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恋に落ちて(アンソロジー/村上 春樹訳:2013) [読書’15]

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 先月、村上春樹が翻訳した本を読み、結構気に入ったので、別の翻訳作品も読んでみることにしました。父が以前読んでいた、とこの本を思い出し、図書館で借りてきました。

 ダントツで気に入ったのは「愛する二人に代わって」でした。本の最初に出てきた作品でしたが、最後まで印象に残っていました。個人的に、この作品を越えるものは残念ながらこの本にはありませんでした。ストーリーは衝撃的、というほどではないのですが、アメリカの9.11後という時代背景、代理結婚というシステムを上手くストーリーに組み込んだ話だと思いました。また、映画にしても面白い作品だろうな、と思いました。心理的駆け引きというよりは、二人が代理人として市役所で結婚式を挙げる、という図式がこのストーリーで重要なので、映像化出来そうな作品だと私は思いました。

 また、この本の最後に入っていた「恋するザムザ」は、英語と日本語の両方で読んでみたので、表現という点で面白かったです。長編だと時間がかかってしまうので、このようなことはしないのですが、短編なので両言語で読んでみようと思ったのでした。最初に英語で読んだので、日本語で読む際は、各登場人物の雰囲気が既に出来上がっていました。改めて日本語で読んでみると、ちょっと雰囲気が違っていてびっくりしました。特に女の子のしゃべり方が、思っていた以上にばっさり(でもきつい感じはしない)としていました。読み方が甘かったかな、と最初は思ったのですが、この差は語尾からでした。多分、英語で雰囲気の違いを出すとなると、本の世界では語彙で変化をつけるしかないと思います。しかし、日本語には語尾を変えるという便利な表現方法があるので、ちょっと語尾を変えるだけで雰囲気に違いが出ます。同じ女の子でも、「〜だろう」というのと「〜でしょ」では大きく印象が異なります。そのため、英語版を読んでいて私が想像していた女の子の感じと日本語の感じが異なったのだと思います。

 アンソロジーということで、色々な作家の作品が入っています。そのため、良いと思った作品とそうではない作品とかなり大きな差が出た気がします。この本を読んで1ヶ月ほど経つのですが、上記に挙げた2作品以外、あまりストーリーを覚えていません。これがアンソロジーという分野なのでしょうか。
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tommy88

えっ? この程度なの? と思ってしまう。
目利きとして目が肥えたからか。
人生経験が豊富だからか。
あるいはオレが書くべきなのか。
少なくとも、成長は感じている自分。
大絶賛するほどの内容は、ナイヨー、という本でした。
竹久夢二の絵に誘われて持ってきてしまったのでした。
by tommy88 (2015-06-23 04:47) 

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