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A Time to Kill (by John Grisham:1989) [読書’15]

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 同タイトルで映画(邦題は「評決のとき」)も公開されている作品です。2ヶ月ほど前、アメリカ人の友人がロースクールへの進学が決まり、一緒にご飯を食べました。彼女は弁護士になるつもりは今のところないようですが、「弁護士って具体的にどんな仕事をするのか」と彼女と話をしながら疑問に思いました。弁護士の仕事を知るため、手軽に読めそうな法廷サスペンスを検索したところ、この作品が出てきました。

 ミシシッピ州(南部の州)で、13歳の黒人少女が白人主義者の若者2人に強姦され、その若者達を少女の父親が銃殺。その父親を(白人の)弁護士が弁護するというストーリーです。時代について明確な描写はありませんが、KKKが当たり前のように登場してくるので、戦後で1960年よりは前という感じでしょうか。私は最初の数章で、父親に肩入れしているので、「ひどい!」と思いながら読んでいました。通常の「正義」が通用しないこの州で、どう弁護していくのかという、弁護士の準備段階が細かく描かれています。父親を弁護するのだから、彼の経歴や銃殺が行った状況などを詳しく弁護士が調べていくものだと私は思っていました。しかし、彼自身についてはほどんど調査しません。なぜならこの裁判で鍵を握るのは、陪審員制度。一般市民が有罪か無罪かという重要な判断を下します。この作家、元弁護士ということだけあって、ミシシッピ州の陪審員制度について詳しく描かれています。実際の法廷に登場するのは5〜6人ほどの陪審員ですが、そのリストに挙げられる人、リストに入れられる可能性がある人、といくつかの選考過程があります。被告人以上に、この陪審員候補に対する素性チェックを、弁護士は細かく行っていました。読んでいても、誰の裁判か忘れてしまいそうなほど、陪審員候補について調べていきます。本の返却日ギリギリまでかかって読みましたが、飽きませんでした。特に最後の法廷シーンは、説得力のある話し方というのは、こういうことか、と再認識出来るものです。映像化された作品ということで、映画はどのような感じになっているのか、一度見てみたいと思いました。
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tommy88

ジョン・グリシャム原作では、『ファーム』はトム・クルーズ主演の法律事務所がらみではあったが、サスペンスものではないかな。コイツが犯人だ、あ、危ない! って感じの映画でした。 『ペリカン文書』はジュリア・ロバーツ出世作、ママもお気に入りの映画だと思う。デンゼル・ワシントンもまだ禿げてはいなかった。そして『評決のとき』だけど、私は検察役のケビン・スペイシーが光ったと思う。サンドラ・ブロックは初々しいけれど、癖がありすぎる。サミュエル・L・ジャクソンは十分にいいハマリ役だった。アメリカは怖いなと思う映画であり、結局はこの映画も、誰にでもある人種差別を再確認する、自覚の表明だったのでしょう。KKKは怖いと思うよ。
by tommy88 (2015-08-16 05:57) 

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