでした。

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 彫刻の写真だけを並べてみると、サイズが分かりづらいと思います。もちろん、色々なサイズの彫刻があるのですが、巨大なものも多かったです。写真でも分かる通り、2メートル以上あります。説明によると、主にこういった彫刻はローマの浴場に置かれていたようです。こんな大きな彫刻に見下ろされて、のんびりお風呂に入ることが出来たのか、と少し疑問に思ってしまいました。

Italieへの旅 その3(ナポリ編) [旅'12]

 ナポリで滞在したユースホステル。珍しく朝ご飯が付いているユースホステルでした。宣伝文句は「イタリアの伝統的な朝食」でした。一見すると、フランスに似ているのですが、よく見てみると、異なる点が多くありました。

 まず、食堂へ行くと飲み物を聞かれます。イタリア語が話せないため、英語でのやりとりになります。「コーヒー」と注文すると、「expresso or long coffee ?」と聞かれます。「長いコーヒー」という謎の単語が出てきます。考えること数秒、「薄めたコーヒー」という事に気付きます。そう、ここはヨーロッパ、「コーヒー=エクスプレッソ」ということを再認識させられます。ちなみに、私の後から来たアメリカ人この「long coffee」というのが理解出来ず、「normal coffee」と言っていました。が、受付のイタリア人「normal coffee」がもちろん理解出来ず、何度かやりとりを繰り返していました。結局お互い理解出来なかったようです。コーヒーを飲んだアメリカ人、「苦い」と言っていたので、エクスプレッソだったよう。(私が想像するに)途方に暮れたイタリア人、自分の感覚で「普通のコーヒー」を渡したのだと思います。

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 飲み物を注文した後も、驚きが続きます。クロワッサンをもらえるのですが、そこで聞かれるのは「ジャム、それともチョコ?」という質問。フランスでクロワッサンは2種類、バター(いわゆる何も入っていないシンプルなクロワッサン)とチョコ(クロワッサンの中にチョコが入っている)です。ジャムが余分にもらえるのか、と思い、ジャムを注文してみました。しかし渡されたのは普通のクロワッサン。イタリア語でジャムは別の物を指すのだろうか、と色々考えながら食べてみると、すぐに舌を火傷してしまいました。焼きたてのクロワッサンの中から、熱いジャムが出てきたからです!ジャムとはそういうことだったのか、と納得しました。既にバターでこってりのクロワッサン、ジャムを加えると更にこってり。私には少し重すぎました。そのため、翌日からはチョコのクロワッサンを注文するようになりました。この場合、チョコと言ってもミルクではなく、ブラックチョコなので、それほど甘くはありません。

 言葉と文化、密接に関わっているけれど、必ずしもそうとは限らない、とこの食堂で感じました。特にヨーロッパで英語は単なる共通語。外国語として英語を使っている人の数が格段に多いと思います。そのため、同じ英単語から想像するものが国によって異なるという状況が多く生じます。そんな状況を食堂という小さな場所で目にし、共通語があってもお互い理解し合えるのは難しいことなのだ、と強く感じました。

コーヒー休憩(「God save la France」を読んで) [旅'12]

 フランスに滞在して、約1年。大学での学生生活だけでなく、フランス人の生活ぶりも少し見ることが出来たかな、と思ってます。それでも、日本に住んで20年近いため、理解出来ないフランス人の考え方というのがたくさんあります。そんな私が抱える「謎」を少し解決してくれたのが、この本でした。たまたまこの作者の歴史本(イギリスとフランス、2ヶ国の関係についての歴史)を読んでいて、本の中に入っていたチラシ(彼の他の作品リスト)でこの変わったタイトルの本を見つけました。残念ながら、原作は図書館で見つけることが出来ませんでした。しかし、家の近くの図書館にフランス語訳があったので、借りてみました。そして、イタリアの旅行中に読んでいました。

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 パリへ働きに来たイギリス人 の1年間についての本です。イギリス人から見たフランス人、ということで、多少分かりづらい部分もあるのですが、「分かる、分かる!」と頷ける部分も多かったです。中でも、彼のカフェでの苦労には笑ってしまいました。なぜなら自分も全く同じ経験をしたからです!

 フランス(またはイタリア)で「café」(コーヒー)を注文すると、日本とは少し違うものが出てきます。小さなカップに入った、日本で言うエクスプレッソが出てくるのです。そういった基礎知識がないままフランスのカフェへ行っていた私、「ずいぶんとフランス人はケチだなあ」と思っていました。何度か飲む内に、この「コーヒー」はとても濃いという事に気付き、日本で飲む「コーヒー」とは異なるということを理解しました。ちなみに、本の主人公は気付くのにそこまで時間はかからなかったのですが、私同様、なかなかイギリス(または日本で飲む)「コーヒー」にありつけません。それなら、と私(そして主人公は)café au lait(カフェ・オ・レ)を注文してみます。しかし、これも自分が期待していた「コーヒー」ではありません。

 自分の飲みたい物が飲めない、というのもかなりストレスが溜まります。そんな中、私を助けてくれたのは日本へ留学経験があるフランス人の友人でした。「フランスのコーヒーは、日本のものと比べると濃いでしょう?」と言って、注文してくれたのはcafé allongé。メニューを見ても、そんなコーヒーは載っていません。この飲み物、直訳すると「のばしたコーヒー」となります。つまりエクスプレッソにお湯を足して、薄めたコーヒー。フランス人からすると「薄めた」という感覚なのでしょうが、私にとってはちょうど良いのです!そして、本の主人公もアメリカ人に助けてもらい、無事café allongéを飲むことが出来るのでした。

 自分の経験とシンクロさせて読んでいたため、早いスピードで読破することができました。ストあり、恋愛あり、フランス人との交渉ありで、楽しめる内容でした。自分も直面したことのある、フランス人の謎を再確認することが出来ました。また、イギリス人の視点から書かれているということもあり、私にとってフランス人とイギリス人の考え方、2つを見ていくことが出来る本でした。日本人同様、フランス人にとって、イギリスの男性は「紳士」というイメージ。そのイメージのままフランス人は接してくる苦労なども、この本では描かれていました。サムライや芸者のイメージがついて回る私とは異なる苦労をしているのだ、と再認識しました。

 この本、シリーズ化されているので他の巻も読んでみたいなと思っています。現在、フランス人の友人がこの本を読んでいます。外国人から見たフランス人、というのもフランス人からするとかなり不思議で面白いようで、笑いながら読んでいます。

Italieへの旅 その2(ナポリ編) [旅'12]

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 混雑した大きな通りを抜けて、小さな通りへ入ると、また異なる様子です。自分が小さい頃想像していたヨーロッパはこれかな、と感じました。石の通り、アーケード、少し暗い裏道。ヨーロッパの一部(というより、中心、と彼らは考えていますが)であるフランスでは全く見ることが出来ない景色です。石で出来た通りも少なくなってきました。そして、大きな違いは洗濯物。湿気ている日本、洗濯物を外に干すのは当たり前です。しかしフランスでは景観保護法に違反するようで、外に洗濯物を干すのは基本的に認められていません。しかし、イタリアではどこを歩いても、洗濯物がズラーっと並んでいます。パリの洗濯物がない景色になれてしまった私、歴史的建物も前にずらーっと並んだ洗濯物にはかなり違和感を抱いてしまいました。すばらしい景観を壊している、とナポリに来ていたフランス人は言っていました。

 が、同時に、イタリアにはまだ小さな職人の店というのが多く残っていました。日本でもほとんどそういった店を見かけなくなってしまいましたが、残念ながらフランス、少なくともパリでも同じです。(彼らによると)「アメリカ式の商業」に押されて、古き良き伝統のある店の数が少なくなってきています。しかし、イタリアではそういった古い店(革の靴、カバン、魚屋など)がまだまだ顕在していました。こういった点において、(例外的に)フランス人はイタリア人を評価しています。

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 ナポリに大学も、フランスの物に似ていました。日本のように学生街を形成するのでは無く、通りにある建物の1つが大学、少し歩くと別の建物に大学、と点在しています。古めかしい建物だったので、入ってみました(本当はトイレを使いたくて)。

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 受付がありましたが、不審者でもないので、そのまま通過。トイレを探すついでに、イタリアの大学を少し見て回ることにしました。掲示物を見る限り、私が入ったのは理系の建物でした。生物、物理、化学という言葉を多く見かけました。教室はどんなものか、と見てみてびっくり!本当にこれは教室か、という感じの落書きでした。こんな状態で授業が行えるのか、と少し心配になってしまいました。

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 教室の状態にびっくりしながら、掲示物も色々見て回りました。イタリア語はほとんど分からないのですが、フランス語と(少しの)スペイン語の知識を駆使して、読んでみました。留学のお知らせ、というのもあり、日本、フランス同様一番の人気は英語圏。「英語教えます」なんていう掲示もよく見かけました。面白いことに、英語に次いで多いのがフランス留学関係。写真の掲示はパリ(Parigi)に関する留学相談のお知らせ。ちなみにイタリア人とフランス人、あまり仲が良いとは言えないのですが (自分の留学していたパリ政治学院に、イタリア人が多いという印象はなかったのです)。