SSブログ

Novel 11, Book 18(by ダーグ・ソールスター:1992) [読書’15]

1187.jpg
 ノルウェイの作家の作品です。書かれたのは20年近く前、今年翻訳されたものです。ノルウェイの作家は誰一人知らないのですが、先月この本の翻訳が出たので読んでみることにしました。その翻訳をしたのが、村上春樹です。彼が期間限定でやっているホームページにて、この本が宣伝されていたのでした。しばらく彼の(翻訳)作品を読んでいないので、久しぶりに読んでみるか、と早速図書館で注文してもらいました。

 4月に発売されたばかりだったので、まだ図書館も購入していなかったようです。そのため、購入してすぐ私の手元にやってきました。誰もまだ読んでいない本を開くというのはとても気持ちいいものです。新しい本を開けた時の「プチッ」という音が私は大好きです。足跡のない新雪に踏み込む感じに少し似ている感じがします。

 読んだ感想は、「何じゃこれ?!」というものでした。今までに読んだことがないスタイルで、どう表現したら良いか分からないという感じでした(映画「マルコヴィッチの穴」を見た時も同じような感覚を抱きました)。どんなジャンルの本か、と聞かれても、どのように答えたらよいか分かりません。知りたい人は、自分で読んでください、と言うしかない気がします。

 この作品、訳者あとがきでも書いてあったのですが、とにかく文章が入り組んでいます。「ときほぐす」と訳者も表現していましたが、読んでいてもそういう感じでした。200ページちょっとの作品でしたが、読み終わるのに1週間以上かかりました。この作品、ノルウェイ語から英語に訳されたものを使って日本語に訳されているようです(いわゆる重訳)。英語で読んでみたい気もしますが、理解出来るかちょっと不安な部分もあります。

 ただ、作品の雰囲気としては私好みでした。ここ数年映画を見ていて感じることなのですが、私は結構劇タイプの作品が好きです。劇が元になった作品や、劇のように場所の変化が無く、台詞が延々と続く作品、劇の中で劇を演じるというのも好きなジャンルです。

 この小説も少し劇っぽいところがあるので、読んでいて面白かったです。語り手の主人公が一応居るのですが、同時に劇の演出家として「自分自身の役」も演出しているので、一人称である自分が三人称のように客観的になっている部分もありました。そういう視点の変化も読んでいて面白かったです。

 この作品が面白かったので、同じくホームページで宣伝されていた村上春樹自身の作品も読んでしまいました。The New Yorkerというおしゃれな雑誌(エッセー、レポート、批評、何でも載っている雑誌)に彼の短編作品の英語版が先日載ったということでした。KINO(木野)という作品です。アルファベットの「KINO」では漢字が思い浮かばず(札幌にある映画館の名前「シアター・キノ」しか思い浮かばなかった)、どんな作品なのか興味が沸きました。ただ、彼の作品タイトルはどれも内容が想像出来るものではないので、漢字が分かったとしても、変わらない気がしますが。彼の長編は英語でチャレンジしたことがあるのですが、途中で挫折しました。しかし、今回は短編だから大丈夫だろうと言い聞かせて読んでみました。すると自分でも驚いてしまったのですが、サラッと読めました。A4の紙26ページぐらい(画面で読む自信がなかったので、印刷)、びっくりするほど早く読めました。一番の理由は、この主人公に共感出来たからだと思います。読み終わって「分かるなあ、この気持ち」とすっきりしました。彼の作品をもっと読んでみたい、と初めて思いました。

 というわけで、村上春樹関連2作品を堪能した週となりました。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0