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How to Japan (by Colin Joyce: 2009) [読書’14]

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 この本は、日本に駐在した経験があるイギリス人記者が日本について、独自の視点で書くエッセーです。この日本語を父が読み、英語版を私に送ってくれました。

 日本語版、つまり翻訳されたものは、一度も目を通したことがないので、どんなものか分かりません。しかし、英語版を読んでいると、「どうやってこの表現を日本語に訳しているのかなあ?」と思ってしまいます。というのも、イギリス独特の表現が何度か登場するからです。一番印象に残っているものと言えば、「Mind the culture gap」という表現でしょうか。直訳すると、「文化のギャップに気をつけて」というような意味になります。日本語にすると、全く面白くありません。際だった表現でもありません。しかし、これはイギリス英語の典型的な例です。イギリス、特に交通機関でよく聞く表現です。エスカレーターの段差、電車に乗る際、ホームと電車の隙間に注意を促す時、アナウンスで「Mind the gap(隙間に注意して)」という言葉が流れます。イギリスどこへ行っても聞くので、アメリカ人など(イギリス英語を使わない人達)は、「イギリスっぽい表現」と思うわけです。個人的には、gap(隙間、差)を意識するように言うアナウンスは、さすが階級社会のイギリスだなあと思ってしまいますが、考えすぎでしょうか。この例のように、イギリス人だからする表現がちりばめられていて(記者だから面白く文章を書くプロなので当たり前かもしれませんが)、彼の考え方だけでなく、表現も面白いと思いました。

 また、イギリス人独特の、ブラックユーモアもちらほら見えました。ブラックユーモアの定義は難しいですが、個人的には「シニカル過ぎて私は笑えないジョーク」という定義だと思っています。多分ジョークだろう、ということは分かるのですが、私にはシニカル過ぎて、顔が引きつりそうなジョークです。イギリス人はこのブラックユーモアが得意と言われていて、例外なく、この本にも何度か登場していました。

 さて、内容に関してですが、私たち日本人の何気ない習慣を一人のイギリス人はこんな風に見ているのか、ということが分かる、笑える本でした。何点か反論したい部分もありましたが、「そうだよね」と納得してしまう部分もありました。例えば、公共のプール。ルールが多く、日本社会の縮図、とこの本では紹介されていました。確かに、日本のプールにはルールが多すぎる気がします。安全のため、と言われればそうなのですが、そこまで子供扱いしなくても、と正直思います。妹達がまだ小学校低学年(私が高学年)の頃、市民プールへ行くと、初回に必ずややこしそうな手続きをしていました(印鑑を押した証明写真付き書類を提出し、泳法チェックをし、バンドをもらいetc)。彼女たちが大会に出るぐらいのレベルを持っていたにもかかわらず 、です。

 この手続きを見ている時は何とも思わなかったのですが、ヨーロッパの市民プールへ行くと、どれだけ日本のプール利用者が厳重保護されているかよく分かります。ヨーロッパのプールは自由、というか自由過ぎます。飛び込み禁止ではないので、泳いでいると前に人が降ってきたことが何度もあります。飛び込んでくる相手は、プールに居る私を多分認識してくれていると思いますが、水中を見ながら泳いでいる私にとっては、毎回嫌なサプライズです。右側遊泳というルールが一応存在していますが、お構いなしに左側を泳いでくる人と激突したこともあります。規則の多い日本のプールと、自由過ぎてちょっと危ないヨーロッパのプール、私はこの2つの中間が理想なのですが、まだ出会えていません。

 また、このエッセーでは「食べ物のために、遠出する日本人達」のことが書かれていました。確かに、グルメ旅行がこれだけ人気なのは、日本だけかもしれません。そして、この本を読んだ後日、テレビ番組で「日本人が列を作る習慣」を分析していました。グルメ旅行の理由は、この「列を作る習慣」にもあるかもしれません。もちろん、他国にも行列は存在します。が、日本人ほどきれいに列を作るのは珍しい、とこの番組では言っていました。スイス人の友人も「ジュネーブに来る日本人観光客はエレガント」と言っていましたが、この列をきれいに作る、というのもそれに含まれているのかもしれません。順番を守る、というのは確かに大切なことではありますが、ちょっと軍隊らしく、従順すぎる感じもします。
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次女

私も早く、この本読みたい!
by 次女 (2014-12-22 11:34) 

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