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夏の読書 その13 [読書’13]

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 Lyonから帰ってきて読んだ本が、Saint-Exupéry(サンテグジュペリ)の「Vol de nuit(夜間飛行)」でした。彼の像、正確には「星の王子様」の像を見て、彼の作品を読みたいなあと思ったからです。「星の王子様」以外彼の作品は読んだことがなかったので良い機会でした。

 「星の王子様」も中学生の 頃に読んで結構印象に残っています。理由はよく分かりませんが、特に1日1回ガス灯の点灯と消灯をするおじさん、王子様の持っているバラが衝撃な印象として残っています。今回読んだ「夜間飛行」も面白かったです。個人的には、「星の王子様」より好きな作品です。

 夜間だけ運行する、郵便飛行の事務室が舞台となっています。ヨーロッパから、当時(1930年頃)電灯がほとんどない南アメリカ(パタゴニア)に向かう飛行機を迎えるRivière支配人を中心とした話です。部下やパイロットにとっても厳しく、冷たい彼ですが、実はこの態度、パイロットの安全を一番に考えた結果とる態度でもあります。が、そんなことを他人は知りません。彼の表向きの態度と内面の葛藤が上手く表現されていました。飛行や空の描写だけでなく、内面の表現が素晴らしく、1日で読み終わってしまいました。

 あるドラマで「空は女のように気まぐれ」というセリフをパイロットが言っていました。女性が気まぐれかどうかは別として、空は本当に気まぐれだと思います。その気まぐれに反する形で、重たい鉄の塊(=飛行機)が空中に浮き、ある方向に向かう、ということ自体、よく考えてみると無茶な考えのような気がします。その気まぐれに上手く対抗して、頻繁に飛行機が行き来する今の時代を見ると、本当にすごいと思います。

 更にこの小説内でパイロットが飛ぶのは何も見えない夜間。夜間という闇に対する恐怖はもちろん、各パイロット持っていると思います。が、それを超えてまで飛ぼう、と思うのはなぜなのか気になります。任務意識からなのか、純粋に空が好きだから飛ぶのか。 私は飛行機が好きですが、真っ暗の中飛ぶのは好きかと聞かれると、答えに困ります。

 この本の中で気に入ったセリフはこちら。Rivière支配人が部下のRobineauに言うセリフです「Voyez-vous, Robineau, dans la vie, il n’y a pas de solutions. Il y a des forces en marche : Il faut les créer et les solutions suivent.」(ごらん、Robineau。人生に解決方法はないんだ。前進させる力があって、その力を作り出し、解決方法はそれに付いてくるだけ)。解決方法以前にそれを実行する力があるかないか、それを作り出せるかが問題、ということだと思います。思い当たる経験が自分にもあるので、このセリフを見た時は「その通り!」と思ってしまいました。

 夏休み中に読んだ作品でマイベスト3を作る予定でいたのですが、選考が難しくなってきました。この
夏休み読書企画、まだ続きます。
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