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Sketch [フランスでの生活]

「フランスとは何か」という大きなテーマだった劇を見たためか、自分でもこの質問を色々考えてみました。すぐに思い浮かぶのはやはり有名な建築物、食べ物です。有名な物はいつか別の日に紹介するとして、今回はフランス人の好きな「sketch」について書いていきたいと思います。Sketchは日本語のコント、のこと。jeu de mot、ダジャレが多く入っていて、私は結構好きです。アメリカのコントはオチが分かっても笑えないことが多いですが、ダジャレは日本にも存在するため分かりやすいのかなと思います(我が家にもダジャレ好きが何人が居るので、それで鍛えられたせいでしょうか)。

 「エスプリ」という言葉は日本で知られているフランス語の一つ。英語ではwitと訳されるようです。humor(ユーモア)と何が違うのか、と思い辞書を引いてみると、エスプリは「批評精神に富んだ軽妙洒脱で辛辣な言葉を当意即妙に述べる才」のこと。少し分かりづらいですが、humorとの違いは語源にあります。humorの語源は「湿気」。英語でも湿気のことをhumidと言いますが(フランス語ではhumide)、それと同じ語源の言葉です。逆に、espritはラテン語のspiritus、「空気・風の一吹き」が語源。「湿気」が元となっているユーモアに対して、espritは乾いたイメージ。同じお笑いでも、正反対の性格を持ったものだということが分かります。また、蛇足ですが、フランス語でespritは「機知」以外のことを表現する時にも使われます。「性格」とか「気質」という意味でも使われます。

 さて、espritが含まれていると言われるsketch、年齢を問わずフランス人は好きで、テレビでも色々な番組が放送されています。いくつか(個人的に、フランス語の授業で)見たことがありますが、一応ルールが設定されています。このルール、フランス人からすると当たり前のようで気付かない人も多いようです(このルールフランスに限ったものではありませんが)。が、私からするとかなり目立ったルールのように感じます。まず、1つのコントは1分以内。状況設定がタイトルとして表示され、すぐにsketchへ。2〜3のやりとりがあって、すぐにオチ。そしてすぐに全く別のsketchへ移ります。オチが分からない内に、次のsketchへ移ってしまうこともよくあります。次に、撮影は絶対に固定カメラ。やりとりが短いということもあって、全て固定カメラ。登場人物も移動することがなく、たいてい同じ場所に座っています(または立っています)。「なぜカメラが動かないの?」と理由を聞いてみたことがありますが、フランス人の友人は「そんなこと、一度も考えたことない」と言われてしまいました。sketch一つ一つが短いということもあって、カメラを動かす必要がない、というのが大きな理由だと思いますが、他にも理由があるのでしょうか。

 Sketch、個人的には、政治ネタが好きなのですが(日本で唯一好きだったお笑いグループも主に政治ネタを扱っていました)、フランスでは政治ネタ以外のsketchも多く存在します。

 Caméra caféは今でも放送しているのかよく分かりませんが、ヒットだったようで、ヨーロッパ各国のバージョンが登場したようです(フランス語の授業で見ました)。職場のコーヒーマシーンにカメラが設置してあり、従業員の本音が描かれるというsketchです。万国共通、他の部署の噂話、上司に対する愚痴が多くを占めています。スペインでもこのsketchが作られたそうですが、スペインの従業員がどんな話をするのか興味があります。

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 そして休みの期間、再放送をやっていてたまに見るのが「Un gars Une fille」。「女(の子)と男の(子)」というタイトル。The Artistに出ていた俳優さんの出世作で、彼の奥さんと一緒にこのsketchをやっていたようです。フランス人カップルの生活(人生)が描かれています。カップルの生活ですが、特に女性の方は私の考える「フランス人女性」らしく,見ていて笑えます。結構気が強いというのがその理由です。フランス人の友人に言うと、「あのsketchは固定観念すぎる。そこまでひどくはない!」と言われます。

 そして一番レベルが高い(自分にとって)Kaamelot。アーサー王の聖杯伝説に出てくる登場人物が繰り広げるsketch。フランス語だけでなく、聖杯伝説という馴染みのない話が出てくるので、理解に苦しむことが多いです。かなりブラックな意味のジョークが出てきて、笑うのに戸惑うこともあります。一人で見ていると理解出来ないので、滅多に見ませんが。

 と、先日見た芝居に影響され、フランス語のユーモア、sketchについて書いてみました。
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コメント 1

mi

偶然にもつい最近、 『中世の生理学では、ユーモアは体液という意味で、4つの体液のバランスで人の体質や気質が決定されると考えられていた・・・エリザベス朝では「人間はみな自分の体液を持っている(十人十色)」という劇もあった』
という文書を読んだよ。

by mi (2013-01-30 10:31) 

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