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ラマダーン [勉強]

 今週からラマダーンが始まりました。イスラム教徒の宗教行事、断食のことです。ウィキペディアによると、今年は8月7日まで続きます。イースターのように、年によって移動する行事です。

 今週まで働いていた大学の事務所内でも、イスラム教徒の人が居て断食していました。彼女も私たちと同じように昼休みを取りますが、一緒に座って私たちが食べるのを見ているだけ。食いしん坊の私、どうやって我慢できるのか不思議でなりませんでした。が、小さい頃からやっている習慣だから、それほど辛いことではないのだとか。初日はやっぱりキツいけれど、慣れてくるとその生活リズムが苦になることはないそうです。

 また断食と言っても、全く食べないわけではありません。日が沈むと、ご飯を食べることが出来ます。日中の空腹を満たすため、晩餐のような食事が毎日のように続くそうです。そのため、ラマダン中、逆に太る人も多いのだとか。子供など時間に融通の聞く人は、この晩餐に合わせて生活リズムを変えるそうです。というのも、日が沈んでからずっと起きていてたくさん食べ(つまり徹夜)、日が昇りだす4時頃就寝。日中は睡眠に費やし、15時ごろ起きて、日が沈む19時~20時頃まで待つというわけです。これなら、4~5時間ほど我慢すればよいだけ。もちろん、この方法、仕事がある人は使えませんが。

 街の中を歩いていても、イスラム教徒がやっている店(コンビニのような)はラマダーン中ガラガラです。たまに入店するのは観光客のみです。

 2年前パリに来る時、エティハド(Etihad)航空を使いました。成田からアブダビ空港経由で、パリへ向かいました。安い運賃だったため、アブダビ空港で10時間近く待ちました。アブダビを「通過」するだけなので、預けた荷物はそのままパリへ、厳しい保安検査もなく、かなり暇でした。ウィンドーショッピングもしましたが、どこの店も似たような物しか置いてなくて、すぐに飽きてしまいました。そこで、空港の安いコーヒーショップに入りました。早朝7時頃から9時近くまでその店に居たのですが、観光客以外ほとんど入ってきませんでした。もちろん、空港なので客の大半は外国人です。が、早朝といえば、現地スタッフがコーヒーを飲んでいてもおかしくはないはず。一体空港で働く現地の人はどこでコーヒーを飲んでいるのか、とちょっと気になりました。今にして思えば、自分が行った時はちょうどラマダーンと重なっていたのでした。そのため、現地の人が店でコーヒーを飲んでいないのは当たり前でした。
(アブダビ空港にあったラクダの置物)
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企画係 [勉強]

 前回紹介した本を読んでいて、Benjaminの悲劇に笑いながら、自分の経験も少し思い出しました。飲み会を企画した時だったのですが、最後までトラブル続きでした。

 学部時代、フランス語のゼミで「フランス語ネットワーク」なるものを教授と一緒に立ち上げました。学部内でフランス語に興味がある人誰でも参加出来る、というものです。知らない新入生、2・3年生に会うことが出来ました。学部の人数も多いので、大学で見たことのない人も多く居ました。そのため、色々大変だったのですが、メンバーに恵まれて、今振り返ると楽しかったです。そして学期最後の飲み会を私が企画しました。高田馬場でやったので、居酒屋を見つけるのには苦労しませんでした。が、予約から苦労しました。事前に参加を申し込んだのは20人、その人数を居酒屋に連絡します。が、その後7人近くが「追加で参加出来る?」と連絡してきて、店に更に予約追加(ちなみに「時間厳守」という言葉は存在しない学部でした)。店の方も受け入れてくれましたが「一番大きなテーブルを組み合わせて23人、4人はカウンター席になります」と言われてしまいました。

 そして当日、「風邪で休みます」という連絡が2人から入りました(集合時間10分前)。そのまま店に向かい、キャンセルの連絡をしますが、「大人数のため料理はもう人数分用意してあります」と言われ、支払いは27人分ということでした。何とか23人座らせ、私はもう一人の企画係と二人でカウンター席。「企画って難しいよね」という話を二人でしていました。ラッキーだったのは4人分の料理をカウンター席の私たちに出してくれたこと。2人欠席だったので、その2人分は私たちが食べました。飲み放題で3000円だったので、ご飯はあまり出ませんでした。そのため、飲まない私ともう一人の子で、「企画したご褒美」ということで4人分を食べました。

 カウンター席で盛り上がっている人達から少し離れて、2人で話をしていると、教授がやってきて今日の企画のお礼をしてくれました(企画、というほど大がかりなことはしませんでしたが。単なるまとめ役、でしょうか)。その時に、「まとめ役って難しいよね。何事も上手くいっている時は、全く表に出ない。何か問題が起きた途端前に出なくてはならない。今日は表に出てない、つまり全てが上手くいっている」と教授が言ってくれました。変わった褒め言葉だったので、今でも印象に残っています。この飲み会が終わった後も、後払いの子が約束の日に現れなかったりして、少し苦労したのですが、表舞台に出ることなく、無事に終了しました。

 Pennacの本を読みながら、この教授のセリフを思い出してしまいました。Bejaminも店内放送でクレームのため、呼び出されるまでは「見えない」存在。が、一度呼び出される(=表舞台に出る)と批判の嵐に遭うというわけです。私の場合、もう一人の企画係が協力してくれたので、大きな事もなく終わりました。今ではこの「ハプニング続きの飲み会」も笑い話となっています。

 大学4年の妹も、「企画係」をやっていました。ハプニングの話を聞いたことはないのですが、どんな感じでやっていたのかちょっと気になりました。

国旗の話 [勉強]

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 南フランスのリゾート地旅行計画(フランスに来ている高校生のために)を練っている途中、色々モナコについて少し勉強することが出来ました。その中で印象に残っているのは国旗。モナコの国旗は、上の画像です。

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 この国旗を見て、別の国旗を思い出した人はお見事。上の画像が、そのインドネシアの国旗。ウィキペディアで見てみると、同じようにしか見えません。が、両者の発言によると縦、横の比率が異なるのだとか。インドネシアは2 :3、モナコ公国は4 :5となっているそうです。同じウィキペディアから国旗を借りてきましたが、確かに少し大きさが違います。旗が持つ意味は各国違います。

 モナコは公国というだけあって、モナコの王族の始まりであるGrimaldi家の紋章から来ています。紋章は赤と白の菱形が使われています。その色を元に、国旗を定めたようです。そしてインドネシアの国旗は赤と白にそれぞれ別の意味を持たせています。赤が血を表し、人間の体を意味します。白が人間の精神を表し、赤と白が合わさって完全な「人間」となるわけです。日本、スイスも赤と白を国旗に使っていますが、別の意味になっています

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 なぜ、いきなり国旗の話を始めたのか。それはLe camp de Millesへ行った時に、「さすがフランス、国旗好きだな」と思ったからです。記念館の見学を終え、良い歴史の勉強になった、と記念館を後にして、別の展示場所へ。アウシュビッツ収容所へ向かう車両は記念館の外に展示されているからです。この車両へ向かう途中、ドーンとフランス国旗が立てられていました。ずいぶんと変な場所に国旗を立てるのだな、と思い、車両が展示されている場所へ。

 そこから記念館を見てみて納得。この場所から記念館を見ると、ちょうどフランス国旗が記念館の風景に入るようになっています。電信柱が少し邪魔ですが、国旗の位置は完璧。この位置から記念館を見ると、必ず記念館を背に国旗が構図に入るようになっています。もちろんこれは偶然ではなく、しっかり計算されていると私は確信していますが。

 蛇足ですが、フランスの国旗は1789年の革命後に制定。パリの革命集会で、当時のパリの旗であった赤と青に、ルイ16世が王家のシンボルである白を加えたのが国旗の始まり。「他のヨーロッパ諸国の国旗のモデルになった」と書かれていました(フランス語のページにて)。何事も始めるのが好きなフランスの立場として(EU、主要国首脳会議、オリンピック、これらを始めたのはフランス)、ちょっと都合が良すぎるのでは、ともう少し調べてみました。私が思いつく、縦3色のヨーロッパ諸国の国旗(ベルギー、アイルランド、イタリア)の始まりを調べてみました。3ヶ国全てフランス革命後に制定されていました。アフリカ諸国にもたくさん縦3色の国旗がありますが、これもフランスの影響と言ってよいと思います。さすが「他国に自分をどう見せるか」気を使うフランスだと思いました。

Le camp de Milles 感想 [勉強]

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 さて、私がこの記念館を訪れたのは平日。私が行った時、館内に居たのはたったの7人。ゆっくり見て回ることが出来ました。自分一人で展示を見ている時も多く、少し怖かったりもしました。

 特に館内の大半、当時のままの姿で残しています。収容されていた人達がどんな場所で寝ていたのか、どんな場所で大半の時間を過ごしたのか、またアウシュビッツ行きの列車がやってきた時に子供達が隠れていた場所など、かなり細かく見て行くことが出来ます。まだ工事中の場所が多く、良くも悪くも表示が見づらくなっています。当時の様子がよく見られるという意味において、表示が見えづらい(つまりそのままの状態に近い)のは良いのですが、一人で見ているとかなり怖いです。館内の電気も最低限になっており、外からの寒い空気が入ってきて、収容されていた人達はこれ以上寒い思いをしていたのかな、と色々考えてしまいました。暗い館内に一人で居る時間が長くなればなるほど、怖くなってきました。正直、話し声が聞こえてきた時は、自分の怖さも限界に近づき、別の展示ブースに移りました。後に、自分の後ろから来ていた別の見学者だと判明したのですが、気付くのに少し時間がかかりました。

 戦争で色々壊れた部分もあったようですが、必要最低限直して、当時の様子に近い状態で展示しているというのが第一印象です。当時の写真を見ても、今でも残っている部分というのがはっきりと識別出来るほどでした。

 資金難であることは、かなり明確でした。実際値段を見てみると、大人が9.5€、学生が7.5€となっていました。珍しく18歳以下無料の特典もありません。文化的施設でこういった値段設定は珍しいため、資金調達が難しいのかな、と思いました。展示の資料もかなり豊富で、また当時の収容所が細かく見ることが出来たため、私はこの料金にかなり満足でした。この日の午後は地元の中学生(または高校生。年齢を判断するのが難しかった)が来ていました。歴史の授業の一環で来ているのだと思います。こういった場所が忘れ去られることなく、続いていってほしいと強く感じました。

Le camp de Milles 概要 [勉強]

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 Aix-en-Provenceで歴史の勉強も少ししておこう、と戦時中収容所だった場所へ行ってきました(今は記念館)。MillesというAix-en-Provence中心街からバスで20分ほどの郊外にある収容所です。

 元々は工場だったのですが、1939〜1942年は収容所として使われ、戦争の記憶を残すため、と2012年から記念館として開館。今月11日からは工事のため1ヶ月近く閉まってしまうため、その直前に行くことが出来て幸運でした。

 たった3年間ですが、この収容所、様々な囚人を閉じ込めておいた場所でした。記念館では、この3年間を収容されていた囚人によって、3つの時期に分けて説明されていました。

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(アウシュビッツ収容所へ送り込むに使われていた車両)
 第一時期(1939年9月~1940年6月)までは、「敵」を収容していた場所。フランスにとっての敵、つまりドイツ側の敵を収容していました。が、ヒットラーがフランスに着き、「ヴィシー政権」(ドイツ寄りの南フランス政府)が誕生すると、この場所は「好ましくない相手」を収容する場所に早変わり。ここで、「好ましくない相手」というのはドイツから見ての人達。もちろんユダヤ系ということになります。これが第二時期(1940年7月~1942年9月)。この時期はユダヤ系の人を収容しているだけだったのですが、一気に状況は悪化。すぐにアウシュビッツへ送りこむための、「中継地点」になります。つまり、フランス各地にいるユダヤ人、ユダヤ系フランス人をこの場所に集め、鉄道を使ってアウシュビッツ収容所へ送っていたというわけです。これが第三時期(1942年8月~9月)。実際、アウシュビッツ収容所へ送るのに使っていた列車(と呼べるのか分かりませんが)も展示されていました。

 記念館に入ると、この3つの時期の説明があります。「敵」や「好ましくない相手」というのは、見方によって変わるということも強く実感しました。が、それ以上になんと皮肉な場所に収容所を作ったものだ、と思いました。Aix-en-ProvenceはMarseilleなど港からも近い場所。こういった近くの港からは迫害を逃れるために、たくさんのユダヤ人が他国(主にアメリカ)へ逃げていったと聞きます。つまり「自由へ近づく」ための場所であったわけです。そういった港の近くにあるCamp de Milleは皮肉にもそういった人達を収容する「自由から遠ざかる」場所であったわけです。

 そして1980年近くまで、この場所は忘れ去れたままになっていました。1980年ごろからフランスにいるユダヤ系の人を中心にこの場所を記念館として再生しようという動きが始まります。が、フランスにとって誇るべき歴史的場所ではないため、なかなか思うように物事は運ばなかったよう。30年の時を経て、ようやく昨年夏に記念館がオープン。まだ工事中の場所が多かったり、トイレが男女共用だったりするところを見ると、資金難が続いているようです。

 この記念館、3つの時期の当時の様子、証言などが展示されていました。印象に残っているのは、「発展」部分の展示。ユダヤ人大虐殺に関連して、なぜこういった大虐殺が起こるのか社会的心理学の点から詳しく説明されていました。人間の心理という点から分析するところは、さすが哲学の国フランスだと思いました。たまたまこの記念館へ行く数日前、「暴力の溢れるテレビ」とかいうドキュメンタリーを見たばかりだったので、この展示はとても興味深かったです。ドキュメンタリーはあくまでも暴力に焦点が置かれていたため、「ミルグラム実験」(人間は閉鎖的な環境で権力に従う)を現代のフランスで行い、どれほど人間が暴力に「魅せられているか」ということを説明していました。が、この記念館内の展示では、あくまでもこの実験自体に焦点が当てられていました。つまり、人間の権力に従う心理がどうやって大虐殺まで発展していくかを、様々な社会実験の結果を使って説明していました。何があったのか、という過去の事実を紹介していくだけでなく、どういったプロセス(特に人間の心理)で行われたのか、説明しようとしているところが一番興味深かったです。

本 その1 [勉強]

 普段はケチな生活をしている自分ですが、勉強に関しては、出し惜しみはしない(つもりです)。学校の図書館で本が貸し出し中の場合、特に英語の本は、他の図書館でもほとんど置いていません。そのため、自分で購入することになります。また自分の趣味のために本を頻繁に購入します。冬休みに入ったので、色々本を読もうと思っているので、今回は本の話題です。

 フランスでは、種類にもよりますが、手頃な値段で手に入れることの出来る本もあります。また幸運にも、Amazonのゴールド会員でなくてもパリ在住であれば送料無料なので、色々Amazonで本を買っています。例えば、私が冬休み中の課題図書に選んだのがこの本。
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 父が色々良い格言をこの作家(ナポレオン・ヒル)から引用していたので、興味を持ち、調べて買ってみました。結構古い本なので3ユーロほどで手に入れることが出来ました。まだ最初の数ページしか読んでいませんが、成功談が綴られているので早く読めそうです。

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 友人のクリスマスプレゼントにも本を選びました。フランスでも有名な村上春樹です。短編集の1作品しかフランス語訳で読んだことがないので、はっきりした感覚は分かりませんが、フランス人の間では人気です。私がプレゼントに選んだのはこの2作品。左が「めくらやなぎと眠る女」、右が「ノルウェーの森」です。「めくらやなぎと眠る女」は春休み、札幌に戻った時に読みました。最初は英語で出版されたらしく、それを日本語に「訳した」短編集です。個人的には「ノルウェーの森」より気に入っています。また、面白いなあと思ったのはタイトル。「めくらやなぎと眠る女」はそのまま訳されているのですが、なぜか「ノルウェーの森」は「不可能のバラード」というタイトルになっています。

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 冬休み後半はヨーロッパを巡る旅に出る予定なので、ガイドブックも買いました。2泊以上するロンドンとプラハのガイドブックを買いました。 プラハの方は黄色の縁取りで有名なNational Geographicが出版しているので細かく説明が載っています。フランス語の良い勉強になります。

 これはフランスで色々本屋を巡って思ったのですが、本の中に文字が多いです。本なので当たり前、と言われそうですが、日本のガイドブックやコンピュータなどのハウツー本(「初心者でも○○」とか「×ステップで出来る△△」というタイトルが付いた本)はカラフルで色々イラストもついていると思います。私も一度パワーポイントの使い方を学ぶため、こういった本を買ったことがありますが、コンピュータの画面が本に印刷されていたので、分かりやすかったです。しかし、こちらではほとんど文章。さきほどのロンドンのガイドブックは地図以外文章です。またこちらでハウツー本というと、すぐにイメージされるのが「Pour les nuls」シリーズです。
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 アメリカの「For Dummies」シリーズのフランス語版です。これも中を見てみるとイラストはほとんどなく、文章で全てが説明されています。コンピュータの使い方はイラストがあった方が分かりやすいのではないか、と個人的には思うのですが。

 このように色々本を見て回るのが好きな私ですが、2012年から本が値上がりしそうです。なぜなら本に対する消費税が上がるからです。次回はその話について書きたいと思います。

Mon Journal Offert [勉強]

 日本は他国と比べて、新聞購読者数が多いようですが、フランス、少なくともパリは負けてはいないような印象を受けます。カフェの文化があるからなのか、他の国に比べると新聞を読む人は多いです。メトロ、バス、カフェ、一人でいる人はたいてい新聞を読んでいます。

 私も一人でいることが多いので、新聞はかなり読みます。どちらかと言うとアナログの人間なので、紙の新聞を読むようにしています。学生に優しいフランス、無料で色々な新聞を読むことができます。今回は私の知っているフランスの新聞事情について書いていきたいと思います。

 一般的に、新聞はキヨスクで買います。またはインターネットで「購読」するという方法もあります。一定料金(月15ユーロぐらい)払うとメールで新聞が送られてくるという仕組みです。日本のように新聞を宅配してくれるサービスもあるようですが、かなりまれです。

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 まず、シアンスポ(パリ政治学院)では無料で新聞を配っています(新聞の上に「見本版」と書かれている日と、料金が書いてある日があるので学校と新聞社の折半で成り立っているシステムのような気がします)。写真を見ると分かりますが、テーブルの上にドーンと新聞が載っています。早稲田大学でもWall Street Journalが無料で配布されていましたが、種類はこちらの方が多いです。

 Les Echos(日本経済新聞のような感じ)、L’Equipe(スポーツ紙)、 Le Figaro(中道右派、右派。購読者数は多いけれど、色々批判を受けるので、日本でいう朝日新聞のような感じ)、 Le Monde(世界的によく知られているフランスの新聞)、 Libération(中道左派。シアンスポではかなり人気)、Wall Street Journalなど色々な新聞が提供されています。一番人気はもちろん、(インテリが読む新聞だとからかわれる) Le Mondeです。

 学校が開く7時45分を10分過ぎると、既に無くなっています。私は火、水、木に8時開始の授業があるので、この3日間はLe Monde をゲットすることが出来ています。この新聞「国際面」が充実しています。日本の話題もたまに出ますが、たいていはオリンパスの話です。

 それ以外の日は、図書館が開く9時に学校へ行くので、Le Figaroを読んでいます。構成が好きで、一番読む新聞かもしれません。一緒に住んでいるおばあちゃんもLe Figaroを買っているので、学校で新聞をゲット出来なかった時は借りて読んだりしています。

 またフランスにはMon Journal Offertというシステムがあります。直訳すると「提供された私の新聞」というサービスです。若者の新聞離れを食い止めようと、フランスの文部科学省のようなところが、若者に対して無料で新聞を配達してくれるというものです。地方紙から全国紙まで約50の日刊紙から自分の好きなものを選ぶと、週1度自宅に届けてくれるのです。

 ただ発行した日に配達はしてくれないので、1日の時差が出来るのですが(例えば日曜の新聞が月曜に届く、と言った具合です)。フランス在住の18〜24歳までなら、誰でもこのサービスを受ける権利があります。

 ただ、1年限りで翌年に更新、ということは出来ません。せっかくフランスに1年いるのだから、と私も応募してみました。色々迷った末に選んだのはLe Parisienと言うパリの地方紙です。シアンスポの教授が「パリに居て、パリのことを知りたいならこの新聞がよい」と言っていたのを思い出し、応募してみました。Le FigaroやLe Mondeと比べると、庶民的な内容が多いですが。

 応募者が多いらしく、手続きは知らされていたより長くかかりました。10月中旬に応募し、2〜3週間で新聞が届く、と言われていたのですが、実際に受け取ったのは先週。本当に手続きが行われているのか少し心配になりましたが、無事に受け取ることが出来て良かったです!
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新聞記事比較 [勉強]

 初の試み、新聞記事比較をこのブログでやってみたいと思います(こちらの授業では時々やるのですが)。もちろんテーマは、今話題のG20。フランスは開催国ということもあって、またこの会議で扱われるトピックがEUの経済だったので、毎日のようにニュースで取り上げられていました。日本では、日本のことが中心に取り上げられていたようですが、こちらでは全く取り上げられませんでした。映像として写るのも、サルコジ大統領、メルケル首相、パパンドレウ首相、オバマ大統領のみでした。

 今回比較するのは、昨日または今日(2011年11月4、5日)の新聞ネット記事です。昨日、仏米大統領の共同インタビューがフランスのテレビで放映されたので、その話題で持ちきりでした。今朝、フランスの記事(全国紙2紙)とアメリカの記事(1紙)で読んだのですが、同じ話題でもとらえ方がずいぶん異なりました。

 まずはLe Figaro。フランスで一番古い全国紙です。トップで昨夜の仏米大統領のインタビューを報道しています。タイトルは「サルコジとオバマ、混乱の中団結」(※ブログ著者訳)です。記事の写真はこのような感じです。
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 内容としては、仏米の信頼関係を強調した記事になっています。オバマ大統領が仏独の協力体制、フランスのリーダーシップを評価しているコメントが載せられ、それと同時にフランスも「アメリカの注意深い態度」を評価しているとのこと。アメリカの大統領がフランスのテレビに出るのが希なことなども書かれ、お互いを信頼し、高評価している印象を強調した新聞記事となっていました。

 次はLe Monde。日本でも有名な新聞だと思います。フランス語学習者が最初に読む新聞だと思いますが、こちらでは「インテリが読む新聞」と見なされ、大衆の間ではあまり好印象ではないようです(値段もFigaroに比べて10セント高い)。こちらの記事の写真はこのような感じ。タイトルは「オバマ、サルコジにはプレゼント、ヨーロッパには無し」(※ブログ著者訳)
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 内容はLe Figaroと似ているのですが、Le Mondeは同じ話題で、ヨーロッパについても述べています。Le Figaro同様、仏米の信頼関係を強調しています。ヨーロッパ経済については「ヨーロッパの経済を支援するためにも、まずアメリカの経済を立て直す」と述べるにとどまっています。しかし、フランスに関しては評価するコメントをインタビューで残したことが伝えられています。タイトルの「プレゼント」はアメリカからの「評価」ということだと思います。

 この両紙、論調にかなり違いがあるのですが(Le Figaroは中道右派もしくは右、Le Mondeは中道左派または穏健派)、この話題に関しては共通していて、仏米の協力体制が確認できたという結論になっています。

 最後に、アメリカの新聞、New York Times。アメリカの全国紙です。国際教養学部で取っていた授業内でよく使われていました。そのため、私がよく読むアメリカの新聞です。タイトルは「正反対の人物、当惑しながらでもオバマとサルコジ、(お互い)魅了(し合う)」(※ブログ著者訳)
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 記事で、インタビューについてはほとんど触れていませんが、仏米の関係を書いています。ここ最近の仏米関係を挙げ、あまり上手くいっていない状況が記事から読み取ることが出来ます。リビア介入、サルコジ大統領が就任後すぐにはワシントンに招待されなかったことなどです。お互いが対立し合うのは、方向性の違い、例えばパレスチナの国連加盟など(フランスはUNESCO加入支持、アメリカは反対)が理由だとしています。しかし、結論として、両者大統領選挙を2012年に控えているため、お互いが必要とし合っているということでした。オバマ大統領にとって、サルコジ大統領はEUに経済立て直しのプレッシャーを与えるために必要な存在。逆にサルコジ大統領にとっても、知名度の高いオバマ大統領との関係は重要。

 仏米の関係が多少は好転していることは書いているけれど、全体としてまだまだ意見の不一致があること、しかしお互いに必要な存在であると結論づけられています。

 3つの記事に共通しているのは、いくらか仏米関係が好転した点です。証拠に、3紙とも2トップが並んだ写真を載せています。Le Figaroはなぜか自国の大統領が小さく見えるような写真を掲載していますが。

 これら3つの記事を読んで面白いなあと思ったのは、選挙の扱いです。どの国でも、政治家は次の選挙に向けて活動しています。パリで取っている授業の中で、教授の一人が「アメリカはとにかく選挙。何でも選挙。どの事柄に対しても選挙を考えて行動している。パレスチナ問題も、自国のユダヤ系ロビーがどう反応し、それが2012年の選挙に向けて影響するか考えて、オバマ大統領は行動している」と言っていました。この教授の分析が、今回の新聞記事比較ではっきりと現れていると思います。フランスは単に仏米の関係を述べただけで、選挙については触れていません。サルコジ大統領が正式な出馬を表明していないから、ということもあると思います。しかしアメリカの記事では、「お互い(=オバマ大統領とサルコジ大統領)が再選に必要」という書き方をしていて、サルコジ大統領が既に大統領選の名簿に入っているような書き方をしていました。

 元々仲があまり良くない両国、歩み寄ったかのように見えますが、実際のところは方向性の違いで、対立が続くのではないかな、と思います。

参照記事
Le Figaro 4 Nov. 2011 [Paris] . Web. 5 Nov. 2011. . Le Monde 5 Nov. 2011 [Paris] . Web. 5 Nov. 2011. . The New York Times 4 Nov. 2011. Web. 5 Nov. 2011. .

牛乳の話 その2 [勉強]

「牛乳の話 その1」からの続きということで、今回は牛乳の保存方法について紹介していきたいと思います。日本で定番なのが、成分無調整、130℃で2秒殺菌するUHT(Ultra High Temperature、超高温減菌)という方法です。ほとんどの菌をこの方法で除去することが出来るのですが、完全ではないため賞味期限が10日ほどに設定されています。UHTは他の国にも存在するのですが、日本だけなぜか異なる基準を設けています(そのため、専門家の間では世界基準のUHTと区別するため、JUHTと呼ばれているようです)。携帯電話(日本のモデルはほとんど海外に出回っていない)、地デジ放送をDVDに録画したときにかかるコピー制御のCPRM、国内で2つある周波数などなど、牛乳に限らず日本にしかない仕組みが色々あります。このUHTもその1つです。逆に言うと、海外でUHTの殺菌を認められた牛乳であっても、日本では認められないということです。理由の1つが日本の酪農を守るためだと言われています。世界と同じUHTにすると、日本の牛乳より安く質の良い牛乳が大量に入ってきて、太刀打ちできない、ということらしいです。不思議です。

 よく知られている牛乳の殺菌方法は3つ。 LTLT(Low Temperature Long Time Pasteurization=低温保持殺菌) 、HTST (High Temperature Short Time Method Sterilization=高温短時間殺菌)とUHTです。最初の2つ はPasteurizationと呼ばれる方法で、フランスの微生物学者、ルイ・パスツールの名前から来ています。要するに熱して殺菌するやり方です。LTLTは低い温度で時間をかけて消毒をしていき、逆にHTSTは 高温で短時間熱して消毒するやり方です。両方とも今はほとんど使われていません。 なぜなら殺菌力が強いやり方があるからです。それがUHT、140〜150℃へ一気に温度を上げ2〜5秒間殺菌するやり方です。ヨーロッパ(イギリスを除いて)ではこのUHTが主流。もちろん高熱で熱するので、味が変わる、というデメリットもありますが。その味が好きだ、という人も居れば、飲み慣れていない人は「まずい」と感じるようです。私もフランスで牛乳を飲み始めた頃は、明らかに日本の牛乳と異なり苦労しました。しかし2ヶ月飲み続けていると慣れてくるもので、今ではおいしく飲んでいます。

 このUHTを施した牛乳は保存を目的としているので、賞味期限は2〜3ヶ月後、そして常温保存が可能、というわけです。牛乳は生もの=早く消費する、というイメージがある私は、なかなか受け入れづらかったですが。日本独自とは言え、日本でもUHT消毒なので、もう少し賞味期限を長く出来る、と考える人も多いと思います(私もこのブログを書くために色々調べる内に、強く感じるようになりました)。日本の牛乳が長期保存できない理由は、パッケージの違いです。日本だと牛乳は単純な紙パックです。こちらも紙パックまたはプラスチックですが、紙パック内に特殊なアルミ加工をしています。写真では少し見づらいですが。
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 科学的なことはちょっと分からないのですが、この特殊なアルミ加工をしているパックのおかげで、賞味期限が長くなるようです。日本でもこのアルミ加工のパックを使えば、牛乳を捨てる人も少なくなるのではないか、と素人ながらに思うのですが。我が家では牛乳を大量消費しますが、周りで牛乳を好んで飲む人は少ない気がします(特に同年代の女子)。健康のため、朝にコップ1杯という人が多いです。もちろん1リットルは多すぎるので、なるべく小さなパックで購入しているようです。それでも多すぎて、賞味期限が近づくと捨ててしまう人が多いようです。生ものなので、他の食べ物と比べ、より賞味期限に敏感にもなります。ではなぜ日本がこのアルミ加工をしているパックを使わないのか、またはもう少し保存に適したパックを使わないのか。それは謎のままです。不思議。

 「牛乳の話 その1」の補足説明として、フランスの牛乳消費についてもう少しかいていきたいと思います。前回紹介したように、3種類の牛乳が販売されているフランス、demi-écrémé(半脱脂乳)が一番売れています。日本でいう成分無調整(entier)の牛乳を飲まないのか、上に住んでいるホストブラザーに聞いてみると、「人生で成分無調整の牛乳なんか飲んだことない」と言われてしまいました。びっくり。「重い」感じがすると言われているようです。こんな会話をした翌日、成分無調整の牛乳を買ってきてくれました。これがフランスの成分無調整牛乳です。
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 飲んでみると、彼の言うとおり「重かった」です。濃厚、とでも言うのでしょうか。飲むのにかなり苦労しました。しかも、賞味期限の残りは後2日。2日で飲みきれないと判断し牛乳をたくさん使う、クレープを作ることにしました。濃厚な牛乳だけあって、出来上がりがいつもと異なりました。(小麦粉を少し入れすぎた、というのもあると思いますが)生地があまり液体状にならず、少し厚めのクレープでした。やはり他のフランス人同様、demi-écréméを飲み続けることにしました。蛇足ですが、この2種類以外にécrémé(脱脂乳)という牛乳もあります。文字通り脂肪分をカットした牛乳で、ダイエット中の人が飲む牛乳、という感じです。

牛乳の話 その1 [勉強]

 私が海外へ行くと必ず行く場所があります。スーパーマーケットです。現地の物が安く買えるという理由もありますが、日本にはないような物が売っていたり、現地の生活を色々見ることが出来るからです。フランスのスーパーは今でこそ、レジの長い列にも慣れ、生活の一部になってきました。それでも、最初に行ったときはとてもびっくりしました。なぜなら、牛乳が冷蔵で販売されていないからです。ちょっと疑問に思ったので、今回「なぜ牛乳を冷やさないで販売することが出来るのか」というテーマで調査をしてみました。

 チーズの国であるフランス、とにかく牛乳の種類が多いです! 日本だと、ブランドの違いぐらいしかありませんが、フランスでは、牛乳にも「種類」があるので、最初は困ってしまいました。市川に居る頃はブランドで(祖母の家に居候していたので、彼女の好みで)、自宅では産地で選んで牛乳を買っていました。高校を卒業するまで骨をあまり鍛えることが出来ないスポーツ、水泳をやっていたので(浮いているので、骨に刺激を与えることができないため)、毎食牛乳を飲んでいました。そのため、牛乳に関してはかなり舌が肥えている方だと思います。いつも買っているサロベツ牛乳と異なるものを飲むと、すぐに違いが分かります。そのため、フランスに来た頃は牛乳の味になかなか慣れず、試行錯誤の日が続きました。

 先ほども書いたように、とにかく牛乳の種類が多いフランス。一番多く売られていたのが、demi-écréméと呼ばれているものです。パリに着いて初めて行ったスーパーでこの牛乳を買おうとしたのですが、意味が分からず辞書を引く羽目になりました。日本語では「半脱脂乳」と訳されていました。これもよく意味が分からないので、更に国語辞書を引くことにしました。「半脱脂乳」は辞書にありませんでしたが、「脱脂乳」は載っていました。スキムミルク、とのことでした。スキムミルクだったら、牛乳ではないだろう、と感じ、ますます分からなくなりました。いずれにせよ「半」であれば、中くらいであり、味の外れもないだろう、とdemi-écréméを買うことにしました。最初はやはり、「なんだ、この味は?」と思ったのですが、今では慣れてきました。今購入している牛乳がこちら。
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 慣れてきたので、今ではまとめ買いをするようになりました。6本セットでドーンと売っていますが、1本ずつ買うことも出来ます。1リットル0.8ユーロほどです。しかし、めんどくさがり屋の私は6本まとめていつも買っています。賞味期限は2ヶ月ほどです。私が10月に買った牛乳の賞味期限は12月24日。冷やしてもいないのに、こんなに長く持つのです。スーパーでは牛乳のほとんどが、冷蔵されていない状態で販売されています。
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 一体なぜでしょうか。それは保存方法の違いからでした。この保存方法についてはまた次回。