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新聞の中の手紙 [勉強]

 Boris Vianの作品の中で、J’irai cracher sur vos tombes以上にセンセーショナルな話題となったのが、「Le déserteur(脱走兵)」という歌です。「大統領閣下様(Monsieur le Président)」という言葉から始まり、「兵役証明書をもらいましたが、戦争へは行きません(Mes papiers militaires pour partir à la guerre…je ne veux pas la faire)」と続いていきます。そして最後は、「あなたの憲兵に伝えてください、私は武器を持っておらず、彼らは(引き金を)引くことが出来ます(Prévenez vos gendarmes/Que je n’aurai pas d’armes/Et qu’ils pourront tirer)」となっています。詩なので韻も踏んでいて、聞いていると、とても心地よくなります。音楽ものんびり、のどかな感じです。が、歌詞を読んでみると、ずしんと気持ちが重くなるような内容です。この歌は1954年、インドシナ戦争中に発表されたものです。特にこの戦争へ対する歌だと思いますが、戦いが進行している中で、こういった歌を発表するのはとても勇気があると思います。この歌のように、「手紙形式」の文章がフランス語には多くあると思います。特にフランス人は手紙好きなのかな、と思います。
 
 歌だけでなく、社説でも「大統領閣下様、どうしますか?」と皮肉を込めて、手紙形式にしている時もあります。La Libérationというフランスの新聞でもたまに使われます。La Libérationは1973年に創刊(サルトルが創刊者の一人)。他のフランス全国紙、Le Figaro(1826年)、 Le Monde(1944年)、Les Échos(1908年)に比べると、歴史の短い新聞です。そしてこの新聞、社説が面白くて、私の好きな新聞です。社説を読んでいると「ペンは剣よりも強し」と意識が伝わってきます。何か大きな出来事があると社説に結構はっきりと意見(皮肉も上手に使って)を書くので、読んでいても面白いです。前回、新聞のインターネット購読を決めた時、このLa LibérationとLe Mondeの間で迷ったのですが、最終的に国際面が充実しているLe Mondeにしました。そのため、La Libérationはネットの無料閲覧のみになりました。が、旅行で電車に乗る時は、キオスクでLa Libérationを買うようにしています。

 La Libérationも他の新聞社同様、経営が厳しいようでインターネット上では有料の記事が多くなってきました。先日も、経営方針において役員と記者の交渉が上手く行かず、編集者が自主退社する騒ぎになりました。この交渉は今でも続いていて、La Libérationが経営を続けていくことが出来るのかどうか、という問題にまでなっています。

 この新聞社説だけでなく、一面のみを見ていくのも面白いです。一面にドーンと大きな写真やイメージを載せています。大きな出来事があると、ニュースでたまに「La Libérationはどの写真を使うか?」と話題になっています。ちなみに、オランド大統領当選翌日はこちらの写真。
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 また、2月9日に行われたスイスの国民投票の結果を受けた翌日の新聞がこちら。「スイスのウィルス」というタイトルになっています。このタイトル通り、あっという間にこの話題がEU内に広まりました。
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次女

私は、結構風刺画みたいなのとか、好きだよ!
日本ではなかなか見かけないけど、海外では新聞とかでもそういうの載せてるよね。皮肉ったような・・・。
by 次女 (2014-03-05 13:00) 

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