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2013春学期の授業:International Organisations [スイスでの学生生活]

 学期に取った授業説明が終わる前に、春学期が終わってしまいました。これが最後の春学期授業説明です。

 今通っている学校を含めて3つの大学で授業を受けてきました。各学校で必ずと言っても用意されているのがこのクラス、「International Organisations」です。今まで取る機会が無いまま3つ目の大学にやってきました。今回こそ取るべきかな、と思い履修してみました。

 小さめのクラスで、20人以下のクラスでした。今学期取った授業の中で、唯一参加していた学生の名前を覚えることが出来た授業でした。世界に存在する国際機関を一つ一つ見ていくのか、と思いきや、自分には意外なリーディングから授業が始まりました。Realism(現実主義→軍事力重視)やLiberalism(自由主義→軍事力以外も国際関係において必要ではないか?)などの学者が書いた、国家関係の本から数章、いくつかのジャーナルなど、一見すると「国際機関」からは少し外れたリーディングが多く課されました。最初の数週間は「これって『国際関係』の授業じゃなくて、『国際機関』の授業だよね?」と何度も思いました。が、その後メインの国際機関に関する説明に入ると、なぜこのようなリーディング課したのか少しずつ分かってきました。そもそも国際機関を作るのは国。その国々がどういったことを機関に求めているか、それを理解するには国家間の関係を国がどう捉えているのか理解しなくてはならないから、というのが最初の数週間のリーディング目的だったようです。

 ディスカッション中心の授業でしたが、教授も上手くディスカッションをリードしてくれて、面白い授業でした。今学期教授は色々なところで会議があって、何度か授業がキャンセルされました。通常は14時15分から16時の授業でした。が、キャンセルされた分の埋め合わせとして何度か、「延長授業」が行われました。それは14時15分から18時近くの長丁場。そんな時には教授がお菓子を買ってきてくれて、「これこそ国際関係におけるPowerだよね」とみんなで言っていました。通常、政治学でPowerは「actor’s ability to exercise influence over other actors within the international system」(国際システムにおいて、他の関係者に影響を及ぼす、ある関係者の能力)と定義されています。Powerにはcoercive(強制的)、attractive(魅了的)、cooperative(協力的)など様々な手段があります。長丁場の授業で、他の関係者(=学生)に影響を及ぼす(=授業の後も延長として残らせる)、関係者(=教授)が使うPowerの手段がお菓子というわけです。これはあくまでもジョークですが、Powerの説明には良い例だと思いました。

2013春学期の授業:Approches Qualitatives du Terrain [スイスでの学生生活]

 ジェンダーの授業と並んで、今学期必須となっている授業がこちら、「Approches Qualitatives du Terrain」です。日本語でなんと訳したら良いのかちょっと分からないのですが、直訳すると「研究対象地域への質的アプローチ」となります。授業名同様、何をするのかは少し謎のまま学期の半年が過ぎてしまいました。が、教授の話と、課題から推測するに「データの質的分析」がこの授業の大きなテーマです。このクラスは2つに分かれていて、英語とフランス語で行われています。各授業、教授の専門によって内容や課題がかなり異なります。そのため、英語で行われる授業に参加している友達と話してみると、「本当に同じ授業を取っているの?」というほど授業内容が異なります。

 さて、私が参加しているフランス語の授業では一体何が求められているのか?インタビューを行って、それを分析する、というのが課題。テーマの設定方法、インタビューの約束、質問の仕方などを授業で勉強して、各自インタビューを行うという感じです。

 まずはテーマ設定から。テーマは自由となっています。実施可能であるかどうかの判断を教授からもらう、という以外、決まり事はありません。一度各自のテーマ発表があったのですが、皆面白そうなテーマを選んでいました。

 テーマを決めた後は、各自下準備(そのテーマについて少し調べ物をする)。が、他の授業で与えられるエッセーのように、本やジャーナルからの情報をメインとしない、というのがこの授業の大きなテーマ。エッセーの大半は自分で行うインタビューを元に構成していかなくてはならない、という訳です。今まで、こういったタイプのエッセーを書いたことがないので、最終的にどんな形になるのか全く想像が付きません。

 本やジャーナルといった情報源を使わないとなると、頼るのは、先ほども書いたようにインタビュー。インタビューを録音し、ディクテーションのようにインタビュー内容を書き出していきます。この文字化(Transcription)という作業、やたらと時間がかかります!30分足らずのインタビューですが、書き出しに3時間近くかかりました。「沈黙や話していない時も、インタビューの一部」と言われているので、そういった「様子」も文字にしていきます(自分のメモと照らし合わせて)。

 この Transcriptionという作業をしてみると、インタビュー中には思わなかったことが見えてきます。相手はフランス語が母国語なので、インタビュー中はかなりスラスラ喋っていたような気がしました。が、いざ文字化してみると繰り返しがあったり、文章を繋ぐ言葉(「つまり」、「えーっと」)が多かったりしました。これにはびっくりしました。一応自分の質問にはしっかり答え、それなりの情報がありました。が、その答えを文章にしてみると、情報以上の長さになっていました。

 また、答えを多く引き出すインタビューというのも、思っていた以上に難しかったです。最初はやはりお互い緊張しているので、なかなかインタビューが進まないということもよくありました。最後の方になってくると、お互い雰囲気に慣れて、また内容も盛り上がってくるので、答えを引き出すのに苦労しませんでした。

 自分がどんなテーマでインタビューをするのか、あえて書きませんでした。書くとなると、また長くなりそうなので、それについては後日詳しく書いていきたいと思います。

Geneva Marathon (ジュネーブマラソン) [スイスでの学生生活]

 前回からの続きです。ランニングの授業を取って、先学期は12月のEscaladeという大会を目標に練習していました。段々暖かくなってきたため、色々な大会が各地で開催されているようです。特に、マラソンやハーフマラソンは各地で行われています。 まだ自分には少し距離が長すぎるかなあ、と他の大会が無いか探していました。すると、ランニングの授業の先生から「ジュネーブ・マラソン」という大会があるということを教えてもらいました。大会名から分かるように、メインは42.195kmのマラソン。それ以外にもハーフマラソン(友人が何人か走ります)、ジュニア(3kmぐらい)、車椅子/ハンドバイクのハーフ、リレー、Genevoise(5km)があります。リレーは42.195kmを4〜6人で走るという、今年から始まった新しい種目。マラソンをリレーするという面白い試みなので、参加してみたかったのですが、6人集まらず断念。それなら、とGenevoiseへの参加を決めました。Genevoiseとはフランス語で「ジュネーブの人(女性形)」という意味です。この言葉からも分かるように、女性だけの種目。5kmという比較的短い距離です。

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 ジュネーブ・マラソン、招待選手が走ったり、優勝者には賞金が出たり、他の大会と似たような感じです。が、大会の大きな趣旨はUNICEFへの寄付。そのためポスターにも大きくUNICEFのマークが書かれています 。運営のコストを少しでも抑えるため、ボランティアの募集も大々的にやっていました。これはこの大会に限ったことではありませんが。そして、大会に参加するだけでなく、このボランティアにも私は参加することになりました。

 Genevoiseのレースは5月4日、メインであるマラソン、ハーフ、車椅子/ハンドバイクのハーフ、リレーは全て5月5日に行われます。Genevoiseは湖沿いを往復して5キロ。これほどの距離なら、ジュネーブ市内で間に合います。が、20km近い距離となると小さいジュネーブ市内を回るだけでは足りません。そのため、ジュネーブ郊外の村もコースの一部として使用されます。5日に行われるレースは全てChêne-Bourgスタート。そして私の住む村もコースの一部。私の住む村は、Chêne-Bourgから9kmの地点。私のホストマザーとファザーは毎年ボランティアとして参加しているので、私も今年誘われました。効率よくボランティアを配置するため、当日まで自分がどんな仕事をするのか分かりません。朝7時に集合し、その時にようやく自分の仕事内容を知るというわけです。

2013年春学期の授業:Course à pied [スイスでの学生生活]

 先学期に引き続き、陸上(ランニング)の授業を取っています。先学期授業が行われていた場所とは異なり、別のスポーツ施設を使っての練習です。先学期の場所はスタジアム(立派な400mトラックを備えた)、その周りにテニスコートなどがあり、色々なスポーツが出来る総合運動場のような感じになっていました。今学期使っているのは、どちらかというと市内に近い運動競技場。体育館、プールなど色々な施設があるのですが、陸上専用のトラックはありません。両方の施設を使ってみて、便利(そしてきれい)なのは今使っている運動場です。ロッカーも大きく、またシャワー施設も良いので、快適です。自分で石鹸などを持って来て、シャワーを浴びることが出来ます。スーツを来た会社員がよく来ているのですが、さっさと着替え、スポーツで汗を流し、シャワーを浴びて、また仕事に向かう姿をよく見かけます。お昼時が私たちの練習時間なのですが、会社の昼休みを使ってきているようです。この運動場の近く、ROLEXの本社があるので、運動場に来ているほとんどの人が、この会社で働く人達だと思います。
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 最近は天気が悪い日が続くため、授業に来るのも毎回4-5人。授業を行うには最低6人必要なのですが、そこは先生(コーチ)に目をつぶってもらっています。金曜はたった一人しか参加者が居なかったらしく、授業自体がつぶれたのだとか。お昼時は授業があったりすることが多いので、もう少し練習の時間を考えれば良いのに、と思いますが。

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 さて、トラックが無いとはいえ、近くに小山があるため、そこを走っています。 2週間前は雨の寒い中走りました。坂が続くので、ふくらはぎがすぐに痛くなります。幸い翌日筋肉痛になるほどではありませんが。

 特に目標もなく走っているのも退屈してしまうので、ジュネーブ・マラソンという大会に出てみることにしました(※42.195kmを走るわけではありません)。その大会については次回。

2013年春学期の授業:International migration [スイスでの学生生活]

 今学期一番楽しみにしていた授業です。ただ、経済学部の教授が授業を行うので、「現実はちょっと違うだろう!」と思うようなことが多いです。主に、「移民はメリットがあるかどうか?」という問いに従って、授業が進んでいます。移民という動きの中で、利益を最大限にするにはどうしたらよいか、といういかにも経済的視点らしい問いです。

 もちろん、どの視点から見るかによって、利益があるかどうかが決まります。そのため、今学期主に注目するのは移民受け入れ国。もちろん、例としてよく使われるのはアメリカ−メキシコ、ヨーロッパですが、新しい傾向として日本やシンガポールもよく登場します。合法・不法移民か、単純労働者・スキルのある労働者か、自国に戻る意思があるか・ないか、とはっきり2分して説明していくので、少し現実的ではないような気がします。が、仕組みを解明していくにはシンプルにしないと分かりづらい(計算できない)というのが経済を専門にする教授達の意見です。どちらがよいか、悪いかという判断はあまり出来ませんが、経済学部という自分の知らない世界の人達の考え方が見えてくる授業でもあります。もちろん、授業内容も面白いのですが、経済学部の人達の考え方を発見する授業でもあります。

 スイス、特にジュネーブやチューリッヒは外国人が多いため、移民の問題などもよくあります。以前、国際結婚率が40%近いという話を聞いたことがありますが、納得、またはこれ以上の数字ではないかと私は思います。スイス人同士で結婚すること自体が難しいような気がします。かつては、結婚もスイス国籍を得る一番簡単な方法だったようですが、今では規制が厳しくなって、結婚しても自動的に国籍はもらえないようです。面白いと思ったのはこの「(主に国籍を得るための)結婚」を意味するフランス語。mariage blanc、と表現するようです。厳密な意味は、「ある目的達成のために行う形式上の結婚」です。mariage blanc、直訳すると「白い結婚」です。個人的に白というと、「純粋」という言葉をイメージするので、白はこの「国籍を得るための結婚」のイメージからかけ離れた色です。が、インターネットで調べてみると、blancは「空、何も無い」という意味もあるようです。つまり、愛の無い「空っぽの結婚」という意味で「白い結婚」という言葉出来たようです。もちろん、これは新しい言葉。移民が国籍を得る方法として契約のみの結婚が増えてきたため、この言葉も誕生したようです。

2013年春学期の授業:Genre et le développement [スイスでの学生生活]

 前回の記事、映画「Billy Elliot」の感想でも言及しましたが、今学期必須科目が2つ。1つはフランス語と英語別々で行われるため、「全員必須」という感じがしません。が、このジェンダーの授業は必須(学部時代に似た授業を取った人は免除されますが)で、ほぼ全員一緒に受けます。興味も異なる学生が集まるため、毎回異なるテーマを取り上げていきます。

 良く言えば、広く学べ、悪く言えば内容が深められないというのが私の感想です。「興味深い」と思った時点で、授業が終了し、翌週からは全く異なるテーマを取り扱うという感じです。これまで、給料のある仕事/給料のない仕事(主に家事)の関係を見たりして、面白かったです。以前、どこかの国で「家事」の給料を計算した記事がありましたが、相当な金額になっていました。

 また、興味深いのは「女性の平等」と言っても、幅広いのだということでした。修士課程まで来ている学生のため、女性が平等に働いたり社会で活躍したりすることに皆賛成。でも、その中でも温度差というものは存在していて、各自の意見を聞いてみると面白いです。西ヨーロッパやアメリカの女の子達は、皆「絶対平等」という感じですが、東ヨーロッパやアジアとなるとその意識が少し弱まる感じです。平均年齢が高いため、結婚や同棲している人も多く、女性の家や社会での役割を考える機会が多いようです。例えば東ヨーロッパ出身の女の子、 レストランに行くと、支払いをするのは旦那さん。彼が財布を忘れた時は、テーブルの下から彼女の財布を渡し、あくまでも支払いをするのは旦那さんなのだとか。もちろん、社会的な目なども考慮して、そういったことをやるのだと思いますが、自分ではあまり納得出来ません。といっても、日本での状況も似たり寄ったりなのでしょうか。先日BBCに記事が出ていて、驚きました。記事のタイトルは 「日本:働くお母さんにとって最悪の先進国?」

 「『ジェンダー』は女性に関することだけではない」とよく教授が言うのですが、やはり現実はというと女性の状況に関することが多いような気がします。もちろん、キャリアを積む女性の裏側に居る男性の苦労なども話として出てきますが。ジェンダーというと、少し取り扱いづらいトピックだと思っていましたが、毎回「なるほど」と思うことが多い授業です。

2013年春学期の授業::Human, Economic and Financial Development [スイスでの学生生活]

 前回の授業紹介で話した通り、このTrack1のコアコースとして、この授業が設けられています。一体何をやるのか、授業が始まるまで謎でした。シラバスを見ても、リーディングリストが載っているだけ。リーディングの量が多い、ということだけ分かりました。

 学期の半分が過ぎ、少しずつこの授業が分かってきたかな、という感じです。この授業を持っている教授の別の仕事は、「プロジェクトの評価」。こんな仕事が存在したのか、と思ったのですが、分かりやすく説明すると「あるプロジェクト、主に国の開発に役立つ物、が成果を出せているか計算し評価を出す」という仕事です。が、この「評価」というのは思った以上に複雑で、色々障害があります。ネズミを使っての実験、というわけには行かず、実際に行われているプロジェクトを追跡して評価していかなくてはなりません。サンプルを無作為に抽出するというのが一番正確な評価を得られる方法です。が、この論理が成り立つのは、サンプルが全て同じ性質を持っているという前提に立った時のみ。人間誰も住んでいる環境が異なれば、考え方も異なるため、「全て同じ性質」を持つことは稀です。例えば、ある薬の効能を調べたい時。アフリカのある村で薬を配布した場合、薬をもらった人ともらってない人、両グループを追跡していきます。が、薬をもらった人の健康状態が向上していないという結果が出たとしても、果たしてそれは本当に薬が効いていないという証拠なのでしょうか?たまたまその村を飢餓が襲っていたら、薬に効能があったとしても、効きません。または試験者が薬を飲んでいないかもしれません。そういった外的要因などを考慮して、プロジェクトの評価をする、というのが教授の仕事であり、またそういった評価のリポートを読んでいくのが、この授業のメインです。

 そのため、この授業で読む文献はほとんどがケーススタディ。ケースバイケースということ痛感する授業で、「これだけ失敗の多いプロジェクトがある中、国への援助というのは一体何だろう?」と考えざるを得なくなります。援助はそもそも役に立っているのか(この質問自体が間違っている、というのが教授の考えですが)、という国の開発というトピックにおいて、本質的な問いをいつも授業で投げかけられているような気がします。

 もちろん、面白い因果関係を調べているケーススタディもあります。今のところ授業で扱ってきたケーススタディで、私のお気に入りは「ニューヨークの国連職員の違反切符滞納と自国の汚職の因果関係」です。もちろん、国の汚職率が高ければ高いほど、違反切符滞納率が高くなるという結果が出ました(日本はかなり低順位、つまり滞納率が低かったです)。が、面白いことに、自国の汚職率が低い国の方が、滞納率の上がり方が激しいのだとか。いったん外交権特権を手にすると、そういった特権を行使したくなるのでしょうか(自国では汚職率が低いため、特権を乱用する機会が少ないため)。

 そしてこの授業を持っている教授、かなり毒舌家で、今までに見たことの無いタイプの教授で、最初はちょっとびっくりしました。しゃべり方というか、表現の仕方が自分の好きなドラマの主人公に似ていると思いました。

2013年春学期の授業が開始 [スイスでの学生生活]

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(ジュネーブ、雪は積もっていないのですが、まだ冬の天気が続きます。湖の写真なのですが、天気が悪くて何も見えません)

 さて、春学期も始まって既に2週間以上が経ち、課題も1つ終えました(学期末忙しくなりそうなので)。まだまだ課題が多いですが、少しずつ今学期取っている授業についてまた紹介していきたいと思います。

 必須授業ばかりだった先学期と打って変わり、今学期は授業の選択肢が広がりました。まず今学期からプログラム内で3つのTrackに分かれます。私が在籍するTrack 1(Human, Economic and Financial Development)、そしてTrack 2(Conflict, Development and Peacebuilding)、Track 3(Agriculture, Resources, Environment)の3つになっています。新しく出来たばかりのプログラムのため、変更に変更を重ね、先学期末は色々ありました。何はともあれ、授業登録前にこのTrackを選択。各Track必須のコース(Introductory Courseと呼ばれる)を取り、それ以外に2科目、各Trackが用意する関連した授業を取れるというわけです。が、現状はどのTrackが用意する授業(必須コース以外)どれでも自由に取れる、という感じです。

 私のTrackは一番分野が広く(経済、人文何でもカバーという感じ)一番人数が多いのか、と思いきや、人気はTrack 2でした。プログラム全体合わせても60人近くしか居ないので、必須コースに参加している学生は20人ほどしか居ませんが。

 どのTrackでも似たような授業が取れるなら、なぜ分けるのかというのが正直な感想ですが、大きな理由は来学期必須のApplied Research Seminarと授業に関連しているからです(と私は勝手に思っています)。

 来学期は、インターンシップ、交換留学、(今学期同様)授業を取る学生に分かれます。交換留学を希望する学生を除いて、このApplied Research Seminarというのが必須になっています。この試み、始まったのが数年前のためよく分からない部分も多いです。これまで受けてきた説明から推測すると、「定期的な授業が存在しない」クラスのようです。各必須コースの教授が人脈を使って団体を探し出し(企業、国際組織など)、そこからプロジェクトの依頼を受けます。プロジェクトと言っても、学生身分のため出来ることは限られています。通常は、団体が「こういったことについて調査をして、proposalをしてください」と指示してくるので、各グループ調査を行い、12月に発表という流れのようです。例えば、Track3は環境問題を扱っているので、環境に関するプロジェクトを任されることが多いようです。 学生は少し社会勉強になり、団体は無料で調査結果が手に入る、ということ。

 調査は各自でやるので、毎週の授業というものは全く存在せず、この調査結果が単位に直接繋がるというわけです。どの団体とプロジェクトを行うのか、誰とグループを組むのかによって、この「授業」に対する印象が変わるようです。と、この授業に関する大まかな説明を受けたばかり。今は、まだそのプロジェクトの依頼待ち(いくつかの団体からの説明は受けていますが)という感じです。既に依頼があった団体の中で、自分が興味あるのもいくつかありました。が、正式なグループを決めたりするのは今月末。自分の第一希望が通るとよいのですが。

2012年秋学期の授業:Course à pied [スイスでの学生生活]

 ジュネーブ大学は、学生のために色々なスポーツの授業を用意してくれています。本当に色々なスポーツがあります(ロッククライミング、合気道そしてもちろんスキー)。私の大学院からも色々スポーツを取っている人が居ますが、人気はやはりヨガ、ズンバ、エアロビックスなど健康志向のものです(学生の割合は女子の方が少し多いので)。私も久しぶりにバスケットボールまたは水泳を始めようか迷ったのですが、時間割の都合上断念。去年もやっていたランニングの授業を取ることにしました。初級、中級、上級とレベルが分かれているのですが、唯一時間割が合う中級のクラスに参加。練習時間も1時間ちょっとと少ないのですが、ジュネーブ市街から少しだけ郊外に出るので良い気分転換になっています。学校からバスで40分ほどの陸上競技場で練習です。ちょうど授業がない日なので、図書館で勉強してそのままバスに乗って陸上競技場に向かいます。ジュネーブ市は小さいのですが、バスに40分近く揺られていると、「ジュネーブも思ったほど小さくはないかな?」と考え直します。

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(練習している競技場です)
 フランスに居ても、毎回驚いたのですが、立派なスポーツ施設を一般市民でも自由に使えること。私が中学の頃は陸上競技大会をやるのに、近場の400m屋外競技場を使っていました。市内にあるということで、この場所を使うのに、中学校間でもかなり熾烈な抽選会が開かれていたようです(そのためある年は雨が降りやすい6月、ある年は10月と毎回開催時期が異なっていました)。それが、こっちでは陸上を始めたばかりの子供向けの小さな大会でも、立派な400mトラックがある競技場が会場となっています。これはジュネーブでも同じ。400mの競技場が自由に使えます。更衣室も一般公開となっていて、誰でも自由に出入りしています。私が参加している授業、金曜の12時15分からなのですが、この時間帯は社会人がとにかく多いです。スーツを着てハイヒールを履いた女性があっという間にジャージに着替えて、トラックを黙々と走っていたりします。会社の昼休みを利用して走っているのか、と色々不思議に思ってしまいますが。

 金曜という時間帯か、授業に参加している学生は常に10人以下。出席を取るわけでもないので、かなりのんびりした雰囲気です。今学期の目標は、12月1日に行われるEscaladeというお祭りの中で行われる大会。この大会、4.8kmを女子は走ります。年齢も18歳以上と広い区分なので、たくさんの人が参加するようです。私の目下の心配は、転ばないで走り終えることが出来るのか。色々な人から話を聞くと、とにかく参加者が多いとのこと(そのため、今年から2日日程になったのだとか)。スタート地点で転び、完走出来なかった人も多いようです。

 その大会があることは聞いていたので、週1の練習では足りない、と思い、個人練習もやっています。個人練習と言っても、日曜、村の近辺を走るだけ。自然は多いので、幸いランニングコースはたくさんあります。村で特に娯楽がないので、週末走っている人は多く居ます。乗馬をしている金持ちの子弟もいるので、週末の道は車より、ランナーや馬の方の通行が多くなります。

2012年秋学期の授業: Les migrations : une question de genre ? [スイスでの学生生活]

 厳密に言うと、登録している授業ではありません。日本語に訳すと「移民:ジェンダーにかかわる問題か?」という授業名になります。ジュネーブ大学の経済学社会科学部の修士課程(経済社会科学学科とジェンダー学科の共催)がやっている授業です。この学部の修士課程の学生がほとんどですが、一般公開となっているので教授など、色々な人が聴講しています。というわけで、私も一般参加者として毎週講演を聴きに行っています。単位になるわけではないのですが、自分の興味がある話題なので参加しています。フランス語で行われるので、フランス語で講義を受ける良い機会にもなっています。

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(講義が行われるジュネーブ大学の建物内)
 この授業、一般公開ということもあって、講演会のような形になっています。毎回異なるスピーカーがやってきて、移民というトピックについて各自の専門分野を語ってくれます。一応ジェンダー学科の授業でもあるので、男女の移民の違いを話す人が多いのですが、色々なところから専門家がやってくるので、「無理矢理」男女の違いに結びつけて話している人も居ますが、面白いです。

 前回は、ジュネーブの総合病院からお医者さんがやってきました。この病院には外国人専門、特に亡命希望者、不法移民を診る部門があるようで、そこでの経験、仕事内容を話してくれました。病気のおかげでジュネーブに長く滞在できるようになった人、病気のせいで強制帰国させられる人など色々なケースがあるようです。

 前回の講演者はかなり特殊なケースだったのですが、ほとんどのスピーカーは教授や研究者。スペイン、フランス、など各国から教授がやってきて話をしてくれます。このクラスの良い点でもあり、悪い点でもあるのですが、毎回の授業でテーマが変わるということです。広く浅く、という感じで、「もっと知りたい」と思う講義が何度かありますが、次回は別のテーマ、と次々に新しいテーマに移ります。しかし「移民」というテーマからここまで、研究テーマを広げることが出来るのか!と毎回感心してしまいます。講師はほとんどの場合、教授か研究者なので、研究とはどういう物かというものを体現してくれています(なぜこのテーマを選んだのか、など定番で説明してくれる)。そして、この研究テーマがどういったものなのかを知る、というのも自分が授業に参加している大きな理由の一つ。自分も1年後には、卒論を書く身。来学期末には卒論を見てもらえる教授を見つけ、夏には暫定の卒論テーマを提出しなくてはなりません。学部時代は卒論の単位を別の授業で補ったため、卒論を書くのはこれが初めて。どうやってテーマを決めるのか、ということもよく知りません(ゼミには少しだけ参加したので、卒論を書く大体の流れを見たことはありますが)。そのため、この講演式の授業を受けることでヒントを探しているところです。
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