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砂の器 (by 松本清張:1961) [読書’14]

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 この本を読む前に、同著者の「軍師の境遇」を読みました。淡々と書かれていて、なかなか面白そうだなあと思い、彼の他作品を探してみました。すると、歴史小説だけでなく、推理小説を書いていることが分かりました(どおりで、彼の作品がテレビドラマになっているわけだ、と思いました)。また、一度だけ彼の短編集を読んだことがあります。父がいつかの誕生日に彼の短編集11巻をくれました。何となく読み始めたのですが、その時はあまり好きになれませんでした。いくつか読んでも、「なぜ面白いのかなあ?」という感じで、何冊かしか読んだことがありませんでした。

 そして時間は過ぎ、再び松本清張の作品を読むことになったわけです。少し調べてみると、彼が書いた推理小説の中でも、「砂と器」が有名なようでした。そこで、早速図書館で借りてきました。とてもはまり、あっという間に読んでしまいました。

 あれほど読み進められなかった作者の作品なのに、と最初は思ってしまいました。しかし、これほどはまった理由は、やはり新鮮さ、にあるかもしれません。この「砂と器」ではある刑事が殺人事件を探っていきます。作品の舞台は戦後です。コンピュータも携帯電話もありません。そのため、他県の人物の犯罪履歴を調べるのにも、手紙をその県警に送り、彼らが調べ、手紙で返事が来る、と、その作業だけで1週間以上もかかります。この返事を待つ間、別の場所へ行き、調べる。正に、「足を使う刑事」 です。実際、当時は、どこの警察や刑事もこのように事件を調べていたわけです。それでも、最先端の科学捜査が中心となったアメリカドラマばかり見ていると、このアナログな捜査はとても新鮮に見えます。

 また、「刑事の勘」というのも実際よく登場していました。物的証拠が無いのに、そこまで先回りしてよいのか、と読者としては少し心配してしまいます。しかしそこは推理小説、刑事の勘が上手く当たる場合が多いです。

 捜査もアナログであれば、トリックも結構アナログです。東野圭吾の推理小説を読んでいると、難しい理系のトリックが登場します。それを読んできた甲斐があり、この「砂と器」のトリックは結構早めに分かってしまいました。そこは少し拍子抜けしてしまいました。が、書かれた当時はとても斬新な技術だったため、珍しいトリックだったのかなあと思います。
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tommy88

箱に入れて、ど~んと送ります。
欧州へ旅立つ前に、日本語に浸っておくれと言うことで。
安吾の「信長」、いいよ。
安吾らしさがあるのでした。
安吾はまた、エッセイ、評論が良い。
歯切れの良い文体が好きになったよ。
by tommy88 (2014-12-25 02:55) 

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